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2020年5月17日付
政府は14日、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言を、感染の広がりに一定の歯止めがかかっている39県で解除することを決めた。
39県は、重点的に対策を講じるとして指定した13の「特定警戒都道府県」のうち、茨城、石川、岐阜、愛知、福岡の5県と特定警戒以外の34県。決定に先立つ記者会見で安倍晋三首相は、各県の直近1週間の新たな感染者数が10万人あたり0.5人程度以下になっていることなどから「総合的に判断した」と説明した。
39県では、社会経済活動の段階的な再開が課題で、県知事が休業要請の継続や解除などを判断する。政府は解除地域でのイベント開催は当面、屋内は100人以下、屋外は200人以下などを目安に判断することを通知した。
一方、宣言を継続する北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫の8都道府県について、安倍首相は「まだリスクが残っている」と指摘。「気を緩めることなく」外出自粛や地方への移動自粛を続けるよう求めた。21日をめどに改めて感染状況を分析し、31日の宣言期限を待たずに解除できるか検討する。
大阪府の吉村洋文知事は14日、特別措置法に基づいて要請していた休業について、16日から段階的に解除することを決めた。引き続き緊急事態宣言の対象だが、特措法に定められた知事の裁量の範囲で、府が独自に定めた自粛要請解除の基準「大阪モデル」に合わせ判断した。経済が極度に冷え込むのを防ぐのが目的だ。
JR旅客6社によると、ゴールデンウィーク期間(4月24日~5月6日)の新幹線や在来線特急・急行の利用客は、昨年の同じ時期に比べ95%減の91万6千人だった。記録が残る1990年以降で最低。各新幹線の利用客は前年に比べ3~7%だった。
全国の主な駅周辺の人出は、昨年に比べて最大9割近く減った。ソフトバンクの子会社アグープが全国68駅について、昨年の10連休(4月27日~5月6日)と、今年の4月25日~5月6日のうち平日4日間を除く8日間の、午後3時台の1日平均の推定人口を比べた。減少率のトップ3は大阪府の梅田駅88.2%、大阪駅87.5%、北海道の新千歳空港駅87.2%だった。
新型コロナウイルスの感染対策を重点的に行う「特定警戒都道府県」に指定されていない34県で、店や施設への休業要請を緩める自治体が26県にのぼることが、朝日新聞のまとめでわかった。このうち青森、岩手、宮城、鳥取、島根、香川、高知、宮崎の8県では全面的な解除に踏み切った。政府の基本的対処方針が「地域の実情に応じて判断する」と改定されたことから、感染対策を進めながら経済の回復を探る動きが出た。
感染対策のシートを張り、営業を再開したうどん店=7日、香川県高松市
(C)朝日新聞社
新型コロナウイルスへの感染を調べるPCR検査をめぐり、厚生労働省は、疑いのある人が保健所などの相談センターに相談する際の目安を改めた。「37.5度以上の発熱」などを外し、息苦しさや強いだるさなどがある場合はすぐに相談するよう求めた。高齢者や糖尿病などの持病があり重症化しやすい人は、軽い風邪の症状でもすぐに相談するとしている。
新型コロナウイルスの世界の感染者が累計で402万6729人となった(10日午後5時現在)。米国のジョンズ・ホプキンス大学の集計。米国や欧州の先進国が上位を占めるが、増加の伸びが抑えられ始めた国が増えている。一方、ブラジルなどの新興国では先月から感染者の急増が目立つ。
臨時休校中の全国の小中学校や高校などのうち、96%が6月1日までに学校を再開する予定であることが、文部科学省の調査(11日正午現在)でわかった。そのうち25日までに再開予定が16%、6月1日までが80%だった。
都道府県別では、東京など13の特定警戒都道府県を含む29都道府県が6月1日までに再開を予定。9県は「5月中~下旬に再開予定」としている。
新型コロナウイルスに感染しているかを短時間で調べられる「抗原検査」について、厚生労働省が13日、検査キット=写真=を承認した。ウイルスの遺伝物質の一部を増やして調べるPCR検査と組み合わせて、検査体制を充実させる狙いがある。
抗原検査はインフルエンザなどの診断に広く使われていて、約30分で結果が出るという。当面はPCR検査をしている帰国者・接触者外来や、救急患者の診断などから使い始める。一般の医療機関については、キットの今後の供給量も踏まえて検討する。
抗原
体に免疫反応を引き起こす物質。検査では、綿棒で鼻の奥をぬぐい、抗原が体内にあるかを調べる。精度はPCR検査より低いとされる。
エコノミー症候群に注意して
新型コロナウイルスに感染し、自宅やホテルで療養する人が増える中、療養生活では「エコノミークラス症候群」(静脈血栓症・肺塞栓症)になる危険があるとして、専門家が注意を呼びかけている。特殊な環境でストレスを感じたり、水分や食事が十分に取れなかったり、運動不足になったりすると、原因の血栓ができやすいという。
エコノミークラス症候群
足の静脈に血栓(血のかたまり)ができて肺の血管に飛び、急に息ができなくなる病気。重症の場合は命に関わる。
日本国内で確認された感染者の総数はクルーズ船の723人を含め1万6938人。うち退院者は1万989人(14日現在)。
