朝日中高生新聞
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2020年の政治のゆくえは

2019年12月22日付

 2020年は、歴代首相で在職期間が最長になったしんぞう首相の政権がどこまで続くのかを占う重要な年。7月に東京都知事選挙があり、その後、東京五輪・パラリンピックが開かれる。安倍首相が進めたい憲法改正の動きも注目で、再来年で満了する自民党総裁任期をにらんで目が離せない。

歴代最長・安倍政権はいつまで続く

五輪で花道か党則改正し4選へ?

 前回2017年の衆議院の解散・総選挙から2年ほど経ち、任期の半分が過ぎた。首相がいつ解散に踏み切るのかが来年の焦点となりそうだ。
 1月から始まる通常国会では、国民の税金を使って安倍首相が主催してきた「桜を見る会」の問題が再び取り上げられ、私物化の疑いについて厳しい批判を受けるだろう。7月から9月にかけては東京五輪・パラリンピックがある。国会の状況や政治日程をにらみながら、解散についてどう判断するのか。もう解散せず、再来年9月の自民党総裁選挙で任期を終える可能性だってある。
 大臣が相次いで辞任するなど、12年から続く長期政権のひずみも指摘されている。任期が終わるのを待たず、「五輪を花道に」という理由で退く――。こんなシナリオもささやかれている。
 一方、首相はこれまで国政選挙で勝ち続けていて、内閣の支持率も歴代政権と比べれば高い。自民党の党則では、総裁になれるのは「連続3選まで」としていて、「4選」するには党則の改正が必要にある。
 首相本人は今のところ4選を否定している。ただし党の中では4選して、さらに3年、首相を続けてほしいという声もあり、どうなるか分からない。

憲法改正や都知事選、外交課題――

与野党の対立激化 米選挙も影響か

 安倍首相が目指す憲法改正では、与党と野党の対立が激しい。自民党は憲法9条に自衛隊を書き込む改正案などを示していて、各党に合意を図りたいと考えている。
 ただ、同じ与党の公明党は慎重だ。立憲民主党など野党は、「憲法改正より先に議論することがある」と主張している。首相が野党との話し合いをあきらめ、「数の力」で押し通そうとしても、世論の反発を受けるだろう。
 7月には東京都知事選挙がある。全国の1割に上る1千万人以上の有権者が、1人の知事を選ぶ選挙で、毎回、国政の与党・野党がしのぎを削る。
 現職のいけ都知事が再選を目指す。前回は小池氏に推薦候補が負けた自民党が対抗馬を立てられるのか、野党の候補者が誰になるかによって激戦が予想される。
 外交のゆくえも見逃せない。春には中国のシーチンピン国家主席が国賓として来日を予定していて、日中関係にとって大きな節目になる。悪化する韓国との関係を持ち直せるのかどうかも注目。北朝鮮とは拉致問題解決のため、無条件でキムジョンウン朝鮮労働党委員長との首脳会談を模索している。
 ロシアのプーチン大統領とは北方領土問題で歯舞・色丹の事実上2島に絞って交渉しているが、進んでいない。米国のトランプ大統領は大統領選挙を迎え、外交でのアピールを狙って日本に駐留する米軍の経費負担で高い要求をしてくる可能性がある。選挙の結果は、トランプ氏と個人的に信頼関係のある安倍首相の政権運営にも影響しそうだ。

解説者
まつきょうへい
朝日新聞政治部次長

2016年の都知事選挙で圧勝した小池百合子氏の写真
2016年の都知事選挙で圧勝した小池百合子氏(中央)=東京都豊島区
(C)朝日新聞社

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