「勉強のやり方」を教える塾、プラスティー代表の清水章弘先生が、最近の教育相談をご紹介します。第20回は「うまく褒められません」というお悩みへの答えです。

塾の面談には、保護者のお悩みが集まります。そっと覗いてみてみましょう。今日のご相談は「やる気の出る褒め方を知りたい」です。

「勉強のやり方」を教える塾、プラスティー代表の清水章弘です。最近の教育相談をご紹介します。子どもの力は無限大。ちょっとした「ひと工夫」でお子さんの良さを引き出してあげてください。

褒めると調子に乗りそうで…
【相談】
「褒めて伸ばす」とよく聞きますが、うちの子は褒めたら調子に乗りそうで、うまく褒められません。良い褒め方を教えてもらえますか。

能力を褒めてしまうと…
【回答】
わかります。褒めるのって難しいのです。というか、冷静に考えると、そもそも人を褒めたり叱ったりして「コントロールしよう」とするほうが間違っていますよね。そんなに人は単純ではありませんから。

ただ、適切な言葉かけを学ぶことは、良好なコミュニケーションに役立ちます。海外の実験をご紹介しましょう。スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授らの研究です。小学5年生を集めてかなり難しい問題を10問解かせました。全員がまずまずの成績をおさめました。

さぁ、ここからが注目。グループに分けて褒め方を変えていくのです。「よくできたね、頭がいいのね!」と伝えたグループと「よくできたね、頑張ったのね!」と伝えたグループです。前者は、「能力」を褒めていますね。一方で、後者は「努力」を褒めています。

実験を続けるにつれて、大きな差が出ていきます。前者(「能力」を褒めたグループ)は、新しい問題にチャレンジするのを避け始めたそうです。難問を出されると「自分はちっとも頭が良くない」と面白がらなくなる傾向がありました。

だって、「能力があるから解けた」と思っていたわけですから、「解けないのは頭が悪いから」ではと考えるようになるのは自然なこと。また、楽しめなかったのは「自分への評価が下がる」と考えたからだろう、と教授らは考察しています。

一方で、後者(「努力」を褒めたグループ)の子達はどうなったのでしょうか。9割が新しい問題にチャレンジすることを選びました。そして、難問には「もっと頑張らなくちゃ」と意欲的になり、難問のほうが面白いと答える子が多かったそうです。

たしかに、そうですよね。最初に「努力したから解けた」と思っているわけですから、解けなかったら「もっと努力しよう」と思いやすくなるはず。それによって解けるようになったら、よいスパイラルができあがりますよね。

この調査は知能検査の問題を用いたので、教授らは「能力を褒めると生徒の知能が下がり、努力を褒めると生徒の知能が上がる」と結論づけました。なんとも恐ろしい話です。 学び続ける子ども達は、よい学習観を持っています。それは、「周りからの評価が気になる」「賢さを他人に見せつけよう」とするのではなく、「新しいことを学べたら成功だ」とする考え方です。


今日の教育相談まとめ
・褒めるのは難しい。
・能力よりも努力を褒めることで、モチベーションアップ!
・声かけによって「新しいことを学べたら成功だ」という学習観を育んでいきましょう。

【プロフィール】
清水彰弘先生
清水章弘(しみず・あきひろ)
1987年、千葉県船橋市生まれ。海城中学高等学校、東京大学教育学部を経て、同大学院教育学研究科修士課程修了。東京・京都・大阪で「勉強のやり方」を教える塾プラスティーを運営している。TBS「ひるおび」やTOKYO MX「news FLAG」等でコメンテーターとしてレギュラー出演中。著書12冊。2児の父。

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