線路の異常など放置、トラブル続く
堀内隆記者 朝日新聞 北海道報道センター
ケン 北海道で、鉄道が問題になっているね
堀内記者 JR北海道の話だね。線路の幅が決まりよりも広がるなどしていたのに直していなかったんだ。北海道全体で少なくとも、267の場所で問題が見つかった。
ポン そんなに?
堀内記者 点検して「広がりすぎだ」とわかっていたのに直していなかった場所もあるし、直す基準を勘違いしていた場所もある。ほかにもトラブルが相次いでいる。国土交通省は4日、JR北海道に安全確認を徹底するよう、緊急の指示を出したんだ。
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▲国土交通省から改善指示を受けるJR北海道の野島誠社長(左)=4日、東京・霞が関で |
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▲9月19日に起きた脱線事故の現場=9月20日、北海道七飯町で |
ジャン 線路の幅が広がっていると、どうして問題なの?
――JR北海道では、線路の幅は1067ミリと決まっている。だけど、重い列車が何度も線路の上を走るうちに、少しずつ広がってしまうんだ。広がりすぎると車輪が線路から外れて列車が脱線してしまうから、ちゃんと元通りに直さないといけない。
JR北海道は「年に2回は点検して、広がりすぎたら15日以内に直すこと」と決めていた。だけど、1年前の点検で広がりすぎがわかっていたのに、そのままほったらかしていたところがたくさんあった。
ケン あぶないね。どうしてわかったの?
――きっかけになったのは、9月19日に起きた貨物列車の脱線事故だ。現場の線路を調べたら、幅が広がっているのがわかった。JR北海道がほかの線路も調べたら、問題がどんどん見つかったんだ。
ジャン 線路のほかにも、いろいろ問題があったんでしょ。
――JR北海道は、ずっとトラブルが続いている。2年前には特急列車が脱線して火事になり、79人がけがをする事故が起きた。今年も、特急でエンジンの部品がこわれて火が出たり、油がもれたりする事故が続いている。
ポン どうしてそんなにたくさん問題が起きるのかな。
――技術も経験もあるベテラン社員が少ないからだ、という人もいるよ。JRは、1987年に国鉄がJR北海道やJR東日本など六つの旅客会社にわけられて始まった民間会社なんだ。JR各社はそのころ、新しい社員をあまり採用しなかった。だから今も経験を積んだ40代くらいの社員が少なくて、若い社員に技術がうまく伝えられていないんじゃないか、というんだ。
ケン 人手が足りないということ?
――北海道は広いわりに人口が少なく、JR北海道は経営が苦しい。安全対策に十分にお金が回っていないのではないかという声もある。でも、安全を後回しにする言い訳にはならないよね。
鉄道会社が絶対に守らないといけない「お客さんや荷物を安全に運ぶ」という約束を破ったことになるから、国も北海道の人たちも、みんな大きな問題だと思っているんだ。
ジャン どうすれば安全に乗れるようになるのかしら。
――JR北海道は列車のトラブルを減らすために、特急の走るスピードを遅くしたり、一日に走る本数を減らして点検に時間をかけたりする対策を打ち出している。国はJR北海道の社長などが交代する必要があると考えていて、JR東日本など外から人を送りこむことも考えているようだよ。鉄道は多くの人にとってなくてはならない乗り物。はやく信頼を取りもどしてほしいね。
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