朝日小学生新聞
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■プロ家庭教師の安浪京子先生が、中学受験への親の関わり方をQ&A形式で答える連載です■

第156回は「塾選びに悩みます」というお悩みへの答えです。

Q.塾選びに悩みます

A.中学受験暦は2月スタートです。よって、大手進学塾で本格的に中学受験の内容が始まるのは新4年生(3年生2月)となります。
とはいえ、年々カリキュラムの前倒しが進み、今は新2年生で既に満室…という塾の校舎も増えてきました。

中学受験塾も営利企業ですから、早期囲い込みはおいしい手口であり、実際に早くから塾の席取りをしておかなければ入塾できないという事情はあります。しかし、早くから塾に入る子が伸びる、あるいは有利かといえば必ずしもそうではなく、かえって長期間に渡る塾通いで子どもを潰してしまうこともあります。

しかし、今は1~2年生の頃から「みんなが塾に行っているから我が家も行っておかないと乗り遅れる」という理由で通塾を決めるご家庭が増えてきたことを懸念しています。焦って入塾する前に、「ご家庭で学習習慣がついているか」「中学受験に対するスタンスを夫婦や家庭内で共有できているか」を考え、ぜひ一度、立ち止まって「中学受験は、今からの塾通いは本当に我が家に必要なのか」を考えて頂きたいと思います。

それらを踏まえた上での「塾選び」ですが、家庭によって価値観もさまざまです。誰もが気になる「合格実績」をはじめ「レベル」「距離」「お弁当の有無」…挙げ始めたらキリがありません。

塾の雰囲気を知るための「体験授業」は非常に効果的ですが、コロナ禍を理由にや体験授業が激減しました。たとえ体験授業に参加できたとしても、年度が変われば先生もクラスも変わり、同じ雰囲気の授業が受けられる保証はありません。

よって、塾選びをする上で最も判断しやすいのは「塾生活を具体的にイメージすること」です。

どの塾も、学年ごとに「通塾日数」「拘束時間」「テストの頻度」が決まっています(「宿題量」は先生によります)。それを4、5、6年生とシミュレーションしてみましょう。求めれば、塾からは資料や説明があるはずです。

4年生の間は「通塾は週2回/1回の拘束時間は3時間」でも、6年生になったら「通塾は週5~6回/日曜の拘束時間は8時間」となるケースはたくさんありますし、このスケジュールは当然、家族にも影響を及ぼします。

まだ子どもが2,3年生の現在ではピンと来ない、わが子・わが家が乗り切れるかどうかの判断もつかないと思いますが、そのような生活が待っていると腹をくくってから入塾すれば「こんなはずじゃなかった」をある程度防げます。また、塾から発行されている「合格体験記」にも、受験生のリアルな日々がたくさん載っています(実際はその倍以上に不合格者がいるわけですが…)。

もちろん、家庭の事情はさまざまに変わるため、その時々でベストな選択をしていけば良いですが、「有名だから」「みんなが通っているから」という理由だけで塾を選ばないようにしてくださいね。

【きょうこ先生からのお知らせ】
直前期ミニレクチャーシリーズ、次回は11月22日となります。
第2回「受験生パパが知っておきたいこと」https://minilec2.peatix.com
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【プロフィール】
安浪京子先生
 1976年、岐阜県生まれ。中学受験算数専門プロ家庭教師「(株)アートオブエデュケーション」代表。オンラインサイト『中学受験カフェ』https://juken-chugaku.com/ 主宰。受験算数の指導および中学受験メンタルサポートに力を入れ、毎年多数の合格者を出している。中学受験に関する講演やセミナーを多数開催。著書に『きょうこ先生のはじめまして受験算数』シリーズ、このメルマガ連載をまとめた書籍『中学受験 6年生の親がすべきこと』(いずれも朝日学生新聞社)、『きょうこ先生監修 中学受験合格手帳2022』など。

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