朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

10月4日―10月11日

2018年10月14日付

4日 五輪・パラ 国の支出8千億円

検査院指摘 予算を大幅に上回る

 2020年東京五輪・パラリンピックに関わる経費について会計検査院が調べたところ、国の支出は約8千億円で、予算に含まれる経費以外に約6500億円が計上されていたことがわかった。
 大会組織委員会が17年12月に示した最新の予算総額は約1兆3500億円。組織委と東京都が約6千億円ずつを負担するほか、新国立競技場の建設費用とパラリンピック開催準備費用を合わせた計約1500億円を国が受け持つとされている。開催までにさらに費用は膨らむ見通しで、検査院は、内閣官房の大会推進本部事務局に、速やかに全体を把握して公表するよう求めた。

会計検査院
 国の会計経理を監督する機関。憲法で設置が定められている。行政機関ではあるが、国会、裁判所、内閣から独立している。国会は会計検査院に対し、特定のことについて調べて結果を報告するよう求めることができる。

オリパラ大会経費(試算額)の推移と負担割合のグラフ
(C)朝日新聞社

4日 児童虐待の通告、3万7千人

過去最多 今年上半期

 全国の警察が今年上半期(1~6月)、虐待を受けているとして児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子どもは3万7113人で、過去最多だったと警察庁が発表した。年間で過去最多となった昨年の上半期より2割以上多い。警察庁は、社会の関心が高まり、警察への通報や相談が増えたことが背景にあるとみている。
 最も多かったのは、言葉による脅しや無視など子どもの心を傷つける「心理的虐待」で、全体の約7割を占める2万6415人。このうち6割強の1万6869人が、子どもの前で配偶者らを暴行したりどなったりする「面前DV」。「身体的虐待」は6792人で、「育児放棄(ネグレクト)」は3795人、「性的虐待」は111人だった。

4日 トヨタとソフトバンクが新会社

過疎地の配車など移動サービス事業

 トヨタ自動車とソフトバンクが、移動サービス事業で提携すると発表した=写真は握手を交わすトヨタのとよあき社長(右)とソフトバンクグループのそんまさよし会長兼社長。配車サービスや自動運転車の宅配などを手がける新会社を今年度、共同で設立する。
 新会社「モネテクノロジーズ」の資本金は20億円で、ソフトバンクのみやかわじゅんいち副社長が社長に就く。両社の約30人の技術者らが事業展開を担う。
 今年度中に、過疎地の高齢者ら「交通弱者」向けに配車サービスを始める。自治体やバス会社に車両や運行システムを提供。利用者の求めに応じて配車する事業を国内100地区で手がけることを目指す。

握手を交わすトヨタの豊田章男社長(右)とソフトバンクグループの孫正義会長兼社長の写真

トヨタとソフトバンクが移動サービスで提携する図
どちらも(C)朝日新聞社

5日 性暴力の根絶へ ノーベル平和賞

ムクウェゲさん、ムラドさん

 2018年のノーベル平和賞を、アフリカ中部コンゴ民主共和国の婦人科医デニ・ムクウェゲさん(63)=写真=と、過激派組織による性暴力の被害者で、被害者の救済を訴えるイラクの少数派ヤジディ教徒のナディア・ムラド・バセ・タハさん(25)におくると、ノルウェーのノーベル委員会が発表した。紛争下の性暴力の根絶に向け、力を尽くしたことを評価した。
 委員会は「性暴力という戦争犯罪に焦点をしぼり、なくそうと努める重大な貢献をした」と授与理由を説明した。長年続く紛争下での女性や子どもへの性暴力の実態に国際社会の目を向けさせ、完全になくせるようにというねらいがある。

アフリカ中部コンゴ民主共和国の婦人科医デニ・ムクウェゲ・さんの写真
(C)朝日新聞社

5日 東京都で「ヘイト規制条例」成立

性的少数者への差別禁止も

 東京都の「オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」が成立した。ヘイトスピーチ規制と、性的少数者を理由にした差別の禁止が柱で、いずれも都道府県の条例で初となる内容。来年4月に全面施行される。2020年東京五輪・パラリンピックに向けてアピールするため、いけ知事が昨年12月に制定方針を表明していた。
 ヘイトスピーチ対策として、公園やホールなど都の施設の利用制限を盛り込んだ。都によると、差別的な言動の可能性が高く、危険性が明らかな場合を想定しているが、具体的な利用制限の基準を設けるのはこれからだ。また、LGBTなど性的少数者に焦点をあて、「性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならない」と明記した。

5日 「専門職大学」認可は1大学だけ

設置申請17のうち

 大学の制度に来春から新たに追加される「専門職大学」について、文部科学省の大学設置・学校法人審議会は、設置申請があった17の大学・短大・学科のうち、1大学だけ開設を認める答申を出した。
 専門職大学は「質の高い職業人」の育成を目的に、観光や農業、情報といった特定の職業について教える。大学の制度に新しい形が加わるのは短大以来55年ぶりだが、初年度の審査は厳しい結果となった。
 唯一認可された高知リハビリテーション専門職大学は高知県市に設置され、理学療法学や作業療法学を教える。

