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――かんたんに言えば、生産手段や利益を共有して、平等な社会を実現しようという考えのこと。
たとえば、革命前はごく一部のお金持ちや大企業が国内の農地の大半を独占して土地のない農民をこき使っていたけど、革命後は、広い私有農地を国のものにしたり分配したりして国民全体で収益を平等に分け合うようにした。これを農地改革というよ。医者やパン屋でも仕組みは同じで、どんな職業でも給料はほとんど同じだ。パンやせっけんなど生活必需品を無料で配る「配給」も続けてきたよ。
ポン フィデル氏も貧しかったの。
――彼は元々弁護士で、貧しい人から相談を受けるたびに社会の不平等さに怒っていた。だから、教育や医療もみんなが無料で受けられるようにした。赤ちゃんの死亡率の低さや、教育の普及率は先進国並みなんだ。
ジャン いいことばかりのように聞こえるね。
――そうでもない。いくら頑張っても他人より多く給料をもらえるわけじゃないから、一生懸命働かなくなる人も多い。革命後に、アメリカなど海外に移住した人も多いよ。
ケン アメリカとキューバは仲が悪いの。
――自由な商売を基本にするアメリカは、社会主義の国を敵視してきた。キューバについても、1959年の革命直後に農地改革を打ち出すと、貿易を制限するようになった。その後も、キューバと取引した船がアメリカの港に入ることを禁じたり、アメリカの企業に取引を禁じたりしてきた。
ポン 貿易相手がいなくなっちゃうよね。
――その頃に手をさしのべたのが、当時のソ連だ。以来キューバは、ソ連を含む社会主義の国々と関係を深めていった。一時は、ソ連がキューバに核ミサイルの発射基地を建設しようとして、アメリカとの間で互いに核ミサイルを撃ち合いかねない危機まであった。
ジャン フィデル氏の引退で何か変わるのかな。
――フィデル氏の後継者で弟のラウル氏は、国を率いる政治団体「共産党」の党大会で、社会主義体制を続けることを確認した。でも、同時に、配給をやめることや、仕事などの成果に応じて給料に差をつける成果主義を進める方針を明らかにしたんだ。
ポン どうして。
――一番の問題は、お金だ。90年ごろにキューバを支えてきた社会主義国が減って貿易が行き詰まった。アメリカの締め付けなどもあって、国民全員を平等に支えるお金を準備できなくなってきたんだ。もうひとつは、平等主義では働く人の意欲と効率が上がらなかったからだろうね。ラウル氏は2008年7月の国会演説で「平等主義は怠け者が働き者を食い物にすること」と述べている。
ケン 「平等」の理想が失われるのかな。
――60年代のような平等主義はもう無理だろうね。実は、経済危機に陥った90年ごろから、外国のお金を持つことを許すなど改革を試みていて、海外の親族から送金してもらえる人が豊かになるなど、格差が生まれていた。これからは、金品でなく、教育や商売などの「機会」を平等にすることで公平性を保とうとするとみられているけど、革命を経験した世代は次々と引退していく。そうしたらもっと変わるかもしれないね。
【キューバ】
面積は約11万平方キロメートル(日本の本州の約半分)。首都はハバナ。人口は約1100万人でスペイン語が話されます。主な産業は観光、医療、さとうきびなどの農業。
1902年 スペインから独立
59年 カストロ政権成立(キューバ革命)
61年 アメリカと外交関係断絶
62年 「キューバ危機」
2011年 フィデル・カストロ氏がすべての公職から引退 |
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