朝日中高生新聞
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米大統領選まで1年切る

2019年12月1日付

 米国のリーダーを決める大統領選挙の投票日まで1年を切った。トランプ大統領(73)が再選され、さらに4年間、大統領を続けるのかどうかを決める一大決戦。「打倒トランプ」を目指す民主党の候補者選びも本格化している。

二大政党の一騎打ち 候補者選びすでに本格化

両党にくみしない「郊外」がカギに

 米大統領選は4年に一回、夏季五輪と同じ年にあり、投票日は法律で「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と決まっている。次回は来年11月3日だ。
 日本は議院内閣制の国で、首相を国民が直接選ぶのではなく、国会議員の選挙で選ぶ。一方の米国は、政府のトップである大統領を選挙で選ぶ大統領制だ。
 大統領でいられるのは1期4年で、最大2期8年まで。トランプ氏はいま1期目で、2期目を目指して大統領選に挑戦している。
 投票日はかなり先だが、選挙運動はもう本格化している。米国には共和党と民主党という二つの政党があり、それぞれが長い時間をかけて候補者を決める。日本の都道府県のような州が50もあり、それぞれが議論や選挙を行い、どの候補者が良いのか決めていく。その作業が来年2月に始まり、約4カ月間もかかる見込みだ。
 二つの政党は、夏に大きな大会を開き、正式に党の大統領候補を決める。各党の候補者が決まれば、いよいよ11月の大統領選に向けた一騎打ちが始まる。
 共和党は米国の中西部や南部など、地方に住む保守的な白人に人気がある。税金を安くし、政府の役割は小さい方が良いという伝統的な考え方を持っている。党の色は赤で、ゾウがシンボルだ。
 民主党は米国の両海岸の都市部で人気がある。政府は弱者を助ける役割があると考え、若者や女性、黒人やヒスパニック系など多様な人々が支持している。党の色は青で、ロバがシンボルだ。
 来年の大統領選の行方は、民主党が強い都市部と、共和党が強い地方の間にある「郊外」がカギとなると言われている。

共和党はトランプ氏本命 民主党は立候補多く混戦

有力候補が高齢、若さ求める声も

 共和党の候補となるのは現職のトランプ氏で間違いない。景気も良く、党内で高い評価を得ている。民主党ではこれまで25人以上が立候補。何人かはあきらめて脱落したが、今なお18人が争い、混戦が続く。
 有力候補として注目されているのが、オバマ前大統領のときに副大統領だったジョー・バイデン氏(77)。米国では誰もが知っているので人気がある。
 その後を、大金持ちや大企業に税金をもっと払わせ、みんなが病院や大学に行ける仕組みをつくると訴えるエリザベス・ウォーレン上院議員(70)とバーニー・サンダース上院議員(78)が追いかけている。ただ、3人とも70歳以上。民主党支持者の中には、もっと若い候補者が良いという声が根強くある。
 トランプ氏は「米国第一」主義をかかげている。自分を支持してくれる白人労働者を助けるため、メキシコなどからの不法移民や中国が仕事を奪っているとして「国境の壁」を作るなどの政策を打ち出す。
 これに対し、民主党は「差別だ」と反対。トランプ氏のやり方を良いと思うかどうかが問われている。

解説者
しげ記者
朝日新聞アメリカ総局

トランプ大統領の写真
共和党の候補として2期目を目指すトランプ大統領=11月11日、米ニューヨーク
どれも(C)朝日新聞社

ジョー・バイデン氏の写真

エリザベス・ウォーレン上院議員の写真

バーニー・サンダース上院議員の写真
民主党の候補者指名を争うジョー・バイデン氏(上)、エリザベス・ウォーレン上院議員(中央)、バーニー・サンダース上院議員(下)

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