朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

9月21日―9月30日

2016年10月2日付

・覚えておきたい言葉には色をつけ、下の「KEYWORD」で説明しています。

21日 日銀の金融緩和を見直し

量より金利重視へ

 日本銀行は金融政策決定会合で、金融緩和の枠組みの見直しを決めた。「物価上昇率2%」を目標に、これまでは市場に流すお金の「量」を重視していたが、達成できなかった。長期金利が急低下して、銀行などの収益が悪くなるといった問題も出てきたため、「金利」を操作する政策に軸足を移す。
 金融緩和は景気を良くするための政策で、市場に出回るお金の量を増やし、お金を借りやすくしたりすること。日銀のくろはるひこ総裁が2013年4月から始めた。

22日 安倍首相、キューバ訪問

日本の首相初 医療分野へ12億円

 しんぞう首相は、日本の首相として初めてキューバを訪問し、国家元首にあたるラウル・カストロ国家評議会議長(85)と会談した。両首脳は、医療分野への約12億7千万円の無償資金協力や日本からの投資拡大など経済関係を強化していくことで合意。キューバと国交がある北朝鮮の核開発や問題への対応なども話し合った。
 首相は、ラウル氏の兄で1959年のキューバ革命を主導したフィデル・カストロ前国家評議会議長(90)とも会談した。
 キューバは昨年7月、米国と54年ぶりに国交を回復し、欧米からの経済協力や民間投資が活発化している。日本政府も、投資や貿易の拡大によってキューバとの関係を強化する考えだ。

ラウル・カストロ国家評議会議長と安倍晋三首相の写真
日本の無償資金協力署名式で並ぶラウル・カストロ国家評議会議長(右)と安倍晋三首相
(C)朝日新聞社

22日 iPS由来細胞の「がん化」を予防

慶応大のチームが開発

 ヒトのiPS細胞から作った神経幹細胞が、マウスの体内でがんになるのを防ぐ方法を、慶応大学のおかひでゆき教授(生理学)となかむらまさ教授(整形外科学)らのチームが開発した。この日付の米科学誌ステム・セル・リポーツ電子版に発表した。
 iPS細胞は皮膚など体の細胞から作ることができ、様々な組織の細胞に変えられる万能細胞。しかし、様々な細胞になる途中で過剰に増殖して一部ががんになるおそれが指摘されている。今回の方法は、治療の安全性を高めるのがねらい。

22日 イグ・ノーベル賞に日本人2人 

風景が遠くなる?「股のぞき効果」

 世の中を笑わせ、考えさせた研究や業績に贈られる今年のイグ・ノーベル賞の発表が、米国のハーバード大学であった。前かがみになって股の間から後ろ方向にものを見ると、実際より小さく見える「またのぞき効果」を示したひがしやまあつ・立命館大学教授とだちこうへい・大阪大学教授が「知覚賞」を受賞した。日本人の受賞は10年連続。

23日 核実験の自制を決議 国連安保理

米が提出、エジプトが棄権

 国連安全保障理事会は、あらゆる空間での核実験を禁止する条約「包括的核実験禁止条約(CTBT)」の早期の発効と、核実験の自制を各国に求める決議を賛成多数で採択した。決議は「核兵器のない世界」を掲げるオバマ米大統領が主導して米国が提出。15の理事国のうち、核保有国の常任理事国5カ国を含む計14カ国が賛成し、エジプトが棄権した。
 CTBTは1996年に国連総会で採択された。発効には核保有国と、潜在的な核開発能力があるとされる44カ国のじゅん(最終的な同意)が必要。今回の決議で、核が広がらないようにするための一定の効果が期待される。

