2月25日〜3月3日ニュース
朝日中学生ウイークリー
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実は「地震大国」ニュージーランド―南部地震

 

活断層に伴う直下型 地盤・建物の弱さ露呈

 

 ニュージーランド南部のクライストチャーチ市を襲った2月22日の地震から、4日で10日がたった。4日現在、死者は163人。日本人も28人が行方不明のままだ。同国政府は3日、生存者の捜索を打ち切り、遺体の収容活動に移行すると発表した。
 今回、「ニュージーランドって地震が多い国だったの?」と意外に思った読者も多いだろう。
 実はニュージーランドは日本と同じ地震大国。昨年9月にも、クライストチャーチ市近くを震源とするマグニチュード(M)7.0の地震が発生。大きな被害はなかったが、同市の西にある断層が動いて周囲の地殻にかかる力が変わり、今回の地震を誘発したとみる専門家もいる。今回はM6.3だったが、震源が都市部に近く浅かったため、強い揺れに見舞われた。
 今回の地震と被害の特徴などについてまとめた。


◇断層に推定最大70aのずれ
地震が起きると、よく「プレートが動いた」と説明される。地球の表面は、プレートと呼ばれる十数枚の岩板がゆっくり動いている。ニュージーランドは、太平洋プレートとインド・オーストラリアプレートの境界にある。日本もそうだが、プレートの境界では押し合うエネルギーがたまって、地震が起きやすい。
ただ今回の地震は、「プレート境界型」とは違って「直下型」だ。被災地の下にある長さ約15`、幅約10`の断層が、最大で70aずれたと考えられている。断層は地殻のひび割れで、プレートの境界付近にたくさんある。しかし今回の震源のそばに活断層があることは知られていなかった。


◇建物の構造も被害を拡大
被害にあった地域では、跡形もなく崩落したビルと、それほど壊れていないビルと差が大きい。
建物は高さの違いから、細かく揺れたり、ゆっくりと揺れたりする。今回被害をもたらしたのは、1秒程度の周期で揺れる中低層の建物に影響力が強い震動だった。また、市街地では、揺れによって地下の砂と水が噴き上げられる「液状化現象」が広い範囲で見られた。地盤が弱く、揺れが増幅されたとも考えられる。
多くの日本人留学生らが行方不明になったビルでは、建物の構造が被害を大きくした疑いもある。倒壊前後の写真を見た多くの専門家は「柱が細く、数も少ない」と指摘する。崩れ落ちずに残ったエレベーター部分を中心に、回転するような「ねじれ振動」で、構造の弱い部分に地震の力が集中したとの見方もある。


◇ラグビーW杯開催で復興目指す
南半球にあるニュージーランドは、「銃社会」といわれるアメリカのような治安面の不安も少なく、授業料も比較的割安ですむなど、留学先として人気が高い。
日本と同じように四季があり、自然豊かでフレンドリーな人が多いお国柄。今回の災害で「地震の国」というイメージが一人歩きし、留学先や旅行先としての人気が下がるとしたら、残念なことだ。
キー首相は2日、同国で9―10月に予定されるラグビーワールドカップ(W杯)について、被災したクライストチャーチでの開催に前向きな姿勢を示した。「開催できれば、復興への強いメッセージとなる」と同首相。ニュージーランド第2の都市の一日も早い再生に期待したい。

「第三国定住」のミャンマー難民、就農へ 25日

 ミャンマーからタイに逃れた難民を日本が受け入れる「第三国定住」について、外務省は、日本語などの研修を受けている第1陣の5家族27人の就職先が決まったと発表した。
 2家族12人は、千葉県八街市で葉物野菜や落花生などを生産する農業法人、3家族15人は三重県鈴鹿市でシイタケを生産する農業法人で、それぞれ農業に従事する。
 今回の受け入れについて、「わずか半年間では日本語などの研修は不十分」だと指摘する声もある。

 

国連安保理、リビア制裁決議を採択 26日

 国連安保理 平和維持に関する決定を行う。アメリカ、イギリス、ロシア、フランス、中国の5カ国の「常任理事国」と、10カ国の「非常任理事国」(任期2年)で構成。日本は昨年末まで非常任理事国だった。常任理事国には、1カ国でも反対すれば決定できない「拒否権」がある。

 

プールの水道料23年間未納―埼玉の中学校 3月1日

 故意?それとも忘れてた?──埼玉県松伏町教育委員会は、町立松伏第二中学校のプールの水道料金を、完成した1987年から1度も支払っていなかったと発表した。水道メーターが取り付けられていなかった。この間の未納料金は約500万円に上るという。
 町教委などによると検針で、校舎への給水管のメーター付近で漏水が疑われ、修理した際に水道メーターが取り付けられていないことが判明。学校建設時に町から提出された図面に、本来メーターを取り付けるはずのプールへの給水管の記載がなかったという。

 

東京スカイツリー、高さ世界一に 1日

 建設中の東京スカイツリー(東京都墨田区)が、中国広東省の広州タワー(600b)の高さを超え、ワイヤで支えない自立式の電波塔としては世界一になった。
 スカイツリーは2008年7月に着工。3月中に完成時の高さ634bに達し、来春開業する。

 

 

2月25日〜3月3日のニュース

25日△高梨沙羅(北海道・上川中2年)が6位入賞―スキー世界ノルディック・ジャンプ女子ノーマルヒル
    △「第三国定住」のミャンマー難民第1陣、千葉と三重で就農へ
25―26日△京都大学入試で一部がネット流出―同志社、立教、早稲田でも
27日△国連安保理、リビア制裁決議採択―カダフィ大佐の資産凍結など
    △裸眼で3D(三次元)画像「ニンテンドー3DS」、全国一斉販売

01日△「英国王のスピーチ」が作品賞など4賞受賞―第83回アカデミー賞
    △2011年度予算案、衆院本会議で可決
03日△東京スカイツリー、高さ世界一に
    △ニュージーランド地震で生存者の捜索打ち切り、遺体の収容活動に移行―同国政府=日本人28人の安否不明

 

 
 
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