学校では教えてくれない「選挙のしくみ」

 

 

 

4日公示 21日投開票

 

安倍政権に国民の審判

 

 

 参議院議員選挙はきょう4日に公示され、選挙運動が始まります。今回は衆議院と参議院で多数派が異なる「ねじれ」が解消されるのか、民主党をはじめ野党がどれぐらい議席を確保するのかなど、注目点があります。投開票日は21日。選挙の争点を、朝日新聞論説委員の国分高史さんが解説します。=関連ページは「選挙 なるほど!ランド」

 

 

参議院の本会議場。参議院は「良識の府」としての役割が期待されています©朝日新聞社

 

 

自民・公明 ねじれ解消めざす  民主 「存亡」かける

 

首相には6年越しの「敵討ち」

 

(質問) 今回は何が注目されていますか。
(国分さんの答え) 最大の焦点は、自民党と公明党の与党が過半数の議席を得て、衆議院と参議院で多数派が異なる「ねじれ」が解消されるかどうかです。
 一方、去年の衆議院議員選挙で議席を大きく減らした民主党が、自民党に対抗できるだけの勢力を維持できるかが問われることになります。
 安倍晋三首相は「参院選は親の敵。取りもどさなければ私は死んでも死にきれない」と強い決意を示しています。


 なぜそれほど強い思いでのぞむのですか。
 安倍さんは最初に首相を務めていた2007年の参院選で惨敗。参院は民主党が第1党となり、衆参がねじれる結果になりました。
これで安倍内閣の政権運営が難しくなり、続く2代の内閣も1年ずつで交代し、2009年の民主党政権誕生につながった経緯があるからです。
安倍首相にしてみれば、ねじれを解消して安定政権を築くための6年越しの「敵討ち」がかかった戦いなのです。


 自民党はどんな目標を持って戦いますか。
 自民、公明両党で過半数を回復するには合わせて63議席、自民党の単独過半数には72議席が必要です。この数字が、自民党にとっての勝利の目安です。


 野党の方はどうでしょうか。
 自民、公明の過半数阻止が目標となりますが、民主党と日本維新の会は、参院選の結果を占うといわれる6月の東京都議選で大敗しました。特に議席を3分の1近くに減らした民主党が同じような負け方をすれば、国会での存在感が急速に失われることになります。海江田万里代表がいうように、まさに「党の存亡をかけた戦い」です。

 

 

イラスト・すぎうらあきら

 

 

経済は原発は憲法は?

各党の訴え見比べて

 

 政策ではなにがポイントになりますか。
 安倍首相がこの半年間に進めてきた経済政策「アベノミクス」をどう評価するかが最大の争点。日本銀行が世の中に出回るお金の量を増やす金融緩和や、政府が税金を使ってたくさんの公共事業を行うことなどがアベノミクスの柱です。
 一時の勢いはなくなったとはいえ、これで株価が上がったのは事実です。野党側もこれに代わる政策は出し切れていないのが実情です。


 原子力発電(原発)の問題は。
 自民党と民主党ではっきり違いが出ているのが原発をどうするかです。
おととしの福島第一原発の事故を受け、当時の政権を担っていた民主党は、2030年代に原発をゼロにすることを打ち出しました。
自民党も去年の衆院選では、原発への依存を徐々に減らすことを公約していました。ただ、うやむやになり、参院選の公約では原発の再稼働に向けて地元の理解を得るために「最大限の努力をする」としています。
安倍首相はまた、原発の海外への輸出を進めようとしています。
ただ、福島第一原発がいつ廃炉できるかの見通しもつかない中で、事故前と同じような政策にもどっていくのがいいのかどうかは、まさに有権者の判断が問われます。


 ほかに争点は。
 憲法改正のルールを定めた憲法96条をどうするか、社会保障制度をどう立て直していくかも争点です。
仮に与党が勝てば政権は安定し、3年間は国政選挙が行われないとも予想されています。であればこそ、有権者は各党の訴えをじっくりと見比べる必要があるでしょう。

 

2013年7月4日付

実際の紙面ではすべての漢字に読みがながついています。

その他の記事↓

◆小学生向け 「4日公示 21日投開票 安倍政権に国民の審判」(2013年7月4日)

◆小学生向け 「選挙なるほど!ランド(PDF)」(2013年7月4日)

◆小学生向け 「選挙のことば」(2013年7月5日〜7月10日)

◆中学生向け 「ネット選挙解禁」(2013年6月30日)

◆中学生向け 「政治の仕組みきっとわかるスペシャル(PDF)」(2013年6月30日)

 

 

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