朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

6月15日-6月21日

2017年6月25日付

15日 核兵器禁止条約の交渉再開

米国連本部 日本不参加

 核兵器禁止条約の交渉会議が、米ニューヨークの国連本部で7月7日までの日程で再開した。日本政府は不参加だが、被爆地・広島市のまつかず市長が出席。「被爆者は、存命のうちに核兵器の禁止を見届けたいとの願いを持っている」と訴えた。19日に発言した日本原水爆被害者団体協議会事務局次長のまささん(73、長崎で被爆)ら、被爆者も思いを訴えた。

核兵器禁止条約
 核兵器の開発や使用を禁止する条約。3月にニューヨークの国連本部で前半交渉があった。5月に公表された原案には、前文に「ヒバクシャの苦難を心に留める」と盛り込まれた。交渉会議の議長は7月7日までの後半交渉で成案をまとめる意向。核保有国や核の傘に頼る日本政府などは交渉に参加していない。

条約制定を求めてデモ行進する被爆者ら
条約制定を求めてデモ行進する被爆者ら=17日、米ニューヨーク
(C)朝日新聞社

16日 「総理の意向」発言はない

加計問題、内閣府説明

 国家戦略特区制度を使った学校法人「学園」の獣医学部新設をめぐり、やまもとこうぞう・地方創生大臣は、内閣府職員を対象にした調査の結果、「総理のご意向」などの発言をした人はいないことを確認したと発表した。文部科学省が15日に存在を認めた文書には、内閣府から言われたと記録されていた。山本大臣は「(しんぞう)総理からもそうした指示などは一切なかった」と説明した。
 20日には、首相側近のはぎこういち官房副長官が文部科学省局長に伝えた内容を記録したとされる文書を、文科省が公表した。学部新設について「総理は『平成30年(2018年)4月開学』とおしりを切っていた」など首相の意向とされる文言も示されていた。

16日 コール元独首相が死去

東西統一の父

 東西ドイツ統一の立役者だったヘルムート・コール元ドイツ(独)首相=写真=が死去した。87歳だった。
 1989年、東西に分かれていたドイツの象徴「ベルリンの壁」が崩壊後、1年足らずで悲願の東西統一を成し遂げ「統一さいしょう」と呼ばれた。
 国民の人気も高く、在職は戦後最長の16年間に及んだが、退任直後に発覚した巨額のヤミ献金疑惑では真相の多くを語らず、政界の表舞台から姿を消した。

ヘルムート・コール元ドイツ首相の写真
(C)朝日新聞社

16日 千葉・加曽利貝塚、特別史跡に

貝塚で初 最大規模の集落

 文化審議会は、貝塚(千葉市)=写真=を特別史跡に、陸軍いたばし火薬製造所跡(東京都板橋区)など11件を史跡に指定するよう文部科学大臣に答申した。
 加曽利貝塚は縄文時代中期の北貝塚と同後期の南貝塚からなり、全国で最大規模の集落跡。装身具などから広域交流があったことが分かっている。特別史跡の指定は17年ぶりで、貝塚が指定されるのは初めて。

17日 米イージス艦が貨物船と衝突

伊豆半島沖 7人死亡

 静岡県の伊豆半島沖で、米海軍よこ基地(神奈川県横須賀市)に配備されているイージスちくかん=写真=と、フィリピン船籍のコンテナ貨物船が衝突した。海上保安庁によると、業務上過失往来危険の容疑も視野に調べる方針。イージス駆逐艦については、日本の領海での事故のため捜査権はあるが、日米地位協定によって第1次裁判権は米軍側にあり、協力を求める。
 在日米海軍は19日、行方不明となっていた同艦の乗組員7人全員の遺体を確認したと発表した。

事故に遭ったイージス駆逐艦の写真
(C)朝日新聞社

18日 国会が閉会 安倍首相が総括

「深く反省」

 第193通常国会が閉会した。今国会で政府が提出した法案は66本で、うち63本が成立した。国会閉会を受けて安倍晋三首相は19日、首相官邸で記者会見した。首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の問題で政権批判が高まるなか、野党への反論など自らの国会対応を取り上げて「政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省する」と語った。

通常国会
 毎年1月に開かれる国会。会期は150日間。内閣を代表して首相が国政全般にわたる基本方針を示し、予算案の議論などをする。ほかに「臨時国会」「特別国会」がある。

 

18日 マクロン陣営大勝

フランス総選挙の決選投票

 フランス総選挙(下院・国民議会選挙、定数577)は決選投票が投開票され、「共和国前進」などマクロン大統領=写真=の陣営が議席の6割、350議席を得て大勝した。ただし、棄権が半数を超えており、政権運営には慎重な姿勢も求められそうだ。投票率は42.6%で、過去最低だった第1回投票より6ポイント低い水準になった。
 惨敗した既成政党には「政治を思うがままにできる政権は、民主主義の危機だ」との警戒感が広がる。

マクロン大統領の写真
(C)朝日新聞社

18日 松山選手、全米オープン2位

男子ゴルフ

 米ウィスコンシン州で開かれた男子ゴルフの全米オープン選手権で、まつやまひで選手(25)=写真=がメジャー大会(全米オープンなど世界のゴルフ界で最も権威のある四つの大会)の日本勢過去最高に並ぶ2位に入った。賞金105万12ドル(約1億1700万円)を獲得。この活躍で、4位だった世界ランキングは自身が持つ日本勢男子最高(3位)を更新する2位へ上がった。

