曽我 豪記者(朝日新聞政治部)
年末に新しい政党ができたのよね。
保守新党のことだね。自民党、公明党と連立与党を組んでいた保守党の国会議員の大部分と、野党の民主党をはなれた一部の国会議員とでつくった党だ。保守党はなくなり、保守新党があらためて与党にくわわったよ。
政党って、そんなふうにかんたんにできるものなの?
与党、野党っていうのは、政党じゃないの……?
それじゃあ、きょうは政党について勉強しようか。
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くっついたり、はなれたりもめずらしくない政党。年末には保守新党が結成され、与党にくわわりました
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ジャン そもそも政党って何かしら。
―政党は「日本をこんなふうにしたい、こういう政策をやるべきだ」と、同じような考えを持つ国会議員らが集まったグループだよ。基本的には、政策を実現するのが政党の目的。選挙では、自分たちが考える政策を国民にうったえて、どれだけ議席をとれるか競争する。
ケン 保守新党ができたみたいに、よく、はなれたりくっついたりするものなのかなあ。
―考えが似た政党同士が合わさったり、意見が対立して分かれたり解散したりすることはよくあるよ。
ケン めまぐるしいね。この前、パパが「年末になると新しい党ができる」とかいってたけど……。
―政党は会社や個人から政治献金、国から政党助成金をもらって活動する。国が政党として助成金を出すのは、五人以上の国会議員がいることが条件で、その届け出のしめ切りが年末だ。新しい党をつくるなら助成金をもらえるようにと考えるんだろうね。
ポン 与党と野党っていうのは?
―日本は「議院内閣制」をとっている。これは、国のトップである首相を、国会の指名選挙で国会議員の中からえらぶ制度だ。かんたんにいえば、この選挙で勝った首相を支持する多数派の政党が与党で、支持しない少数派の政党が野党だ。
ポン そうすると小泉さんは与党の人なんだね。
―そう。小泉さんが総裁をつとめる 自由民主党(自民党)、それに協力している公明党と保守新党の三党がいまの与党だ。首相のもとに大臣や副大臣を出して、自分たちの政策を実行にうつしていく。一党だけで多数派になれず、いくつかの党が協力して政権をとる与党を連立与党というよ。
ケン じゃあ、野党の人たちは?
―民主主義の大事な考え方のひとつは、少数意見も大切にすること。国の予算もさまざまな法案も、与党は、国会で野党の人たちの意見も最大限聞きながら、必要なら直してきちんと法律をつくらなくちゃいけない。少数派とはいえ、野党の人たちの仕事は、与党の考え方をチェックする大切なものなんだ。
ジャン 民主党の人が保守新党にうつったみたいに、いままで野党だった人が与党にまわることもあるのね。
―与党のほうが自分たちの政策を実現しやすいし、献金もたくさん集めやすい。ずっと野党がつづくと、与党にうつったほうがいいのでは、という考えの人も出てくる。もちろん、そういう行動には批判の声も大きいけどね。
ケン そうすると、与党は人数がふえて、どんどん力が強くなるね。
―うん。でも与党があんまり大きくなると、べつの問題が起きてくる。多数派だからといって、何もかも多数決で予算や法案を成立させるようになると、民主主義の原則からはずれてしまうんだ。与党も野党も大事なんだ、という考え方が大切だよ。
20日から通常国会が始まるけど、与党と野党が自分たちの仕事をしっかりしているかどうか、きょうの勉強をもとによく見よう。
(03年1月14日)
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