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2017年10月14日付
ジャン 虐待を受けている子どもが増えているの?
浦野記者 虐待を受けているとして、全国の警察が児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子どもは、今年上半期(1~6月)で、初めて3万人をこえた。去年の同じ時期より5千人以上と大きく増えた。
ケン そんなにいるの?
浦野記者 命に危険がせまっているとして保護された子どもも1700人以上に上り、過去最多だった。子どもの目の前で家族に暴力をふるう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」の増加も目立つ。
ポン いつごろから増えているの。
――警察庁によると、通告数は半期ごとの統計を取り始めた2011年以降6年連続で増え、3万人をこえたのは初だ。
ケン どうしてこんなに増えているの。
――近年、痛ましい虐待事件がたくさん起きている。それで、児童虐待に対する社会の意識が高まり、警察への通報が増えているようだ。こうしたことが通告の増加につながったとみられる。
ジャン 通報が寄せられると、警察はどうするの。
――警察官が現場へかけつけて、子どもの安全を確認するようにしている。そこで「虐待されている疑いがある」と判断すれば、児相に通告する。
警察官が現場で虐待の疑いは認められないと判断しても、児相や自治体に情報を提供するケースもある。今後、保護者がしつけだと言ってとった行動などが虐待につながることもあり得るからだ。こうした情報提供は今年上半期に1万件近くあり、前の年の同じ時期より2千件以上増えた。
ケン 警察官がかけつけて、危険だと判断した時はどうするの。
――現場で子どもの生命や身体に危険がせまっていると判断された緊急時には、警察が子どもを保護することもある。今年上半期に保護された子どもは1700人以上に上り、過去最多となった。
ジャン 虐待の内容はどんなものなの。
――警察から児相に通告があった虐待の内容を見ると、子どもをなぐったり、けったりする「身体的虐待」が全体の約19%だった。
最も多かったのは、暴言を浴びせるなど、子どもの心を傷つける「心理的虐待」だ。全体の約70%に当たる約2万人に上った。ほかは、食事をあたえないなどの「ネグレクト(育児放棄)」が10%などだった。
ケン 心を傷つけるのも虐待なんだね。
――心理的虐待のうち、子どもの目の前で妻や夫らに暴力をふるったり暴言を浴びせたりする「面前DV」が6割をこえ、約1万3千人だった。統計を取り始めた12年上半期は約2400人だったから、5倍以上にふくらんだことになる。
ジャン 心は目に見えないから、心理的虐待はわかりにくいのでは。
――その通り。全国の警察が今年上半期に摘発した児童虐待事件は511件。保護者らによる殺人や傷害など身体的虐待が411件と8割をしめた。
一方、心理的虐待は体に傷が残る身体的虐待に比べて被害をしっかりと理解しづらいケースが多い。このため、摘発されたのは22件と全体の4%にとどまった。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。