世界各地で壁などに風刺画を描いている芸術家のバンクシーが、新型コロナウイルスに対応する医療現場の人々を励ます新作を英国の病院に贈った。英国の公共放送BBCが伝えた。看護師をヒーローのように描いている。
小惑星「リュウグウ」はかつて、太陽にかなり近い軌道を回っていたらしいと、東京大学や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが発表した。
探査機「はやぶさ2」が昨年2月、リュウグウに着陸した際、0.3ミリ以下の赤黒い微粒子が舞い上がるのがカメラにとらえられた。微粒子は30万~800万年前の間に太陽にあぶられてできたことがわかり、リュウグウは水星より内側の軌道にいたと推測される。
ゲーム機「ニンテンドースイッチ」=写真=の販売が、新型コロナウイルスの影響による「巣ごもり需要」で伸び、任天堂の2020年3月期の売上高と営業利益が10年ぶりの高水準となった。同社が決算を発表した。
スイッチの2019年度の販売台数は前年と比べて24.0%増え、2103万台。17年の発売以降で最高だった。
(C)朝日新聞社
鹿児島県の奄美地方が梅雨入りしたとみられると、気象庁が発表した。全国で最初の梅雨入りで、昨年より4日、平年より1日早い。
11日には沖縄地方も梅雨入りしたとみられると発表した。
梅雨
春から夏に季節が変わる時期に、南の暖かく湿った空気と北の冷たい空気が日本列島上空でぶつかり、雨が降りやすくなることをいう。
全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社は、今年秋に予定していた全日本吹奏楽コンクール、全日本小学生バンドフェスティバル、全日本マーチングコンテストの全国大会の中止を決めた。新型コロナウイルス感染の終わりが見通せない中で行うのは難しいと判断した。
地方大会の開催については今後、各地域の連盟が判断する。
練習する吹奏楽部の高校生=2019年
(C)朝日新聞社
新型コロナウイルスの感染者が少ない一部地域の学校で、授業が再開された。
青森市では、小中学校で分散登校が始まった。奇数学年と偶数学年で登校日を分けた。秋田県では県内全域で再開。秋田市の市立中学では、生徒がげた箱の位置に迷う姿も。校舎内の消毒や定期的な換気をしたり、机の間隔を空けたり、感染防止に気を配っての再開となった。
プロ野球を統括する日本野球機構(NPB)と12球団が代表者会議を開き、7月19日にペイペイドーム(福岡市)、20日にナゴヤドーム(愛知県名古屋市)で予定していたオールスターゲームの中止を決めた。1951年に始まって以来、開催中止は初めて。開幕日の決定は先送りした。
トヨタ自動車は今年度の決算(2021年3月期、国際会計基準)について、本業のもうけを示す営業利益が前年と比べ79.5%減の5千億円になる予想を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に販売が急減。グループの世界販売台数の見通しが前年(1045万台)より約15%減って890万台となり、8年ぶりに1千万台を下回るとしている。
豊田章男社長はネットで会見し、「コロナ・ショックは(赤字に転落した)リーマン・ショックよりもインパクトははるかに大きい」と危機感を示した=写真。
(C)朝日新聞社
高知県で7月31日~8月6日に開かれる予定の全国高校総合文化祭(総文祭)について、萩生田光一・文部科学相は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、生徒を会場に集めて開くことはせず、インターネットを活用した動画や画像の配信などで開催すると発表した。「将棋も、環境を整えれば遠隔操作での対戦も可能だと思う」とし、できる限りあらゆる種目で行いたいと述べた。
一方、高知市で8月1、2日に開催予定だった「まんが甲子園」(全国高校漫画選手権大会)は中止が決まった。主催する高知県が発表した。1992年の開始以来、初の中止。ネット上での作品発表などを検討している。
原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す日本原燃六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)について、原子力規制委員会は、安全対策の基本方針が新規制基準に適合すると認めた。
原燃は2021年度前半の完成を目指すが、残る審査に時間がかかり、核燃料サイクル政策もうまくいかない状況。本格的な稼働がいつになるか見通せない。
核燃料サイクル
原発の使用済み核燃料からまだ使えるプルトニウムやウランを取り出し、再び燃料にして原発で繰り返し使用する仕組み。
(C)朝日新聞社
大相撲の三段目力士、勝武士の末武清孝さん(28)=写真=が新型コロナウイルスに感染して体調が悪化し、亡くなった。日本相撲協会が発表した。糖尿病の基礎疾患があったという。厚生労働省によると、20代以下が死亡するのは国内で初めて。勝武士が所属する高田川部屋では、師匠の高田川親方らも感染が確認されたが、いずれも軽症ですでに退院している。
協会は、過去の感染歴を調べる抗体検査を、約1千人いる親方、力士、裏方ら協会員の希望者全員に行う方針も明らかにした。
抗体検査
感染歴の検査。ウイルスに感染した後に免疫細胞がつくるたんぱく質の一種(抗体)が血液中にあるかを調べる。
(C)朝日新聞社
日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。