低価格ファッション

出典:朝日小学生新聞 2019年3月29日付

安くおしゃれに リユースも
 1994(平成6)年、衣料店「ユニクロ」が1900円のフリースを発売しました。フリースは化学繊維の防寒着。それまで登山用などの高価なものが中心でしたが、気軽に着られるようになりました。平成時代は低価格でおしゃれな衣類を楽しめるようになった一方、増えた衣類のリサイクルも課題になりました。(今井尚)

「売りっぱなし」からの転換
 ユニクロのフリースは1998(平成10)年にブームとなり、2000(平成12)年には2600万枚を売る大ヒット商品に。

 ユニクロはかつてはメーカーの服を仕入れて売るお店でしたが、次第に自分たちで商品を企画し、製造から販売までを手がけるようになりました。フリースだけでなく、機能性を備えた下着「ヒートテック」など、質の高い衣類を安く届けるブランドとして、会社は大きく成長しました。

 価格の安い衣類はユニクロ以外にも増えました。09(平成21)年には新語・流行語大賞に「ファストファッション」が選ばれました。ファストは速いという意味で、流行を取り入れた衣類を低価格ですぐに売るということです。H&M(スウェーデン)やフォーエバー21(アメリカ=米国)が日本に進出するなど、ファッションはますます身近になりました。

わたしたち平成生まれ

難民の支援に
 ところが服が安く手に入るようになると、いらない服も増えていきます。 ユニクロを運営するファーストリテイリングは01(平成13)年から、いらなくなったフリースをお店で回収する取り組みを始めました。はじめは燃料としてリサイクルしていましたが、中にはまだ着られる(リユースできる)ものも多くありました。そこで06(平成18)年からは全商品を回収し、使える服は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などと協力し、服を必要としている難民たちに届けることにしました。

 ファーストリテイリング、サステナビリティ部のシェルバ英子さんは、この回収活動に早くから関わってきた一人です。「全商品の回収は当時、ほとんど例のない取り組みでした」と言います。服を回収するにはお金も、従業員の手間もかかります。最初は社内に反対の声もあったそうです。でも、「たくさん販売して、売りっぱなしではいけない。社会に対する責任を果たさなければ」と計画を進めたそうです。

 現在、国内の店で回収した服は、山口県と宮城県の2か所で、男性もの、女性もの、上着、ズボンなど18種類に分類して送り出しています。日本で回収される衣類は特に状態が良く「9割がリユースできる」と言います。18年度までに約3029万点の服を65の国と地域に届けたそうです。「今後は回収だけでなく、働く人の環境や地域との共存などにも取り組んでいく」とシェルバさんは言います。

服選びも地球のこと考えて
 商品回収の動きは、アウトドアブランドのパタゴニアなどが先駆けとなり、近年はライトオン、無印良品、マルイ、H&Mなど多くの店が回収をしています。 ファッションの研究をする京都女子大学教授の成実弘至さんは「簡単に買って、あきたら捨てる。あまりに服が増え、このままではいけないという社会の声を受け、回収の動きは広まりました。ただ回収だけをいくら続けても、解決にはなりません」と言います。

 平成の後半には、インターネットを通して個人どうしで売り買いするフリマサイトなどでリユースを進める動きも盛んになりました。「いいことですが、全体から見ればわずか。これからは私たち一人ひとりが、地球環境や働く人などのことも考えて服を選ぶことが求められそうです」と話します。


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