朝日中高生新聞
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まとめてわかる!ニュース1週間

8月9日―8月17日

2017年8月20日付

9日 北朝鮮、グアムへの発射計画

ミサイルは「日本上空を通過」

 北朝鮮は、新型中距離弾道ミサイル「火星12」を4発同時に発射し、米軍基地があるグアム島周辺の30~40キロの海上水域に着弾させる包囲射撃計画を検討していると発表した。包囲射撃では「島根県、広島県、高知県の上空を通過する」とも言及。実際に弾道ミサイルが日本列島上空を通過すれば、キムジョンウン政権になって初めてのことになる。
 でらいつのり防衛相は10日、北朝鮮の弾道ミサイルがグアムに向けて発射された場合、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に当たる「可能性がないとは言えない」と話した。米朝間の緊張が高まる中、一般論としつつも、自衛隊の参戦の可能性を示唆したのは異例で、専門家からは「拡大解釈」との懸念の声もあがっている。
 トランプ米大統領は11日、自身のツイッターで「北朝鮮がおろかな行動を取った場合、軍事的な解決の準備は完全に整っている」と述べ、軍事的な報復も辞さない考えを強調した。一方で、対話による交渉の可能性にも触れるなど言葉による神経戦が続いている。

存立危機事態
 日本と関係が深い国が攻撃された時、その攻撃で日本や日本国民にも明らかな危険がある事態のこと。日本が、直接攻撃されなくても、日本への攻撃と見なして反撃する「集団的自衛権」を使う際の前提条件の一つ。2015年9月に成立した安全保障関連法に規定された。

北朝鮮のグアム島周辺への包囲射撃計画のイメージ地図
(C)朝日新聞社

10日 サニブラウン選手7位

世界陸上 男子200メートル決勝

 陸上の世界選手権(英国・ロンドン)男子200メートル決勝で、18歳のサニブラウン・ハキーム選手は20秒63で7位だった。2003年大会銅メダルのすえつぐしん選手以来となる同種目での日本選手の表彰台はならなかった。
 サニブラウン選手は18歳5カ月で決勝進出。05年大会のウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)の史上最年少記録18歳11カ月を更新した。

10日 東芝、赤字9656億円

決算めぐる混乱は一段落

 東芝は、2017年3月期決算の有価証券報告書を関東財務局に提出した。正式な決算(米国会計基準)では、純損益は国内製造業として最大規模の9656億円の赤字となったと発表した。今年3月時点で、借金など負債の額が保有する資産の額を上回る「債務超過」の額は5529億円。
 東芝は海外での原発事業で巨額の損失を抱え、経営も問題視された。決算内容が正しいかを調べる「監査法人」からお墨付きが得られずに正式な決算を出せなかった。
 しかし今回は監査法人からおおむね妥当とする「限定付き適正」の監査意見をもらい、決算をめぐる混乱は一応決着。発行する株式が証券取引所で売り買いできなくなる「上場廃止」になるおそれは当面なくなった。

12日 中国・四国の4県に「PAC3」

北朝鮮の発射に備え

 北朝鮮が米領グアム島周辺に弾道ミサイルを発射する構えを見せていることを受け、政府は、地上配備型迎撃ミサイル「PACパック3スリー」を中国・四国地方の計4カ所の陸上自衛隊駐屯地に配備した=写真は発射機。
 配備したのは、出雲いずも(島根県)、かいいち(広島県)、まつやま(愛媛県)、高知(高知県)の各駐屯地。グアムに向けたコースを外れて誤って日本に落ちてきた場合を想定した。

PAC3
 地上から発射され、弾道ミサイルなどを迎撃するミサイル。米国製のパトリオットを改良し、弾道ミサイルの迎撃に特化させた。射程は半径約20キロ程度。

地上配備型迎撃ミサイルPAC3の写真
(C)朝日新聞社

12日 日航ジャンボ機墜落から32年

遺族359人が慰霊

 乗客・乗員計520人が死亡した日本航空のジャンボ機墜落事故から32年を迎え、現場となった群馬県うえ村のたかの尾根では、遺族359人が登って慰霊した。
 ふもとの「慰霊の園」ではついとうしきがあり、墜落時刻の午後6時56分にあわせ、犠牲者と同じ520本のろうそくに点火して、祈りをささげた=写真。

日本航空のジャンボ機墜落事故の追悼式でロウソクに点火して祈りをささげている写真
(C)朝日新聞社

12日 辺野古移設反対の県民大会

沖縄・那覇 4万5千人参加

 米軍てん飛行場(沖縄県わん市)のへの移設に反対する県民大会が、市の奥武山おうのやま陸上競技場で開かれた。主催者発表で4万5千人が参加した=写真。
 県民大会では、オーストラリアで5日に米海兵隊の垂直離着陸機オスプレイが墜落し3人が死亡する事故が起きたが、米軍が飛行を続け、それを日本政府が容認したことにも厳しい意見が相次いだ。

米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する県民大会の写真
(C)朝日新聞社

12日 日本男子、400メートルリレーで銅

世界陸上 ボルト選手は途中棄権

 陸上の世界選手権(英国・ロンドン)男子400メートルリレーで、日本が銅メダルを獲得した=写真。昨年のブラジル・リオデジャネイロ五輪の銀に続くメダルで、世界選手権の表彰台は初めて。
 5連覇を狙ったジャマイカは今大会限りで引退するウサイン・ボルト選手が第4走者で出場。しかしレース中に左足を痛めて転倒し、途中棄権した。

