2月18日〜24日ニュース
朝日中学生ウイークリー
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リビアでも反政府デモ拡大

 

カダフィ大佐、国民に銃 原油価格にも影響

 

 チュニジアでの1月の政変をきっかけに始まった反体制デモが中東・北アフリカの全域に広がっている。カダフィ大佐(68)による独裁が40年以上続く、世界有数の産油国リビアでも、軍や腹心の一部が造反するなど政権崩壊も起こりそうな情勢だ。
 各国は、リビア政府によるデモ弾圧を非難する一方、事態の推移や情勢悪化を受けた原油価格急騰の動きを注視している。

 リビアでの反体制デモは2月15日、東部にある第2の都市ベンガジで始まった。20日には首都トリポリにも波及。カダフィ政権側は戦闘機やヘリコプターでデモ隊を無差別に攻撃するなど大規模な鎮圧作戦に乗り出した。
 東部は22日までに反体制派がほぼ掌握。軍や閣僚、大使らが次々とカダフィ大佐から離反する中、四面楚歌の状態に陥った大佐は外国人傭兵(お金で軍隊に雇われた兵士)を周りに配置して国民に銃を向け、体制維持に躍起になっている。
 大佐は22日、国営テレビでの演説で「私はリビアで死に、殉教者になる。最後の血の一滴まで戦う」と述べ、退陣要求デモを断固として抑え込む姿勢を鮮明にした。

 カダフィ大佐とはどんな人物で、リビアとはどんな国なのか。
 中東メディア論が専門の日本エネルギー経済研究所中東研究センター研究理事の保坂修司さんは「リビアは何事もカダフィ大佐とその一族ら大佐周辺の人たちの判断で決めてしまう異常な国」と指摘する。
 カダフィ大佐は1942年、リビア北部生まれ。69年、27歳の時に軍の同僚らと革命を起こして当時の国王を追放。その後、リビアの指導者の座に就いた。遊牧民出身で、遊牧民の生活にこだわり、訪問先の外国でもテントを張って泊まるのは有名だ。
 「国際会議の場でも口を慎まず、他国の首脳を平気でののしるなど、変わった性格の持ち主。そうした性格が独裁国家を生んだのでしょう。余談ですが、『カダフィ』はカダフ部族出身者という意味ですが、アラビア語では『爆弾を落とす人』という意味もあります」
 リビアには、憲法も議会も、選挙もない。国を統治する大本になっているのは、カダフィ大佐が書いた『緑の書』。現在も使われていて、「人民主権の直接民主主義」という独自の国家体制を宣言している。
 しかし実際は、秘密警察網を使っての国民監視と報道規制によって、独裁体制を維持してきた。
 汚職の状況を監視する国際NGO(非政府組織)の清潔度ランキングでは、世界178カ国中146位。また、米国が一時、「テロ支援国家」に指定していたこともある。
 リビアでは国民は高い失業率に苦しんでいるが、原油埋蔵量が世界8位で、比較的裕福な国。日本はリビアから原油を輸入していないが、リビア情勢の悪化で原油相場が急騰。混乱がサウジアラビアなどの他の産油国に飛び火すれば、原油価格のさらなる上昇につながりかねない。

南極海での調査捕鯨中止―反捕鯨団体の妨害で 18日

 南極海で実施中の調査捕鯨について、政府は3月半ばまでの予定を切り上げ、船団4隻を帰国させると発表した。
 米国の反捕鯨団体シー・シェパードの船による妨害で今季の捕鯨活動が困難と判断した。1987年の調査捕鯨開始以来、妨害が原因で打ち切りになるのは初めて。

 

菅内閣支持率 最低の20%―与党内からも退陣論 19―20日

 朝日新聞社の全国定例世論調査によると、菅直人内閣の支持率は20%で、去年6月の内閣発足以来最低となった。不支持率も62%で最高。「菅さんに首相を続けてほしいか、早くやめてほしいか」の質問では「早くやめてほしい」が49%で、「続けてほしい」の30%を上回った。
 一方、与党・民主党内では、強制起訴された小沢一郎元代表の党員資格を判決確定まで停止する処分をめぐって、同氏に近い議員らから菅首相の退陣を求める声が出たり、小沢氏側近の松木謙公農水政務官が辞めたりするなど、退陣圧力が強まっている。

 

NZでM6.3の地震―死亡・不明300人超、邦人も 22日

 ニュージーランド南部の南島にあるクライストチャーチ市付近で、マグニチュード(M)6.3の強い地震があった。米地質調査所によると、震源は同市近くで、震源の深さは約5`。
 地元警察当局によると、同市内では複数の建物が倒壊するなどして、死者・行方不明者は300人以上に上った。パーカー市長は非常事態を宣言、同国政府も軍を投入して救助活動を続けた。
 在ニュージーランド日本大使館によると、同市で暮らす日本人は約3100人。人気の留学先でもあり、多くの若者が滞在中で、今回の地震で邦人26人の安否がわかっていない。
 日本政府は警察庁職員や医師ら約70人で構成する国際緊急援助隊を派遣。隊員は24日から、日本人の救出などを目的に活動を始めた=写真は、日本人が被災したとみられる語学学校があったビルの捜索に向かう日本の国際緊急援助隊。
 今回の地震は、活断層に伴う直下型地震だった。長さ15`、幅10`の東西に延びる断層が最大70aずれたことが地震につながった。専門家は、全体の規模は阪神大震災の10分の1だったが、断層が大きくずれたのが都市の真下だったため、被害が大きくなったと分析している。

 

 

2月18日〜24日のニュース

18日△南極海での調査捕鯨中止―反捕鯨団体シー・シェパード妨害で初
    △「違法課税」2千億円返還へ―武富士贈与税訴訟で最高裁判決
    △米オバマ政権、国連安保理のイスラエル非難決議案に拒否権行使
19日△プロ野球オープン戦スタート―公式戦は3月25日セ・パ同時開幕
    △食料価格の高騰防止へ市場での取引透明化で一致―20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議
19日―20日△菅内閣支持率、最低の20%―朝日新聞世論調査

20日△リビアの首都トリポリでも騒乱―北アフリカ・中東のデモ拡大
    △中国でも中東情勢に触発された反体制デモ―当局は各地で厳戒
    △高梨沙羅(北海道・上川中2年)が最年少で2連勝―ノルディックスキー女子ジャンプ・コンチネンタル杯(オーストリア)
21日△中国からパンダ2頭来日―3月下旬に公開へ=上野動物園
22日△ニュージーランド南部でM6.3の地震―死亡・不明300人超

23日△中東不安で原油高続く―ニューヨーク市場で2年4カ月ぶり高値
24日△米スペースシャトル・ディスカバリー最後の飛行、打ち上げ成功

 

 
 
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