●日本振興銀行事件って

丸石伸一記者(朝日新聞経済グループ) 

 ケン 最近、日本振興銀行(振興銀)のニュースをよく見るね。社長たちが逮捕されたんだって。
 ジャン どんな事件?
 丸石記者 銀行は定期的に、金融庁という役所の検査を受けて、経営に問題がないかチェックを受けている。振興銀はその検査を妨害しようとした疑いがあるということで、社長たちが警察に逮捕されたんだ。検査を妨害してはいけないという法律があるからね。
 ポン どうやって妨害したの。

 
金融庁の検査を妨害した疑い

法律違反をかくすねらいか?
社長ら取引メール280本消す
逮捕前すでに業務停止受ける

 
逮捕された木村剛前会長©朝日新聞

――事件を調べている警視庁は、ある企業に事実上お金を貸したことに関する振興銀の社長や役員たちの電子メール約280本を消して、金融庁に見られないようにしていた疑いがあるとみている。


ケン どうして、そんなことをしたの。

 

――メールで相談していたのは、倒産してしまった会社に対して事実上お金を貸したことなどについてだったようだ。この取引の一部は、法律に違反してお金を貸していたかもしれないと指摘されている。

ジャン 事件は解決しそうなの。

 

――警察が調べている最中なので、本当にどうだったかはまだ分からない。逮捕されたのは全部で5人いる。この中で、振興銀をつくったときのメンバーで、社長の相談にのる役目の「会長」を今年5月まで務めていた木村剛さんという人は「検査を妨害したとは思っていない」という内容のことを言っている。妨害していたかどうかは、警察の調べと裁判が終わらないと、決まらない。

 

ポン そもそも日本振興銀行って、どんな銀行なの。

 

日本振興銀行に家宅捜索に入る捜査員ら=6月11日、東京都千代田区で©朝日新聞

――2004年4月にできたので、銀行の中では新しい。古くからある、規模が大きい銀行がお金を貸すのは、大企業が中心。振興銀は、もっと小さい企業にお金を貸すのが専門の、新しいタイプの銀行にしようということだったんだ。

 

ジャン でも、社長や会長が逮捕されて大丈夫?

 

――社長たちが逮捕されたのは今月14日。振興銀はその日のうちに、新しい社長を決めた。新社長は「お客様の不安を取りのぞくために、振興銀を立て直します」と言っている。その言葉をお客さんに信用してもらえるかどうかがポイントだね。

 

ポン お客さんの信用?

 

――みんな、銀行はどういう会社か知っているかな。みんなのお父さんやお母さんたちからお金を預かって、期限が来たら利子をつけて返す。これが預金だね。銀行は預金で集めたお金を企業などに貸して、利息をもらって、もうけるんだ。だけど、銀行がみんなの信用を失ってしまうと、預金をしようという人も、お金を借りようという人もいなくなって、事業が続けられなくなってしまう。

 

ケン なるほど。振興銀のお客さんたちは、どう思っているのかな。

 

――新しい社長は「預金を引き出す動きはそれほど目立っていない」と言っていて、お客さんたちはまだ振興銀の将来をさほど心配していないようだ。でも、大事なのはこれからだよ。

 

ジャン どうして。

 

――金融庁は、社長たちが逮捕される前の5月に「これまでの事業のやり方を見直し、悪かったところは改めるように」と命じた。この時、振興銀の一部の業務を6月から約4か月間停止することも命令した。

 

ジャン じゃあ、今は事業が止まっているの。

 

――全部の事業ではない。ただ、振興銀と取引のない人たちに「預金してください」と宣伝することや、企業に1億円を超えるお金を貸すことなどが9月末まで禁止された。銀行が一番力を入れる事業を止められてしまったんだ。その間に、何が悪かったのか、どうすれば良くなるのかを徹底して考えなさい、ということなんだよ。

 

ケン 信用を取り戻すことができるのかな。

 

――9月中に、これまでのやり方を変えて、再出発する計画だ。それが、お客さんたちに信用されるかどうかだね。

 

 

(2010年7月28日)

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