朝日小学生新聞
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■「勉強のやり方」を教える塾、プラスティー代表の清水章弘先生が、最近の教育相談をご紹介します。第15回は「テストが近づくことで不安に」というお悩みへの答えです。

塾の面談には、保護者のお悩みが集まります。そっと覗いてみてみましょう。今日のご相談は「不安で勉強に集中できない」です。

「勉強のやり方」を教える塾、プラスティー代表の清水章弘です。最近の教育相談をご紹介します。子どもの力は無限大。ちょっとした「ひと工夫」でお子さんの良さを引き出してあげてください。

テストが近づくことで不安に
【相談】気づけば受験生になりました。模試・テストが近づくと、不安になって勉強に集中できていません。気持ちをコントロールする方法はありませんか。

不安は一生懸命やっている証拠
【回答】お子さんはえらいです。テストに不安になるのは、よい結果を出そうとしているから。頑張ろうとしている証拠なのです。まず、その姿勢を認めてあげてください。

その上で、おすすめの方法をご紹介します。それは「不安をノートに書き出す」ということ。エクスプレッシブ・ライティング(またはジャーナリング)と呼ばれ、テキサス大学オースティン校のジェームズ・ペネベーカー教授の研究により、有名になりました。

用意するものは、ペンとノート。「今、どんな気持ちか」「その気持ちの原因はどこにあるのか」「その原因に対して、どう向き合っていきたいか(もしくは、向き合いたくないか)」と書いていきます。

これは、人のために書く文章ではありません。自分のために書きます。ですから、支離滅裂でも構いませんし、主語と述語が合っていなくても構いません。ただ、書いていくにつれて、自分の中でストーリーができあがったり、原因が明確になったりと、心のひものほつれが、少しずつほどけていくはずです。

ネガティブな気持ちを、吐き出すように言葉にすることで、気持ちを整理したり、客観視したりできるようになります。20分のライティングが効果的だと言われていますが、これは大人向けの実験でした。小中学生はもっと短くてもよいでしょう。

メンタルが落ち着く効果は、心の安定だけでなく、パフォーマンスにも影響を与えます。集中力が上がったり、モチベーションが上がったりします。また、睡眠の質がよくなる効果も指摘されています。

最後に補足です。お子さんの不安な気持ちに呼応して、大人も近い感情になりがち。当然ですよね。不安げなお子さんを見て、心配しないほうが難しいですから。ただ、その大人の表情から、お子さんの不安は増長するもの。大人側がメンタルを整えるために、我々大人こそがエクスプレッシブ・ライティングを実践してみるのも、おすすめです。

今日の教育相談まとめ
・「不安になる」はえらいこと。
・その不安について、ノートに書きましょう。
・大人もやってみるのがおすすめです。

【プロフィール】
清水彰弘先生
清水章弘(しみず・あきひろ)
1987年、千葉県船橋市生まれ。海城中学高等学校、東京大学教育学部を経て、同大学院教育学研究科修士課程修了。東京・京都・大阪で「勉強のやり方」を教える塾プラスティーを運営している。TBS「ひるおび」やTOKYO MX「news FLAG」等でコメンテーターとしてレギュラー出演中。著書12冊。2児の父。

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