朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

1月19日―1月27日

2017年1月29日付

・覚えておきたい言葉には色をつけ、下の「KEYWORD」で説明しています。

19日 最年長棋士「ひふみん」引退へ

下位クラスから脱落

 日本将棋連盟の史上最年長棋士として現役を続けている将棋のとう九段(77)=写真=の引退が決まった。63年前に当時史上最年少でデビューし、名人などのタイトルを獲得してきた。
 この日、加藤九段の対局はなかったが、競争相手の棋士が勝ったため棋士の序列を決める「順位戦」で最も下位のクラスから落ち、決まりにより現役を続けられなくなった。ユニークな人柄でも知られ、「ひふみん」の愛称で親しまれている。

加藤一二三さんの写真
(C)朝日新聞社

20日 「米国第一主義」を強調

トランプ氏が米大統領に就任

 米共和党のドナルド・トランプ氏(70)が、米国の首都ワシントンの連邦議会議事堂前で大統領就任式に臨み、第45代大統領になった。豪華なビルなどを多く持つことから「不動産王」と呼ばれる。政治経験がない大統領は初めてだ。
 就任演説では、国の利益を最優先する「米国第一主義」を強調。「ワシントンは繁栄したが、人々は違う。仕事はなくなり、工場は減った」と述べ、雇用を生み出すことを最優先課題とする考えを示した。就任直後、外交や貿易に関する主要政策を公表。公約通り、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱する方針を発表した。
 就任式では、トランプ氏に反発する民主党下院議員らが欠席。全米各地で抗議デモが行われた=3面に関連記事。

20日 通常国会、首相が施政方針演説

改憲準備へ本格化

 第193通常国会が召集された。しんぞう首相は衆参両院で施政方針演説を行い、憲法改正への意欲を示した。2018年の衆院任期満了を見すえ、改憲の発議に向けた準備を今国会で本格化させる構えだ。ただ、民進党など野党は安倍政権下での改憲に反発しており、議論の行方は見通せない。
 首相は演説で、今年が憲法施行から70年の節目に当たることに触れ、「次なる70年に向かって日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか」と語った。

改憲をめぐる主な日程と政治日程の表
(C)朝日新聞社

20日 文科省の事務次官が交代

「天下り」問題で

 政府は、文部科学省の事務トップのまえかわへい事務次官を交代させることを決めた。文科省の前局長の早稲田大学への「天下り」を組織的にとりもった疑いに対し責任をとる人事。安倍晋三首相は他府省庁でも調査するよう指示した。
 天下りとは、退職した公務員を仕事上のつながりの深い民間会社などに受け入れさせること。天下り先と役所との間を不正にとりもつ恐れがある。国家公務員法は公務員の再就職について、出身省庁の職員がとりもつことや、利害関係のある企業で職を探すことなどを禁じている。

22日 稀勢の里が初優勝、横綱へ

大相撲初場所

 大相撲初場所は、前日に初優勝を決めていた大関・さと(30)=写真中央=がせんしゅうらく(最終日)で横綱・はくほうに勝ち、14勝1敗で終えた。日本相撲協会の審判部は、はっかく理事長に横綱への昇進をはかる臨時理事会の招集を求め、認められた。25日、正式に昇進が決まった。日本出身力士の横綱は、1998年夏場所で昇進した3代目わかはな以来19年ぶり=1、2面に関連記事。

稀勢の里の写真
(C)朝日新聞社

22日 平野選手が最年少V

卓球・全日本

 卓球の全日本選手権シングルスの決勝が東京体育館であり、女子はひら選手(高1)=写真左=がいしかわすみ選手を破り初優勝した。平野選手は16歳9カ月。1988年のとう選手の17歳1カ月を抜き、史上最年少での優勝だ。
 男子はみずたにじゅん選手=写真右=が4連覇し、シングルス史上最多の9度目の優勝を果たした。

平野美宇選手の写真

水谷隼選手の写真
どちらも(C)朝日新聞社

23日 MRJ納入、2020年に延期

三菱重工

 三菱重工業は、開発中のジェット旅客機「MRJ」=写真=を納入する時期について、2018年半ばから2年先送りすると発表した。機体の設計を変更するためで、延期は5回目。
 より安全になるよう、機体前方に集中する飛行制御システムを前後に分散させるため2万本以上の配線を見直す。当初の開発費約1800億円が、4300億円程度までふくらむ見通しだ。

MRJの写真
今井尚撮影

23日 天皇陛下退位、一代限りを後押し

有識者会議 論点整理を公表

 天皇陛下の退位をめぐる政府の有識者会議(座長=いまたかし・日本経済団体連合会名誉会長)は、今の陛下に限った退位をすすめる論点整理を取りまとめた。事実上、政府が考える「一代限り」の特例法を後押しする内容だ。
 有識者会議は、安倍晋三首相に論点整理を手渡した=写真。退位について「将来の全ての天皇を対象とする場合」と「今の陛下に限ったものとする場合」に分けて、メリットとデメリットを挙げた。前者のメリットは、皇位継承を皇室てんぱんで定めるとした憲法の趣旨に沿うなど10件。デメリットとして、全ての天皇を対象とした要件を定めるのは困難など23件を並べ、課題が多い点を強調した。

有識者会議が安倍晋三首相に論点整理を手渡している写真
(C)朝日新聞社

23日 iPS細胞、提供一部停止

誤った試薬を使った可能性

 京都大学iPS細胞研究所(やまなかしん所長)は、再生医療用iPS細胞の一部について、大学や企業などへの提供を停止すると発表した。誤った試薬を使って作った可能性があり、安全性の問題が否定できないという。
 問題があったのは、赤ちゃんのへその緒の血液(さいたいけつ)から作ったiPS細胞で、昨年8月以降、13機関23プロジェクトに出荷。多くが患者には直接使わない研究用だが、患者に使う目的での提供もある。

