【東日本大震災ドキュメント】
4月1日
▽菅直人内閣、持ち回り閣議で3月11日の東北地方太平洋沖地震がもたらした災害の呼称を「東日本大震災」とすることを決めた
持ち回り閣議 閣議は普通、首相と各大臣が首相官邸に集まって議論したり法案に署名したりするが、急ぎだったり大臣らが忙しくて集まれない時に首相の側近が閣議書を持ち回って各大臣の署名を集めることにより意思決定とする方法
▽3月の国内新車販売台数(軽自動車を含む)、前年同月比35.1%減の43万7599台。大震災で一気に冷え込む
▽東京電力(東電)、福島第一原子力発電所の事故の影響で、入社式中止に
4月2日
▽菅首相、大震災による津波で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市を訪問
▽東電、福島第一原発2号機の取水口付近にある作業用の穴(ピット)に、原子炉からのものとみられる高濃度の放射能汚染水がたまり、壁面の亀裂から海に流れ出ているのを見つけたと発表。東電は流出しているピットの下に砕石層(砕いた小さな石で人工的に造った層)をガラス状に固める薬剤を入れる工事を行い、6日に漏れ出ていた汚染水が止まったと発表した
▽大震災に伴う損害保険大手5社への地震保険金の請求が3月末時点で25万件を突破し、過去最大だった阪神淡路大震災での全請求件数(6万5千件)の約4倍に
4月3日
▽ソフトバンクの孫正義社長(53)、大震災の義援金として個人で100億円を寄付すると発表。また今年度以降、社長を引退するまで役員報酬(09年度は約1億800万円)を全額寄付する
4月4日
▽枝野幸男官房長官、福島第一原発の放射能漏れを受けて都道府県単位で実施してきた農産物の出荷制限を見直し、今後は市町村単位で設定や解除をすることができると発表。ただ、解除した場合でも原発事故による放射能漏れが続いている場合は引き続き毎週検査を続ける
▽東電、福島第一原発の高濃度の放射能汚染水の保管場所を確保するため、同原発5、6号機などにある計1万1500トンの比較的汚染度の低い水を海に放出開始
▽震災から3週間後の4月1日に宮城県気仙沼市沖の漂流する屋根の上で発見・救助された犬の飼い主が見つかり、県動物愛護センターで飼い主の女性に引き渡された。犬の名前は「バン」。女性を見つけて喜んでほえていた。女性は自宅が被災し、仙台市内の避難所で暮らしているという
4月5日
▽海江田万里経済産業相、今夏の電力不足に伴い大停電を避けるため、第1次石油危機の1974年以来となる「電力使用制限令」を発動する方針を表明。電気事業法27条に基づく強制措置で、電気の大口需要者である企業に対し、ピーク時間帯の電力の使用制限を求める
▽茨城県沖で捕獲されたイカナゴ(コウナゴ)から基準を超える放射性ヨウ素が検出されたことを受け、枝野官房長官は魚介類に含まれる放射性物質について、野菜類と同じ暫定(正式に決定するまで仮に定めること)基準値を設けると発表。国はイカナゴの出荷停止を同県に指示。出荷停止は水産物では初めてで、同県内の漁協はイカナゴ漁を全面的に中止した
▽環境省、大震災で倒壊した家屋やビルなど災害廃棄物の量が宮城、岩手、福島の3県で約2500万トン(阪神淡路大震災の1.7倍)に上るとの推計を発表
▽インド政府、福島第一原発事故を受け、食品汚染の疑いがあるとして日本からの食品輸入を3カ月間停止することを決定
4月6日
▽海上保安庁、大震災で震源の真上にあたる宮城県沖の海底が約3(メートル)隆起(地表面が周囲より上がること)、約24メートル動いたと発表。同庁は「これまで観測した地震による地殻変動としては最大ではないか」
▽東電、福島第一原発1号機の原子炉格納容器内に、水素爆発を防ごうと窒素ガスの注入作業を開始
4月7日
▽午後11時32分ごろ、宮城県沖を震源とするマグニチュード(M)7.4の地震があり、同県栗原市と仙台市宮城野区で震度6強を観測した。震源は宮城県・牡鹿半島の東約40`、深さは約40`。消防庁によると、山形県と宮城県で計2人が死亡した。東北電力管内の東北6県で一時、計約392万戸が停電した
4月8日
▽警察庁の集計(午前10時現在)で、大震災による死者は12都道県で1万2731人、警察に届け出のあった行方不明者は6県で1万4706人に。また、18都道県の2331カ所で約15万5千人が避難生活を送っている
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