男子ゴルフ松山英樹選手の写真
(C)朝日新聞社

18日 強毒「ヒアリ」、神戸港に100匹

刺されると死亡する例も

 環境省は、強い毒を持つ外来種のアリ「ヒアリ」が神戸市の神戸港のコンテナヤードで見つかったと発表した。約100匹がアスファルトそうれつ部分にいたという。ヒアリは5月26日に兵庫県あまがさき市で、国内で初めて確認されている。刺されると、死亡する例もある。

18日 ニホンライチョウひな誕生

人工繁殖の孵化、19年ぶり

 富山市ファミリーパークは、国の特別天然記念物のニホンライチョウの人工繁殖事業で産まれた卵から、ひな2羽がしたと発表した。人工繁殖の卵の孵化は、1998年におおまち山岳博物館(長野県大町市)であって以来、19年ぶりという。しかし21日、1羽が死んだ。同パークは原因を調べている。
 ニホンライチョウは絶滅の恐れがあり、環境省と日本動物園水族館協会が2015年から人工繁殖に取り組んでいる。

ニホンライチョウ
 全長約37センチ。長野県や岐阜県などの2千~3千メートル級の山々に生息する。信州大学の調査では、1980年代には約3千羽と推定されたが、今は2千羽以下と考えられている。

19日 イスラム教徒に車、1人死亡

英国・ロンドン テロとして捜査

 英国・ロンドンのモスク(イスラム礼拝所)近くで、礼拝を終えた人々に乗用車1台が突っ込み、男性1人が死亡、10人が重軽傷を負った。全英ムスリム評議会は「イスラム教に対する憎悪が動機だ」と指摘しており、警察がテロ事件とみて背景を調べている。メイ首相は「一般の罪のない市民がまたもや狙われ、今回は礼拝を終えたイスラム教徒だった。憎悪とこの種の悪行は決して成功しない」と犯行を非難した。
 ロンドンでは3日にも、車で歩行者に突っ込むなどして多数を死傷させるイスラム過激派によるテロ事件が起きている。

19日 英国のEU離脱交渉開始

期限は2019年3月末

 英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐる交渉が、ベルギーのブリュッセルで本格的に始まった。今後は、①英国に住むEU加盟国からの移民の権利の保障②離脱前に英国が支払うEU予算などの分担金③英国の北アイルランド地域の和平問題――の三つを優先して議論することになった。
 分野ごとに作業チームを作り、月に1度、1週間交渉する。交渉期限は2019年3月末。メイ政権は、移民への規制を優先させてEUの単一市場から抜ける「強硬離脱」を貫く考えだ。

19日 森友学園を家宅捜索 大阪地検

補助金不正受給の疑いで

 学校法人「もりとも学園」が国有地を取得し小学校開校をめざしていた計画で、大阪地方検察庁特別捜査部は、学園のかごいけやすのり前理事長が国と大阪府から不正に補助金を得ていた疑いなどがあるとして、府内の前理事長の自宅や学園事務所などへ家宅捜索に入った。今後、本人からの聞き取りや資料の分析を進める。
 小学校建設にあたり、学園は同じ日付で金額の違う3通の契約書を作るなどして補助金を不正に受け取った疑いがある。幼稚園の運営で府から不正に補助金を得た疑いももたれている。

20日 豊洲移転、築地再開発の方針

小池知事が表明

 いけ・東京都知事=写真=は、つき市場(東京都中央区)をとよ市場(同こうとう区)に移し、築地市場の跡地は5年後をめどに商業施設などとして再開発する基本方針を示した。「築地ブランド」を生かすため、再開発ではりなどができる市場機能も残し、築地での営業を希望する業者は戻れるようにする考えだ。小池知事は「豊洲、築地を両立させることが最も賢い使い道だ」としている。
 都は2001年に移転先を豊洲に決めたが、08年に、有害物質で土壌が汚れていることがわかった。対策をとることにして10年にいしはらしんろう知事(当時)が移転を決定。しかし小池知事は昨年8月、豊洲市場の安全性の確認などを理由に、同11月の予定だった移転を延期していた。


(C)朝日新聞社

20日 ヤマハなどJASRAC提訴

音楽教室での著作権料めぐり

 音楽教室での演奏から著作権料を集める方針を決めた日本音楽著作権協会(JASRACジャスラック)を相手取り、教室の運営などをする249事業者・団体が「教室での演奏に著作権は及ばない」として、東京地方裁判所に訴えを起こした。JASRACは全面的に争う構えだ。
 訴えたのはヤマハ音楽振興会や河合かわい楽器製作所、やま楽器など。著作権法は、公衆に聞かせることを目的に楽曲を演奏したり歌ったりする「演奏権」は作曲家、作詞家のものだと定める。この規定が、音楽教室での演奏に当てはまるかどうかが最大の争点になる。

21日 新指導要領の解説に「立憲主義」

中学校の公民

 文部科学省は、2020年度以降に導入される小中学校の学習指導要領の狙いを説明する「解説」を公表した。中学校の公民では、「立憲主義」の考え方とともに、憲法改正の国民投票の手続きが法律で定められていることについて教えることを初めて明記した。立憲主義は、個人の権利や自由を守るため、憲法で国家権力を制限すべきという考え。
 解説は、指導要領の内容を詳しく説明するもの。授業や教科書編集のために参照されるが、指導要領そのものと違って法的こうそくりょくはない。

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

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