23日 春闘、事実上スタート

長時間労働も焦点に

 日本経済団体連合会(経団連)と日本労働組合総連合会(連合)のトップらがしゅんとうに向けた方針を説明する「労使フォーラム」が開かれ、今年の春闘が事実上スタートした。今年は給料の引き上げに加え、長時間労働の問題など働き方の改革についてもテーマになりそうだ。
 労使フォーラムで、経営側は、賃上げは年収ベースで考え、賃金体系そのものを底上げするベースアップ(ベア)にはこだわらない姿勢を強調した。

24日 映画の興行収入、過去最高

入場者数、42年ぶり1.8億人超え

 映画の売り上げを表す国内の興行収入が昨年、2355億800万円(前年比183億8900万円増)に達し、現在の発表形式に変わった2000年以降で過去最高になった。日本映画製作者連盟が発表した。入場者も1億8018万9千人(同1355万9千人増)を記録。1億8千万人を超えたのは1974年以来42年ぶりだ。
 邦画部門で1位のアニメ「君の名は。」と2位の「シン・ゴジラ」を始め、東宝の配給作品が上位10本中8本を占めて、過去最高の854億円の興行収入を挙げた。
 邦画はアニメが上位10本中6本を占めた。

24日 防衛省初の衛星打ち上げ

H2Aで成功

 防衛省の通信衛星「きらめき2号」を載せたH2Aロケット32号機が、鹿児島県のがしま宇宙センターから打ち上げられた=写真。衛星を正常に分離し、打ち上げは成功した。
 きらめき2号は、防衛省が初めて保有・運用する衛星。これまで使ってきた民間衛星より高速、大容量の通信ができる。画像の送信や陸海空3自衛隊の部隊間の直接通信もでき、一元的な指揮統制に使われる。

H2Aロケット32号機打ち上げの写真
(C)朝日新聞社

24日 原爆キノコ雲、爆撃機から撮影か

広島平和記念資料館、米から入手

 広島平和記念資料館(広島市)は、72年前に原子爆弾を投下した米軍のB29爆撃機「エノラ・ゲイ」から撮影したとみられるキノコ雲の写真を米議会図書館で新たに入手し、発表した。「キノコ雲の動きなどを把握する手がかりになる」として分析を進める。
 下側の窓枠のような機体の一部とともに、爆心地付近から上空に立ち上ったキノコ雲全体が写されている。雲はさくれつ直後の特徴とされる上下二つに分かれた状態。写真右下の識別用とみられるナンバーなどから、エノラ・ゲイから撮影したものと推定した。
 原爆は、太平洋戦争末期の1945年8月6日に広島に、8月9日に長崎に落とされた。

25日 ジャマイカ失格、日本繰り上げか

北京五輪 男子400㍍リレー

 国際オリンピック委員会(IOC)は、2008年キン五輪の陸上男子400㍍リレーで金メダルを獲得したジャマイカのネスタ・カーター選手がドーピングの再検査で陽性とわかり、失格になったと発表した。ジャマイカチームも失格となり、ウサイン・ボルト選手らの金メダルもはくだつされる。3位の日本が繰り上がり、銀メダルとなる可能性が高い。
 IOCは北京五輪と12年ロンドン五輪で採取したドーピング検体の再検査を進めていた。

日付は現地時間 記事の一部は朝日新聞社の提供です

KEYWORD

通常国会
 毎年1月に開かれる国会。会期は150日間。内閣を代表して首相が国政全般にわたる基本方針を示し、予算案の議論などが始まる。
 今年の通常国会は6月18日まで。一般会計総額が約97兆円で過去最大の2017年度予算案のほか、これまで3回廃案になった「きょうぼう罪」の中身を変えた「テロ等準備罪」法案や天皇陛下の退位に関する法案の審議、憲法改正に向けた動きが焦点になる。時間ではなく成果で給料を決める労働基準法の改正案なども議論になりそうだ。

事務次官
 各省庁の長である大臣を助ける官僚(事務方)の最高ポスト。一般職の公務員で、省庁の仕事を整理し、各部局および機関の事務を監督する。
 事務次官が決まると同期入省者が原則として退官し、公益法人などに再就職する「天下り」の慣行が問題となっている。

MRJ
 ミツビシ・リージョナル・ジェットの略で、三菱重工業とその子会社・三菱航空機が手がける小型ジェット旅客機。経済産業省が事業者を公募し、これに応じた三菱重工が2008年から開発を本格化させた。
 「リージョナル(regional)」は英語で「地域の」という意味。地方空港と拠点空港などを結ぶことを想定した座席数100席以下のものをいう。

春闘
 労働組合が、新年度が始まる前の春から労働条件の改善をめざし、経営側と交渉すること。規模が大きかったり、業績が良かったりする組合を基準に事前にスケジュールを決め、同じ産業ごとにまとまって交渉する。要求が満たされない場合、組合側はストライキをすることがある。

H2Aロケット
 純国産のH2をもとに、コストの削減を進めた日本の主力大型ロケット。大きさは全長53㍍、直径4㍍。最大6㌧の人工衛星を静止軌道に運ぶことができる。H2Aの打ち上げ成功は今回で26回連続で、成功率は96.9%になった。民間以外では、韓国の宇宙機関の衛星を載せたこともある。

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