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トルコでなぜデモが起きているの?

 

 

首相の強引さや宗教政策に反発


高橋友佳理記者 朝日新聞国際報道部

 

ケン トルコでデモが起きているって聞いたけれど、何でなの?

 

高橋記者 きっかけは、一番大きな都市イスタンブールにある公園を首相が取りこわそうとしたことだよ。でも市民がおこっている理由は、それだけじゃないんだ。

 

 

 

 

 


公園に集まり、再開発に反対する人々。この後、警察がデモ隊を強制的に追い出しました=15日、トルコ・イスタンブールで©朝日新聞社

 

 

 

ジャン トルコってどんな国なの?


――国の大部分がアジア大陸、西の一部がヨーロッパ大陸にあるんだ。だから「文明の十字路」と呼ばれるよ。


ケン 宗教は?


――国民の99%がイスラム教徒だ。でも国の宗教がイスラム教とは決められていない。昔は、オスマン帝国というイスラム教の大きな国だったんだけど、第1次世界大戦でヨーロッパの国々に負けた後、1923年に「トルコ共和国」として独立。最初の大統領となったケマル・アタチュルクという将軍が、オスマン帝国の王様を追い出して、世俗主義を国の政治の基本としたんだ。


ポン セゾクシュギ?


――政治が宗教の影響を受けない、ということだよ。何を信じるのも自由だけど、宗教はあくまで個人の問題で、政治に持ちこんではいけないんだ。「政教分離」ともいう。
アタチュルクは、イスラム教の法律をとりやめて、イスラム教徒の女性がよくかぶるスカーフも政府の建物や大学など一部の場所では禁止した。もともとはアラビア文字だったトルコ語も、ラテン文字に変えた。イスラム教が禁止しているお酒の販売も自由だった。


ケン 今でもそうなの?


――今でも世俗主義という基本は変わらないけれど、2002年の選挙でイスラム色の強い政党が勝ってから、少しずつ変わってきた。その政党を作ったメンバーであるエルドアン首相は、はじめは宗教色をあまり出さず、トルコはヨーロッパ連合(EU)の仲間入りをめざして、10年間で年平均5%の経済成長を果たした。でも最近は、お酒の夜の販売を制限したり、スカーフ禁止の規制をゆるめたりしていて、好ましく思わない世俗主義者もいるよ。


ジャン 公園の木を切ろうとして、国民がおこったんだよね?


――首相は公園をつぶしてショッピングモールにしようとしたんだけど、緑の少なくなったイスタンブールで、唯一ほっとできる場所だと思っていた人もいたんだ。でもそのことより、首相がメディアへの圧力を強めたり、イスラム色の強い政策を押し通したり、自分の思い通りの政治をし始めたことに、たくさんの人が反発している。


ケン 公園や近くの広場に集まっている人たちに、警察が催涙ガスや水をかけて追い出そうとしたね。イスタンブールってオリンピックを呼ぼうとしているよね? 影響は出ないのかな?


――そうだね。東京、マドリード(スペイン)とともに20年夏季五輪を呼ぼうとしている。トルコは「五輪初開催の夢に向けて団結を続けている」と言っているけれど、デモが続けば治安が悪くなり、影響が出てくることは避けられないね。

 

過去の記事↓

◆オバマさん 核兵器を減らすって?(2013年7月6日)

◆原発の新しい安全基準って?(2013年6月29日)

◆トルコでなぜデモが起きているの?(2013年6月22日)

2013年6月22日付

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