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2017年7月30日付
内閣支持率の急落で、安倍晋三政権が苦境に陥っている。安倍首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐる政権の対応が、国民の不信を招いた。安倍首相は、野党が求める国会審議に応じ、8月初旬に内閣改造も行って、支持率上昇を狙う。
新聞社やテレビ局といった報道各社は、無作為に選んだ電話番号に電話をかけて内閣支持率を調べる世論調査をしている。国民がその時々で内閣をどう評価しているのかを測る指標になっている。
支持率が下がれば、国民に信頼されていない政権として、与野党からも批判が出る。支持率が30%を割ると、退陣に追い込まれる「危険水域」に入ったといわれる。
過去の内閣について、朝日新聞社が行った世論調査をみると、第1次安倍内閣は2007年7月調査で支持率26%となり、2カ月後の9月に退陣。麻生太郎内閣も09年2月に支持率13%を記録。7カ月後に退陣した。鳩山由紀夫内閣でも10年5月の調査で17%となり、翌月退陣している。
政権を維持するうえで、生命線ともいえる内閣支持率。12年12月に第2次安倍政権ができて以降、安倍内閣は、朝日新聞社の世論調査ではおおむね40%台から50%台前半という高い支持率を維持してきた。
しかし、加計学園をめぐる問題が浮上してから下落傾向が続き、7月8、9日に行った調査では、第2次政権として過去最低の33%にまで落ち込み、危険水域が目前に迫る結果になった。
この時の調査結果によると、安倍首相について「信用できない」が61%。加計学園の獣医学部新設をめぐる真相解明について、安倍政権の姿勢を「評価しない」は74%に上り、首相への信頼低下がそのまま支持率低下に直結したことがわかる。
厳しい世論を反映して今月2日の東京都議選では自民党が歴史的惨敗を喫した。首相の求心力低下につながることは必至で、安倍首相も反省を口にした。
苦境をはねのけようと、首相は、今後は説明を尽くす姿勢を強調する。24、25日には、野党の求めに応じて、衆参の予算委員会で加計学園をめぐる疑惑に自ら答えることを決断した。
さらに8月3日には、内閣改造を行う予定だ。大臣を入れかえることで、イメージ一新を図る。
ただ、新しい大臣を迎えることは失言や不祥事のリスクを抱えることにもなる。安倍首相自身への不信感が支持率下落につながっている面がある以上、内閣改造がどれほどの支持率の上昇効果を生むのか未知数ともいえる。
安倍政権としては、経済最優先という原点に立ち返って、一つ一つ成果を出すことで国民の信頼を再び得たい考えだ。
東京都議会議員選挙での自民党惨敗の翌日に開かれた党臨時役員会に臨む安倍晋三首相(中央)
=3日、東京・永田町の自民党本部
どちらも(C)朝日新聞社
解説者
久永隆一
朝日新聞政治部記者
記事の一部は朝日新聞社の提供です。