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マンションの駐車場には管理組合が導入した車3台が並びます。利用者はカードキーをかざして使えます=東京都荒川区で |
――カーシェアリングの運営会社が駐車場を確保し、車を置いておく。利用したい人は、その会社の会員になって月々の会費などをはらえば、使いたいときにその車を使えるんだ。
国内最大手のオリックス自動車の場合、会員になると会員証にあたるICカードをわたされる。車にはカードの読み取り機があって、カードをかざすだけで鍵が開くというわけ。
ポン 別の会員が乗っていっちゃってるかも。
――予約しておけばいいんだ。携帯電話やパソコンからも予約できる。どこの貸出場所の車も利用できるので、出先でも車が使えるよ。
ケン マイカーの方が会費などがかからない分、費用は安いんじゃないの?
――逆に、カーシェアリングの方が安上がりの場合も少なくないみたいだ。
東京都内のマンションに住み、カーシェアリングを利用する会社員(33歳)は、奥さんと2人で月に十数回乗って月会費と利用料金の合計が3万円ほど。マイカーだと、マンション近くの駐車場なら月額4万円近い上、ガソリン代などもかかるため、維持費は5万円以上になりそうだとか。
ジャン そもそもいつごろ始まったの?
――1980年代にヨーロッパで始まり、広がった。国内では2004年ごろから業者が増え、今は19団体が513台を走らせる。会員は計3700人以上だ。オリックス自動車では、今年上半期だけで会員が64%も増えたそうだ。
ジャン どうして?
――燃料の急な値上がりの影響だって。マイカーはガソリンが高くて気軽に乗れないのに、維持費はかかる。手放した方が得だが、たまには車を使いたい、そんな人がカーシェアリングに「乗りかえ」ているらしい。
ケン 環境にいいという話も聞くよね。
――電車など公共交通機関の利用をうながし、車の数を減らして渋滞をやわらげるのに役立つからだ。
マイカーからカーシェアリングに切りかえると、一人あたりの車の走行距離が1年間で8割近く減るという調査結果もある。カーシェアリングは毎月の利用料がわかるため、必要なときだけ車を使うようになるという。地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を、年間一人あたり1.89トン減らすことになるんだって。
ポン だから利用者が増えているんだね。
――市民の環境意識の高まりも、カーシェアリングの拡大につながっているといえそうだ。環境効果に注目し、カーシェアリングの補助制度を始めた自治体もあるんだよ。東京都荒川区は六月から、カーシェアリングの会員になる際の費用として最大五千円を補助している。新築マンションにとり入れられる例も増えているんだ。
ジャン 車だけじゃなく、ほかのものも「シェア」すれば便利じゃない?
――実際、いろいろなもののシェアリングが登場している。
例えば、傘。東京都渋谷区では、喫茶店や本屋など約30の参加店にビニール傘を置いて無料で貸し出し、参加店のどこに返却してもOK、なんてシェアリングがある。「つい買ってしまうビニール傘を、みんなで再利用してむだを減らそう」というねらいだ。
ケン いろいろなシェアリング、これから増えていくかもね。
――本を再利用するブックシェアリングなどもある。みんなでものを共有し、地球にやさしく暮らす試み、もっと増えてほしいよね。
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