2月4日〜10日ニュース
朝日中学生ウイークリー
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「愛知ショック」地域政党が躍進

 

国への不満も追い風 財源確保できるかな

 

 名古屋市長選、愛知県知事選、名古屋市議会の解散の是非を問う住民投票の「トリプル投票」が6日、投開票された。市長選は、地域政党「減税日本」代表で前市長の河村たかし氏(62)が再選され、知事選でも同党が推薦した前衆院議員の大村秀章氏(50)が初当選した。
 さらに、河村氏が主導した住民投票は解散賛成が多数を占め、政令指定市では初めて議会のリコール(解散請求)が成立し、市議会は即日解散。出直し市議選は3月13日に行われる。
 「モンスター」と呼ばれるほど地元で人気がある河村氏は、民主党や自民党など既成政党に飽き足らない有権者の心をつかんだ。しかし、その政治手法が「独裁的」などと酷評され、減税の財源を心配する声もある。


◇「都構想」で大阪府知事も連携
減税や市議会議員の報酬半減をめぐり市議会と対立した河村氏。「議会が公約実現を阻んでいる」として市議会解散リコール運動を起こし、住民投票実施にこぎつけた。
さらに、公約の市民税10%減税が市議会で否決されたため、1月に市長を辞職、自らも出直し市長選に臨んだ。
県知事選には、国会議員時代にテレビ出演などで親交を深めた元自民党の大村氏を擁立。市民税・県民税10%減税、県と市を一体化する「中京都構想」などを共通公約に掲げた。
「えりゃあさまが政権交代するだけでは、庶民の生活はようならん」。中日ドラゴンズの野球帽をかぶり、明るい名古屋弁。河村氏の強烈な個性は、民主党の国会議員時代は冷遇を招いたが、パフォーマンス能力の高さは地元で大人気だ。だが、勝因はそれだけではない。
既成の大政党に頼らない、地域の政治テーマの実現を目的とする「地域政党」の存在だ。
河村、大村両氏の応援に100人でかけつけた地域政党「大阪維新の会」代表の橋下徹大阪府知事。政令指定都市の大阪、堺両市を廃止する「大阪都構想」を掲げる。
大阪と名古屋の強烈でわかりやすい発信力は、政権運営に行き詰まりを見せる菅政権へ不満を持つ有権者の支持を集め、新潟でも「新潟州」構想が持ち上がるなど、他の地域にも影響を与えている。


◇4月の統一地方選に影響も
ただ、減税のための財源を心配する声も根強い。市の議員報酬を半減させても、浮くお金は6億円程度。10%減税に必要な200億円には到底足りない。行政改革で生み出すというが、市民サービスが削られるかもしれないという懸念もある。
鳥取県知事などを務めた片山善博総務相は「都構想」について「自治体が一層大きくなり、チェック機能が働きにくくなるのではないか」と否定的な見方だ。
しかし、このまま地域政党が勢いづけば、無党派層の多くが支持に回ることも予想される。4月の統一地方選を控え、今回の選挙で擁立候補が敗れた民主、自民など既成政党は戦々恐々としている。

米ロ、新STARTが発効 5日

 世界の核の9割以上を持つ米国とロシアの間の新しい戦略兵器削減条約(新START)が発効した。7年以内に、米ロが配備する戦略核弾頭数の上限を1550発、ミサイルや爆撃機などの運搬手段は総数の上限を800にすると設定。配備数は、冷戦期のピーク時以降で最低水準に減る。

 

スーダン南部独立決定―アフリカで54番目の国家に 7日

 アフリカのスーダン南部の分離・独立の賛否を問う住民投票の最終結果が発表され、賛成98.83%で独立が承認された。南部自治政府による暫定統治が終わる7月9日にアフリカで54番目の国家として独立する。
 スーダンでは、イスラム教徒主体の北部中央政府が、非イスラム教徒が多い南部に対しイスラム化政策を押しつけたことが原因で内戦が20年以上続き、2005年の終結までに250万人が死亡したとされる。

 

米運輸省「電子制御に欠陥なし」―トヨタ車急加速問題 8日

 米運輸省はトヨタ車の急加速問題で最終的な調査結果を発表し、「トヨタ車の電子制御システムには急加速を引き起こす欠陥はなかった」と結論づけた。ラフッド運輸長官は「トヨタ車は安全」と宣言した。
 2009年8月に米カリフォルニア州で、トヨタ車が時速190`で暴走し4人が亡くなる事故があった。トヨタは10年1月までに、フロアマットがずれてアクセルペダルが踏んだままの状態で戻らなくなるなどの欠陥があるとして、計750万台のリコール(回収・無償修理)実施を決定。しかし、「修理後も急加速が起こった」などの苦情が多数寄せられ、電子制御システムに問題があるのではという疑念がくすぶり続けた。

 

エジプト・ムバラク大統領、副大統領に権限移譲 10日

 エジプトのムバラク大統領はテレビ演説で、大統領としての権限をスレイマン副大統領に移譲する、と発表した。強権支配を続けてきたムバラク氏が即時退陣するという期待が市民の間で高まっていたが、大統領の地位には引き続きとどまる意向を示したため、デモの参加者は強く反発している。
 ムバラク氏は「市民の要求は正当である」と述べたが、政権の早期移行を求める米国に反発、国外出国についても否定した。スレイマン副大統領は野党勢力との対話を継続すると約束し、デモ隊に帰宅し職場に戻るよう呼びかけた。

 

2月4日〜10日のニュース

04日△ミャンマー大統領に軍事政権序列4位のテイン・セイン首相(65)
    △1月国内新車販売、ホンダのフィットが1万4873台でトップ。トヨタのプリウスは1年8カ月ぶりに首位陥落し3位に
05日△米国とロシアの新戦略兵器削減条約(新START)発効
    △村上佳菜子選手が優勝―冬季アジア大会フィギュアスケート女子
    △日本、口蹄疫の発生がない「清浄国」に復帰―国際獣疫事務局
06日△大相撲春場所(3月13日初日)中止―八百長問題で日本相撲協会
    △名古屋市長選で河村たかし氏、愛知県知事選で大村秀章氏が当選―名古屋市議会、政令市で初のリコール成立、即日解散
    △サッカー日本代表・長友佑都選手がインテル・ミラノでデビュー

07日△スーダン南部の独立確定―住民投票最終結果―7月に国家誕生へ
    △日豪、経済連携協定(EPA)締結に向けた政府間交渉再開
08日△米運輸省「電子制御に欠陥なし」―トヨタ車急加速問題
09日△中国人民銀行、預金と貸し出しの基準金利を0.25%引き上げ
10日△小沢一郎元代表、菅直人首相の離党要求を拒否―強制起訴受け
    △エジプト・ムバラク大統領、副大統領に権限移譲―即時辞任は否定

 

 
 
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