【東日本大震災ドキュメント】
4月15日
▽東京電力と経済産業省原子力安全・保安院は、東電が4月4日から10日にかけて福島第一原子力発電所から意図的に海に放出した比較的低濃度の放射能汚染水が、合計1万393トンに上ったと発表。含まれる放射能の量は、ヨウ素131やセシウム137などを足し合わせて1500億ベクレルに上る
▽東電の清水正孝社長は記者会見で、福島第一原発事故による避難住民に1世帯あたり100万円の賠償金を仮払いすると発表
4月16日
▽菅直人内閣は、食品衛生法の暫定基準を超える放射性物質が検出され、出荷停止を指示していた福島県内の25市町村の原乳(しぼったままの牛の乳)について指示を解除
▽4月11日の余震で土砂崩れが起きた福島県いわき市内の県道で、軽自動車の中から男性1人の遺体が見つかる。11日の余震による土砂崩れでの死者は4人になった
4月17日
▽東電は福島第一原発事故の収束への工程表(作業や工事のはかどり具合や順序を説明した表)を示し、原子炉を安全な状態で停止するのに6〜9カ月かかる、との見通しを明らかにした。東電が事故の収束の見通しを示したのは初めて
▽菅内閣は、国の基準を超えたとして出荷停止を指示していた茨城県産のホウレンソウについて、北茨城、高萩の両市を除く県内全域への指示を解除。かき菜、パセリは県内全域への指示を解除した
▽朝日新聞社が16、17日に実施した全国定例世論調査(電話)で原子力発電の今後を4つの選択肢で聞いたところ、「減らすほうがよい」と「やめるべきだ」が計41%だった
4月18日
▽トヨタ自動車、系列を含む国内18カ所の組み立て工場のうち停止していた14工場での生産を再開。震災が発生した3月11日以来の全工場稼働となる。稼働率は震災前の計画の半分程度。1日あたりの生産台数も約6千台にとどまる
▽国土地理院、震災の津波で浸水した面積が青森から千葉までの太平洋側6県62市町村で、合計が561平方キロに達した、と発表。東京23区の面積の9割、大阪市の2.5倍、福岡市の1.6倍、名古屋市の1.7倍にあたる
▽日本自動車工業会、国内で生産された自動車の放射線量を検査する基準を公表。原発事故以降、特に海外で日本の工業製品への放射性物質の影響に懸念が出ており、業界として明確な統一基準を設けて風評被害を防ぐ狙いがある
▽ロシア外務省、福島第一原発事故に関し、東京やその周辺の放射線量は正常だとして、日本への渡航自粛勧告を解除する声明を発表
4月19日
▽東電、福島第一原発2号機のタービン建屋地下や坑道にたまった高濃度汚染水を敷地内の集中廃棄物処理施設にポンプで移し替える作業を始めた、と発表
▽文部科学省、福島第一原発事故を受け、福島県内の小中学校や幼稚園などの暫定的な利用基準を公表。校舎や校庭を利用できるか判断する目安として、年間被曝量が20(ミ リ)シーベルトを超えないようにし、校庭の放射線量が毎時3.8マイクロシーベルト以上では屋外活動を制限する。制限の対象は現在、13施設。各施設に線量計を配り、変化を監視する
4月20日
▽菅首相は基準を超える放射性物質が検出された福島県沖のイカナゴの稚魚(コウナゴ)について、出荷停止と摂取制限を同県の佐藤雄平知事に指示した。魚介類での指示は初めて
▽日本経済団体連合会(日本経団連、日本の大きな企業や団体が集まってつくった団体で、会員数は約1600社・団体)、この夏の電力使用のピークを抑える対策として8月6〜21日に職員約200人が一斉に夏休みをとると発表
4月21日
▽枝野官房長官、22日午前0時から福島第一原発の半径20`圏内を災害対策基本法に基づく「警戒区域」に設定し、原則として立ち入りを禁じると発表。立ち入りは罰金などの罰則も
▽菅政権、東京電力と東北電力管内の今夏の最大使用電力の削減目標を家庭、企業とも一律前年比15%減とする方針を固める。供給力を増強するめどが立ったため、節電目標を引き下げる
4月22日
▽警察庁の集計(午前10時現在)で、震災による死者は12都道県で1万4159人、警察に届け出のあった行方不明者は6県で1万3169人に。18都道県の2486カ所で13万743人が避難生活を送る
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