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ゲームソフト 
子どもへの販売・貸し出し  アメリカで規制する動き

斉藤 泰生記者(朝日新聞学芸部)

斉藤記者

 みんな、いつもどんなテレビゲームで遊んでる?

ジャン

 ロールプレイングゲームの冒険ものかな。

ケン

 格闘技ものとかアクションゲームが好きだよ。相手をたおすと自分が強くなった気がするんだ。

斉藤記者

 その気持ちは遊んでいるときだけにしてね。取材に行ったアメリカでは暴力的なゲームをまねた犯罪が起きて、社会問題になっている。州の法律で子どもへのゲームソフトの販売が制限され始めたんだよ。

ポン

 エーッ、くわしく話して。

 暴力シーンをまねた犯罪がきっかけ

 ジャン 法律で制限って、子どもはゲームソフトを買えないの?

 ――全部じゃない。市民を守る立場の警察官への暴力シーンなどがあるソフトは、17歳未満に売ったり貸し出したりしないようにもとめる法律なんだ。アメリカ北西部のワシントン州でことし6月にできた。

 ケン ゲームをまねた犯罪って、どんな事件なの?

――ことしの初めにカリフォルニア州で、17歳から26歳までの男女6人組が、銃で5人を殺したんだ。つかまった後にひとりが「ゲームで遊んでいて、気持ちが高ぶって、じっさいにやってみたくなった」と警察に話したんだよ。

 ポン こわい事件だね。

 ――そのゲームには、人々を銃で殺害するようなはげしい暴力シーンがある。アメリカでは約500万本も売れた人気ソフトだというよ。

 ジャン すごい数ね。

保護者の関心を高めるため、ゲームソフトの暴力シーンを集めたビデオテープをつくって小中高校のPTAに配っている市民グループのメンバー=アメリカ・ワシントン州のシアトル市で、朝日新聞から

 ――そうだね。たくさんの人が遊んでいるだけに、大人は不安なんだ。とくに子どもは影響をうけやすく、しっかりした判断がまだできない子もいるだろう。ゲームの仮想の世界と現実とを区別できなくなってしまう子が出てこないかと心配している。だから暴力的なゲームの規制に取り組む市民活動も活発なんだよ。

 ポン ワシントン州では、どんなことをしているの?

 ――子どもの暴力をふせぐ活動をしているグループは、子どもたちに人気のあるゲームソフトの暴力シーンを集めたビデオテープをつくって、小中高校のPTAに配っている。子どもがどんなゲームで遊んでいるのか、親にもっと知ってもらおうというねらいだ。知っていれば注意できるからね。

 ケン 法律をつくってともとめたのもその団体なの。

 ――そう。法律ができるきっかけとなった活動には、みんなよりちょっと先輩の高校生もかかわったんだよ。

 ポン なにをしたの?

 ――お店で調査したんだ。17歳未満に売らないように決められている、はげしい暴力シーンのあるソフトが、14、15歳でも買えるか、ためしたんだ。

 ジャン どうだったの?

 ――ほとんどのお店で年齢も聞かれずに買えたんだって。だから、きびしい法律が必要だということになったんだ。

 ポン ふーん。

 ――ところでみんな、ゲームソフトの箱に対象年齢の表示があるのを知ってるかい。

 ケン どれどれ……あっ、箱の表がわに「全年齢対象」と書いてある。初めて気づいたよ。

 ――ゲームの内容から、この年齢以上の人が遊んでね、という目安なんだ。日本は「全年齢」「12歳以上」「15歳以上」「18歳以上」の4段階に分かれている。

 ジャン アメリカにも同じものがあるのかな。

 ――もっとくわしい表示だ。年齢区分は5段階あって、ゲーム内容のかんたんな説明文も箱の裏がわにある。「ギャンブル」「はげしい暴力がえがかれている」「血が流れるシーンがある」とか書いてあるから、買うときに判断しやすいよね。

 ケン でもさ、ぼくも戦闘ゲームは好きだけど、じっさいに戦ってみたいなんて思ったことはないよ。

 ――ほとんどの子はそうだと思うよ。でも、ゲームの中で人を傷つけることになれてしまうことが、大人たちは心配なんだ。ゲームではたたいたりたたかれたりしても痛くはないけれど、じっさいにやられたら痛いし、いやだよね。

 ポン それは絶対にいや!

 ――その感覚をわすれないでほしいんだ。そしてソフトを買うときは対象年齢も見て、お父さん、お母さんの意見も参考にして買ってね。

(03年10月18日) 


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