朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

5月25日―6月1日

2017年6月4日付

5月25日 取り調べ全過程可視化、1.5倍増

裁判員裁判の対象事件

 警察が取り調べの録音・録画(可視化)をしている裁判員裁判の対象事件で、2016年度に逮捕後の全ての過程を可視化したのは2324件あり、前年度の約1.5倍に増えたことが、警察庁のまとめで分かった。対象事件に占める割合は前年度の5割弱から72.8%に伸びた。
 昨年成立した刑事司法改革関連法で、19年6月までに裁判員裁判の対象事件は原則、全過程の可視化が義務づけられた。警察庁はこれまで捜査に支障がある場合などは除外するとしていたが、義務化を控え、16年10月から機器の故障や容疑者の拒否など法律が定めた例外を除き、全て実施することにした。

警察による取り調べ可視化の推移のグラフ
(C)朝日新聞社

25日 加計問題、前文科次官が会見

「内閣府に押し切られた」

 学校法人「学園」が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、まえかわへい・前文部科学事務次官(62)は、東京都内で記者会見した。学園が運営する岡山理科大学の獣医学部を愛媛県いまばり市につくることが今年1月、認められた。学園の理事長がしんぞう首相の友人で、「特別な取り計らいがあったのではないか」と野党が追及している。
 前川氏は学部の新設が「最終的に内閣府に押し切られた。行政のあり方として非常に問題がある」と明言。理由として、獣医師が将来不足するのかどうかなど、新設を認めるのに必要な根拠が示されないまま、手続きが進んだことなどを挙げた。

国家戦略特区
 地域限定で、国のルールにとらわれない特別な活動が認められる制度。安倍政権の経済成長のための戦略の一つで、2013年に始まった。「東京圏」「関西圏」など全国10地域が指定されている。

26日 G7「保護主義と闘う」

トランプ氏初参加、調整難航

 主要7カ国首脳会議(G7サミット)がイタリア南部シチリア島で開かれた=写真。テロ対策や核・ミサイル開発を進める北朝鮮問題、世界経済などについて話し合い、27日、首脳宣言を採択して閉幕した。
 「米国第一主義」をとるトランプ米大統領の初参加で、自由貿易や地球温暖化対策をめぐる意見の調整は難航。米国は最終的に「開かれた市場をけんし、保護主義と闘う」との文言を首脳宣言に盛り込むことを受け入れた。
 北朝鮮は国際平和にとって新たなきょうになっていることも盛り込んだ。

G7
 米国、日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダの主要7カ国。「G」は「グループ」の頭文字。G7のトップが集まる首脳会議(サミット)は1970年代の石油危機などをきっかけに、75年にフランスで始まった。ロシアが加わったこともあったが、近年はロシア抜きの首脳会議が続いている。

イタリアで開かれたG7サミットの写真
(C)朝日新聞社

27日 南スーダンPKO、活動終了

過去最長の活動期間

 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加していた陸上自衛隊の施設部隊のうち、最後まで残っていた第11次隊の約40人が帰国した=写真。PKOは世界で紛争が起きた時、国連が間に入り、国が立ち直るのを助ける活動。2015年9月に成立した安全保障関連法で、新任務として「駆けつけ警護」が加わったが、実際には行われなかった。
 南スーダンへの施設部隊の派遣は12年1月に開始。過去最長の約5年4カ月間、活動した。これで、日本が部隊を派遣するPKOはなくなった。

南スーダンから帰国した陸上自衛隊の写真
(C)朝日新聞社

南スーダンを指した地図

27日 囲碁AI、最強棋士に全勝

チェス、将棋に続き

 囲碁の世界最強棋士と人工知能(AI)が戦う三番勝負の最終第3局が中国であり、米グーグル傘下の英ディープマインド社が開発したAI「アルファ碁」が中国のけつ九段(19)を破り、3戦全勝した。
 着手の選択肢の多さから囲碁はAIにとって最難関とされていたが、チェス、将棋に続いてAIが完勝。1対1のボードゲームでの人間対AIの戦いに決着をつけた。柯九段は「相手がかんぺきで力の差が大きすぎた」。

28日 佐藤琢磨選手、インディ500優勝

日本人初 米自動車レース

 自動車の世界3大レースの一つ、米国伝統の第101回インディアナポリス500マイル(インディ500)の決勝があり、元F1ドライバーのとうたく選手(40)=ホンダ=が日本人初の優勝を果たした。
 F1モナコ・グランプリ、ルマン24時間たいきゅうレース(フランス)と並ぶ世界3大レースの一つ。過去の日本人最高成績は5位だった。

29日 「これ以上ないゴルフ人生」

宮里藍選手が引退会見

 女子プロゴルフ元世界ランキング1位のみやざとあい選手(31)が東京都内で記者会見し、今季限りで現役を引退すると正式に表明した=写真。宮里選手は「これ以上ないゴルフ人生だった。引き際のさびしさよりも感謝の気持ちで胸がいっぱい」と語った。
 2003年に史上初の高校生プロ選手となり、06年から米国ツアーに本格的に参戦。10年には男女を通じて日本勢初の世界ランキング1位になるなど日米通算24勝を挙げた。引退の理由については「4~5年前からモチベーションの維持が難しくなった」と説明した。