24日 ゾウ密漁、ニホンウナギ絶滅を防げ

ワシントン条約会議始まる

 野生動植物の保護について話し合うワシントン条約締約国会議が、南アフリカのヨハネスブルクで始まった。10月5日まで続く。
 絶滅がされるゾウの密猟を止めるため、象牙の取引を続ける、日本を含めたすべての市場を閉じるべきかなどが話し合われる。市内では環境団体がデモ行進した=写真。
 25日には第1委員会で、絶滅が危惧されるニホンウナギなど、世界のウナギの国際取引の調査を求める提案が採択された。今回の会議の中で、正式に認められる見通し。欧州連合(EU)が提案し、日本も賛成。ただちに規制にはつながらないが、世界のウナギの7割を消費するとされる日本に、保護を求める声が強まりそうだ。

デモの、プラカードの写真
(C)朝日新聞社

24日 ひすいが「日本の石」に

日本鉱物科学会が選定

 「日本の石(国石)」が、ひすい=写真=に決定したと、日本鉱物科学会が発表した。理由として日本でも採れる宝石として有名なことや、よく知られている緑に加えてラベンダー色など様々な色があり、半透明で美しいこと、世界で最古のひすい文化(約7千年前)となったことなどを挙げた。
 学会は11種から、会員以外の意見も聞いて5種(こうがんあんこう、自然金、水晶、ひすい)にしぼりこみ、最後は決選投票でひすいが水晶を上回った。

ひすいの写真
(C)朝日新聞社

25日 大関・豪栄道が全勝で初優勝

大相撲 来場所に綱とり

 大相撲秋場所は、前日に初優勝を決めた大関・ごうえいどう=写真=がこの日も勝ち、全勝優勝を達成。11月の九州場所は、18年ぶりに日本出身の横綱が生まれるか注目が集まる。
 横綱は大相撲の力士のなかで一番上の位。成績が悪くてもばんづけは落ちない。昇進の条件は厳しく、大関が2場所連続で優勝するか、それに近い成績をおさめることとされている。

優勝杯を掲げる豪栄道の写真
(C)朝日新聞社

26日 臨時国会を召集、11月30日まで

TPP承認めぐり論戦

 臨時国会が召集された。会期は11月30日まで。与党は、安倍晋三首相の進める「アベノミクス」をさらに加速させるため、今国会では、環太平洋経済連携協定(TPP)承認と、関連法案の成立をめざすなど、経済対策を最優先させる構え。
 今年7月の参議院議員選挙の結果、衆議院・参議院とも憲法の改正をめざす「改憲勢力」が3分の2を占めた。それ以来、初めて与野党が国会で本格的に話し合いの場を迎えた。

26日 トランプvs.ヒラリー、公開討論

米大統領選へ 3回のテレビ討論

 11月8日投開票の米大統領選挙に向けて、民主党候補のヒラリー・クリントン氏(68)と共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)が、初のテレビ討論会で直接対決した。自由貿易に関する激しい論戦のほか、相手の印象を悪くしようと、欠点を非難しあう展開となった。視聴者数は約8400万人に達し、過去最多を記録する見通し。
 公開討論会は、今回をふくめて3回ある。

26日 コロンビア、内戦52年に終止符

 南米コロンビアの政府と、戦闘部隊のコロンビア革命軍(FARCファルク)は、内戦の終結と平和構築の手順を定めた最終合意文書に署名した。52年間にわたり約22万人の死者を出した戦いに、正式に終止符が打たれた。
 合意内容に賛成かどうかを問う国民投票が10月2日に行われる。FARCは武装解除して政党に生まれ変わる予定。

南米の地図。コロンビアと、その首都ボゴタの位置が示されている

28日 小池知事、初の都議会スタート

 東京都のいけ知事が初めて臨む都議会定例会が始まった。「都民と共に進める都政を実現する」と決意を述べた。焦点となるとよ市場(江東区)の盛り土をめぐる問題や、2020年東京五輪・パラリンピックの開催計画見直しなどにも言及した。
 小池知事は約40分間にわたり所信表明演説をし、豊洲市場の問題の原因解明とともに、情報公開と組織改革を進める考えを示した。