陸上の世界選手権の男子400メートルリレーで銅メダルを獲得した選手四人の写真
(C)朝日新聞社

12日 白人至上主義者と反対派衝突

トランプ大統領の対応にも批判

 米東部バージニア州シャーロッツビルで、集会を開いた白人至上主義グループと、対抗デモを行った反対派が衝突した。反対派が集まっているところに車が突っ込んで1人が死亡、約20人が負傷した。さらに警戒中の警察のヘリコプターが墜落し、警官2人も死亡した。
 集会を開いたのは、白人至上主義者の数百人。シャーロッツビルでは、奴隷制存続を主張して南北戦争を戦って敗れた南部側の英雄の銅像撤去が計画されていた。これに抗議しようと集会が呼びかけられた。これに対し黒人の権利擁護などを訴えるグループが対抗し、衝突した。
 トランプ大統領はこの日の記者会見で「各方面による憎悪や偏見、暴力を可能な限り最も強い言葉で非難する」などと述べた。しかし、白人至上主義グループに的を絞った非難ではなかったことから批判が噴出した。
 トランプ氏は14日の記者会見で白人至上主義者の団体を名指しし、「人種差別は悪だ」と訴えた。しかし15日には「両者に非がある」と発言。白人至上主義団体をかばうようにも受け取れ、さらに波紋を呼びそうだ。

白人至上主義
 白人が一番優れているとし、他の人種を差別する考え。米国の白人至上主義の主要団体とされる秘密組織クー・クラックス・クラン(KKK)は南北戦争後の19世紀後半、黒人を退ける目的で急速に米南部に広がった。白い三角ずきんをまとった姿と、十字架を燃やす儀式で知られる。

13日 荒井選手が銀、小林選手が銅

世界陸上 男子50キロ競歩

 陸上の世界選手権(英国・ロンドン)の最終日は、バッキンガム宮殿前付近の周回コースで競歩が行われ、男子50キロでリオ五輪銅メダルのあらひろおき選手=写真右=が銀、初出場のばやしかい選手=写真左=が銅メダルを獲得した。
 荒井選手は「メダルを取らないといけないという気持ちもあった。仕事ができてほっとしています」と喜んだ。

陸上の世界選手権の競歩男子50キロで銀メダルを獲得した荒井広宙選手と銅メダルの小林快選手の写真
(C)朝日新聞社

15日 終戦の日 不戦の決意

天皇陛下、「深い反省」

 この日は72回目の終戦の日。東京・日本武道館で政府主催の全国戦没者ついとうしきが開かれ、参列した遺族ら約6200人が約310万人の戦没者をいたんだ=写真。
 しんぞう首相は式辞で「戦争のさんを二度と繰り返してはならない」と不戦の決意を表明。アジア諸国への加害と反省には今年も触れなかった。
 第2次世界大戦後、極東国際軍事裁判(東京裁判)で「平和に対する罪」について有罪判決を受けたA級戦犯がごう(いっしょにまつること)されているやすくに神社にこの日参拝した閣僚はいなかった。
 天皇陛下は追悼式で、「深い反省」という表現を含めて昨年と同じ「おことば」を述べた。
 参列予定遺族5225人のうち、戦後生まれの人は25.6%で初めて4分の1を超えた。

全国戦没者追悼式の写真
(C)朝日新聞社

16日 「水俣条約」が発効

水銀規制の国際ルール

 国際的な水銀規制のルールを定めた「みなまた条約」が、発効した。水銀による環境汚染や健康被害を防ぐため、採掘や使用に加え、輸出入なども含めた包括的な管理に取り組む。
 2013年に熊本県で開かれた国際会議で採択、今年5月に締約国が50を超え、発効が決まった。今月8日時点で日本や米国、中国や欧州連合(EU)、アフリカ諸国など74の国と地域が締結している。
 条約名には、メチル水銀によって深刻な神経障がいを引き起こした水俣病のような健康被害を二度と繰り返してはならないという決意が込められている。

水俣条約の主な内容の説明図
(C)朝日新聞社

16日 テニス錦織選手、今季欠場

右手首けが、トップ10落ちへ

 男子テニスの世界ランキング9位、錦織にしこりけい選手(27)=写真=が右手首のけがのため、28日に開幕する全米オープンをはじめ、今季の残り大会をすべて欠場することが明らかになった。来季の復帰を目指すという。
 出場予定だった米国での別の大会のサーブ練習中に右手首に痛みを覚え、大会を欠場した。世界ランキングのトップ10から大幅に順位を落とすことになる。

男子テニスの錦織圭選手の写真
(C)朝日新聞社

17日 バルセロナでテロ、13人死亡

車が暴走 ISが犯行声明

 スペイン・バルセロナ中心部の繁華街ランブラス通りで、車が歩道に突っ込んで歩行者を次々とはねた。地元政府は13人が死亡し、100人以上が負傷したと発表した。過激派組織「イスラム国」(IS)は系列メディアを通じて犯行声明を出した。

スペイン・バルセロナ中心部の地図
(C)朝日新聞社

日付は現地時間。記事の一部は朝日新聞社の提供です。

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