女子プロゴルフの宮里藍選手の写真
(C)朝日新聞社

29日 北朝鮮、3週連続ミサイル発射

日本海のEEZに落下

 北朝鮮は、東部のカンウォンウォンサン付近から東方向に弾道ミサイルを発射した。ミサイルは約120キロの高さまで上がって約450キロ飛行し、日本海に着弾した。北朝鮮の弾道ミサイル発射は3週連続。日本政府によると、今回は日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海に落下したとみられる。
 主要7カ国(G7)がイタリアで開いたサミットの首脳宣言で北朝鮮の軍事ちょうはつを「新たな段階の脅威」と位置づける中、北朝鮮は核・ミサイル開発を続ける意思を明確にした。

排他的経済水域(EEZ)
 漁業資源や地下の鉱物資源などを独占できる権利を持つ海域のこと。沿岸国は沿岸から12カイリ(約22キロ)までの領海の外側で、200カイリ(約370キロ)を超えない範囲で、どの国にも属さない公海上に設定することができる。「国連海洋法条約」に基づき、それぞれの国の国内法で決められている。

北朝鮮が発射した弾道ミサイルの落下した地域を示した地図
(C)朝日新聞社

29日 体育館の水ぶきは危険

床はがれ大けが、10年で7件

 体育館でバレーボールなどをして床に滑り込んだ時、はがれかけた床板が体に刺さって大けがをした事故が、2006~15年の約10年間で7件あったことがわかった。消費者庁の消費者安全調査委員会は、床が水分の吸収と乾燥を繰り返したことで床材がはがれた可能性があるとする調査報告書を公表。床の水ぶきをしないよう呼びかけた。
 大けがの事故は7件のうち6件がバレーボール中の事故。1件はフットサルでキーパーの学生がけがをした事故だった。

体育館のはがれかけた床板で事故をおこす危険性を描いたイラスト
(C)朝日新聞社

31日 アフガン首都で爆発、90人死亡

日本大使館の窓ガラス割れる

 アフガニスタンの首都カブールで大きな爆発があった。自動車爆弾による自爆テロとみられ、女性や子どもを含む少なくとも90人が死亡、400人以上が負傷した。
 爆発の衝撃で現場近くにある日本大使館の窓ガラスが割れ、日本人職員2人が軽いけがをした。
 地元のテレビ局は、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出したと報じた。

アフガニスタンの首都カブールを指した地図
(C)朝日新聞社

31日 20年度末に「待機児童ゼロ」

首相、新計画公表

 安倍晋三首相は、認可保育施設に入れない待機児童の解消に向けた新しい計画を公表した。「ゼロ」にする目標を今年度末から3年遅らせて2020年度末とし、それまでに22万人分、その後2年でさらに10万人分の保育の受け皿を新たに整備するとした。首相は新計画を「子育て安心プラン」と命名。「今度こそ待機児童問題に終止符を打つ」と強調した。
 新計画で力を入れるのは需要が多く、待機児童の7割を占める1、2歳児の受け皿の整備。小規模保育事業や自宅などで保育する「保育ママ」、幼稚園での2歳児受け入れなどを広め、整備数を今の計画の年4万2千人分から5万1千人分に増やす。

6月1日 「みちびき2号」宇宙へ

H2A打ち上げ成功

 GPS(全地球測位システム)の精度を高める準てんちょう衛星「みちびき2号」をのせたH2Aロケット34号機が午前9時17分、鹿児島県のがしま宇宙センターから打ち上げられた=写真。約28分後に衛星を予定通り分離し、打ち上げは成功した。H2Aの成功は28回連続で、成功率は97.1%になった。

準天頂衛星「みちびき2号」をのせたH2Aロケット34号機の打ち上げ写真
(C)朝日新聞社

1日 はがきやバター値上げ

家計の負担に

 はがきやバターなど身近な商品が値上げされた。原材料の価格が高くなっている、人手が足りないなど理由はさまざまだが、家計の負担になりそうだ。
 日本郵便は、はがきの郵便料金を10円値上げして、62円にした。値上げは3年ぶり。消費増税の時を除くと23年ぶりの値上げだ。
 明治や森永乳業は家庭用バターの価格を上げた。ブリヂストンなどは乗用車の夏用タイヤの出荷価格を値上げする。

1日 就活、今年も「売り手市場」

採用選考が解禁

 来春卒業する大学生を対象にした面接などの採用選考が解禁され、正式にスタートした。解禁日は日本経済団体連合会(経団連)が定めた指針によるもので、前年と同じ。全国各地で大手企業の面接が始まった。人手不足を受けて採用数を増やす企業が多く、就活戦線は今年も学生有利の「売り手市場」が続く。

1日 米、パリ協定から離脱表明

地球温暖化対策に大きな転機

 トランプ米大統領はホワイトハウスで会見し、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から米国が離脱すると発表した。協定が米国の経済を弱らせるなどと語った。190カ国以上が合意し、147カ国・地域がていけつしている協定は、世界2位の温室効果ガス排出国である米国の退場で転機を迎える。

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

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