28日 日ハムが7度目パ・リーグ制覇

 プロ野球のパ・リーグは、北海道日本ハムファイターズが4年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。今年、投打で大活躍のおおたにしょうへい選手(22)がこの日先発し、1-0で埼玉西武ライオンズに完封勝利した。日本ハムは、首位に一時は11.5ゲーム差をつけられていた。しかし6~7月に15連勝するなどして追い上げ、逆転した。

28日 OPEC、8年ぶり減産へ合意

 中東などの14カ国が加盟する石油輸出国機構(OPECオペック)は、約8年ぶりに原油の生産量を減らすことで、合意した。生産量が多すぎて原油の価格が落ちたため、量を減らして価格を上げたい考え。
 加盟国の原油生産量の上限を1日あたり3250万~3300万バレルにする。OPECの8月の生産量は1日あたり3324万バレルで、実質的には最大で70万バレルほどの減産になる。1バレルは約160㍑。

29日 全国学力調査の結果公表

文科省「底上げ図られている」

 文部科学省は、全国の小学6年生と中学3年生が4月に取り組んだ全国学力調査の結果を公表した。中学3年生の全国(国公私立)の平均正答率は、国語Aが76.0%、国語Bが67.1%、数学Aが62.8%、数学Bが44.8%だった。
 2007年度に調査が始まってから今年で10年目。毎年問題が異なるため、平均正答率を単純比較はできない。年ごとの全国平均を100として、正答率が高い3都道府県と、低い3都道府県の平均を数値化すると、07年度に比べて、正答率が低い都道府県が全国平均の100に近づく傾向がみられる。文科省は「学力の底上げが図られている」とみている。
 調査は国語と数学(算数)の2教科で、基礎的な知識を問うA問題と、活用力を見るB問題に分かれる。12年度から理科も3年に1回行われている。生活習慣などを尋ねる「質問紙調査」もあり、学力との関係も分析している。
 調査結果から児童、生徒の課題を把握し、教師が指導方法の改善につなげるのがねらい。事前に過去問を解いて対策をとる学校があり「本来の学力が測られていないのでは」といった指摘や、「学校ごとの正答率が公表されれば、学校の序列化につながる」などと不安の声も根強い。
 今年は4月19日に行われ、全国の中学3年生約103万8千人が参加。4月に発生した熊本地震の影響で、熊本県のすべての公立校と、宮崎、大分県の一部の学校では、この日には実施しなかった。調査結果は当初、8月下旬に公表される予定だったが、集計もれが発覚したため、延期されていた。(八木みどり)

日付は現地時間 記事の一部は朝日新聞社の提供です

KEYWORD

キューバ
 中南米に位置し、人口は約1126万人(2014年)、首都はハバナ。社会主義の国で、公用語はスペイン語。1902年にスペインから独立した。59年、革命軍が独裁政権を倒し、カストロ政権が成立(キューバ革命)。62年、ソ連(当時)がキューバに核ミサイルの基地を置こうとし、米国と核戦争寸前となった「キューバ危機」が起こった。

北アメリカ大陸の地図。キューバと、その首都ハバナの位置が示されている

ワシントン条約
 希少な野生動植物を保護するための国際的なルール。1975年に発効。締約国は181カ国および欧州連合(EU)。原則として2年に1回、締約国会議が開かれる。

臨時国会
 国会は大きく分けて「通常国会」「特別国会」「臨時国会」の3種類。通常国会は毎年1月に召集され、予算案などを話し合う。臨時国会は、内閣が必要と判断したときや、衆議院か参議院の総議員の4分の1以上が要求したときに召集される。特別国会は、衆議院の解散による総選挙後30日以内に召集され、内閣が総辞職して首相を選ぶ。また、衆議院の解散中、緊急の必要があれば内閣は参議院の「緊急集会」を開くことができる。

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