6日 北海道地震から1カ月

避難所生活440人 観光業に打撃

 北海道ぶり地方を震源とする地震から1カ月が経った。36人が亡くなったあつ町では、被災現場や役場前の献花台で手を合わせる人の姿が見られた=写真。厚真、びら、むかわ各町と北広島市では、合わせて約440人が避難所で生活。最低気温がれい20度を下回ることもある冬の到来が近づいている。
 道内ほぼ全域にまたがった停電や相次ぐ余震は、主要産業の観光業に影を落とす。道庁によると、宿泊キャンセルは9月30日までに延べ114万9千人、交通費や飲食・土産物代を含む影響額は356億円に上っている。北海道体験観光推進協議会によると、道外から修学旅行で訪れる中高生のキャンセルは約1万7千人を超えた。

厚真町の被災現場の献花台で手を合わせる人の写真
(C)朝日新聞社

6日 アジアパラ大会が開幕

インドネシア

 障がい者スポーツの総合大会、インドネシア・アジアパラ大会が開幕した。2020年パラリンピック・東京大会までにアジアで開かれる最後の総合大会だ。43カ国・地域から約2800人の選手が、陸上や水泳、車いすテニスなど18競技に参加。日本の選手団は300人あまりで過去最多。13日まで。

アジアパラ大会の開会式で入場行進する日本代表の選手たちの写真
開会式で入場行進する日本代表の選手たち=6日午後、インドネシア・ジャカルタ
(C)朝日新聞社

7日 核実験場の査察受け入れへ

北朝鮮 正恩氏、米国務長官と会談

 ポンペオ米国務長官は北朝鮮のピョンヤンを訪問し、キムジョンウン朝鮮労働党委員長と会談した。正恩氏は5月に行われたプン核実験場の爆破が「不可逆的」な廃棄であると確認させるため、査察官を招待する考えを示したという。
 また、韓国大統領府によると、両者は2回目の米朝首脳会談を可能な限り早期に開くことで一致した。

7日 大迫選手、2時間5分50秒

マラソン日本新

 第41回シカゴ・マラソンが米シカゴで開催され、おおさこすぐる選手(27)が2時間5分50秒の日本新記録で3位に入った。これまでの記録は今年2月の東京マラソンで設楽したらゆう選手がマークした2時間6分11秒。大迫選手には、日本実業団陸上競技連合から賞金1億円が贈られる。
 大迫選手は長野・ちょうせい高、早稲田大、実業団を経て米国を拠点に活動。今回は自身3度目のフルマラソンだった。「最後の1マイル(約1.6キロ)で行けるぞと思って頑張れた。タイムを切れてよかった」と話した。

8日 平均気温、2030年にも+1.5度?

温暖化巡りIPCCが初の報告

 地球温暖化が今のまま進めば、早ければ2030年にも世界の平均気温が、18世紀後半の産業革命前より1.5度上昇する――。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、温暖化に関してこのような予測をまとめた。1.5度上昇すると、氷に覆われた陸地が溶け、2100年までに海水面が最大77センチ上昇するなど、深刻な影響を指摘している。
 地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は、産業革命以降の気温上昇を2度未満、できれば1.5度未満に抑えることを目標にしている。これに基づき、IPCCが初めて報告書を作成した。

これまでの気温上昇と今後の予測のグラフ
(C)朝日新聞社

9日 就活現行ルール廃止、政府主導へ

経団連 2021年入社から

 大学生の就職活動の日程を決めている今のルールを廃止すると、日本経済団体連合会(経団連)が正式に発表した。今の大学2年生にあたる2021年春入社以降の新卒学生が対象となる。今後は、経団連に代わって政府がルールづくりを主導する形に変わる。
 経団連は大企業を中心に約1400社が加盟する団体で、60年以上前から会社説明会や採用面接などの開始時期を決めていた。最近は加盟しない企業が採用を前倒しで行うなど、ルールが及ばなくなっていた。

10日 金足農・吉田投手、プロ志望表明

甲子園で5試合完投

 今年の夏の甲子園大会で準優勝したかなあし農業高校(秋田県)のよしこうせい投手(17)が、プロ志望を表明した=写真。県の高校野球連盟を通じてプロ志望届を提出した。
 吉田投手は甲子園で決勝を除く5試合で完投した。ドラフト会議は25日に開かれる。

金足農業高校の吉田輝星投手の写真
(C)朝日新聞社

11日 東京・豊洲市場が開場

築地は解体へ 移転決定から17年

 83年の歴史を終えたつき市場(東京都中央区)に代わり、とよ市場(こうとう区)が始動した。全国から魚介類が集まった水産おろし売場棟で早朝、移転後初の生マグロのセリが始まった=写真、今井尚撮影。
 築地市場は6日に営業を終了。業者らは10日までに引っ越しを終えて、解体が始まった。豊洲市場の広さは、築地市場の約1.7倍。温度管理や衛生管理を強化するため、屋内に外気が入りにくい「閉鎖型」施設だ。
 土壌汚染対策などに揺れた豊洲市場は、小池百合子都知事が移転を延期し、当初の計画から2年遅れの開場となった。都が移転を決めてから実現まで17年かかった。

移転後初の生マグロのセリが始まった豊洲市場の写真


日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

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