中学生がフォーラムで取り組み発表
劇で考える「ネットいじめ」
朝日中学生ウイークリー

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子どもの意見 もっと聞いてもらおう

 

 春休みは、進級進学に合わせて携帯電話を買ってもらう人が増える時期です。メールやネットを使う時には「ワンクリック詐欺」やネット上での人間関係のトラブルなどに気をつける必要があり、子どもたちに安全な使い方を知ってもらおうという講演会などが多く開かれています。
 文部科学省が事務局となって3月6日に開かれた「ネット安全安心全国推進フォーラム」では、学校の先生ら大人の参加者を前に、大阪府寝屋川市の中学3年生、船倉三奈さんが「ネットいじめ」を防ぐ取り組みを発表しました。
 同市では市内の公立中の生徒代表が集まる「中学生サミット」を開催しています。船倉さんはその「いじめ撲滅部門」の一員として、ネットいじめを題材にした劇の上演に携わりました。ネットの掲示板に同級生の悪口が書かれ、誰がやっているかわからないまま、みんなの心が離れていく……。そのまま卒業式を迎えていいのかどうか、心の揺れを描いたオリジナルの劇です。フォーラムでは劇のダイジェスト版の映像を流しました。「劇を通して中学生自身が考えることができた。劇を見てくれた中学生は、ネットいじめの深刻さを理解してくれたと思う」と船倉さん。
 「ネットは楽しいものだから、大人はむやみに禁止にしないでほしい」ということも訴えました。
 「ゲームサイトやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に悪い人がいるかもしれないのは、わかっている。でも上手にネットを使えるなら、禁止しなくていいのではないですか。SNSでは自分と趣味の合う人が見つかって語り合うことができたり、身近な人には言えない本音を話せたりすることもあるのです」。ネットでの人間関係に依存しすぎる子を助けるには、「周りの大人がもっと話を聞いてあげればいい」ということも指摘しました。
 会場の大人からは、中学生とネットの付き合い方について、船倉さんにたくさんの質問が出ました。そこに、ある出席者が「みなさん、船倉さんに聞かずに、身近にいる中学生に質問してみましょうよ」と発言。船倉さんは「子どもの意見をもっと聞いてほしいです」と話していました。



(2010年3月28日)

 
 
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