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2009年7月
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マニフェストって?
読んでみて 政党が示す「契約」

 衆議院が21日解散し、8月18日公示、同30日の投開票が決まりました。今回の総選挙のキーワードは「政権選択」といわれていますが、有権者がそれを判断する決め手となるのがマニフェスト(政権公約)です。
 マニフェスト(manifesto)の語源はイタリア語で「はっきり示す」という意味で、政党や候補者が政策の目標とその実現への手順、財源、達成時期などを具体的に数値などで示した公約集。イギリスで1834年、保守党のピール党首が、政権構想として配ったものが始まりとされています。
 日本では、三重県の北川正恭知事(当時)が2003年4月の統一地方選挙に向け、知事選の各候補者に作成を呼びかけて広まり、同年11月の総選挙では、民主党がマニフェストを前面に政権担当能力をアピール。他の政党も競ってマニフェストを発表し、国政レベルで初の「マニフェスト選挙」となりました。以後、国政選挙だけでなく、地方の首長や議会の選挙でもマニフェストを掲げての選挙方式が広がり、定着してきました。
 従来の「公約」は、「活力ある高齢化社会の構築」といったように、多くが抽象的な内容でした。このため有権者は政策内容ではなく、人柄や経歴、地縁などで投票先を判断せざるを得ない状況でした。
 マニフェストは政治家と有権者の「契約書」のようなもの。政党同士が有権者の前で政策を競い合う効果もあります。これによって、有権者は政策を基準に投票しやすくなります。
 有権者はまた、マニフェストの内容が実行されたかどうか、政権党の「成績」を評価し、次の投票先を判断することができます。「契約違反」があれば、次の選挙で投票先を変えればよいのです。
 マニフェストは各政党や候補者の選挙事務所、街頭演説の会場などで手に入ります。また、ほとんどの政党がウェブサイトで公開しています。
 私たちの国の将来をどの政党に任せるかを決める総選挙。家族で内容を比較しながらチェックすれば、政治参加意識が高まるはずです。

(2009年7月26日)

異例づくしの政治動向に注目

 麻生首相が13日、解散・総選挙の日程を表明。21日にも解散し、総選挙は8月18日公示、同30日投開票としました。
 衆議院の解散には毎回、解散までの政治の動きや、その後の総選挙での争点などにちなんで「○○解散」と呼び名がついています。各政党やメディアによるネーミングから、一番ぴったりしたものが残るようです。
 たとえば2000年の解散を「神の国解散」と呼んだのは、民主党の鳩山由紀夫代表でした。当時の森喜朗首相(自民党)が日本を「神の国」と発言して国会が大騒ぎになっていたことから取りました。
 有名な「バカヤロー解散」は、麻生首相の祖父・吉田茂元首相が国会で野党との質疑にエキサイトし、「ばかやろう」と言ってしまったのをきっかけに内閣不信任案が可決されたため、こんな名前になりました。
 「天の声解散」は、鳩山代表の祖父・鳩山一郎元首相が突然の解散を「天の声を聞いたから」と説明して話題になったため。「死んだふり解散」は中曽根康弘元首相が「解散しない」と言いつつ突然解散したから。前回の「郵政解散」は、郵政民営化法案を参議院で否決された小泉純一郎元首相が、「国民に聞いてみたい」と解散・総選挙にふみきったことからこう呼ばれています。
 小泉さんの後、安倍、福田内閣はどちらも首相辞任、内閣総辞職で幕を下ろした短命政権で、解散はありませんでした。4年ぶりとなる今回の解散・総選挙は、異例づくしといわれています。
 真夏の選挙は暑さで負担が大きく、お盆休みで帰省・旅行する人も多いことなどから、避けられてきたとされます。7月の解散は史上初。8月の総選挙は明治時代に2度あっただけです。「7月21日解散、8月30日投開票」なら、解散の翌日から数えて40日以内に総選挙を行うと憲法54条が定めた期間をフルに使うことになり、過去最長です。そんな今回の解散、何と名づけられるのでしょうか。

(2009年7月19日)

ドクターヘリを小児医療に
重症の子どもにすばやく高度な治療を
 救急医療の手段の一つとして全国で配備が進みつつある「ドクターヘリ」。けがや急病の患者のいる現場に医師や看護師が空から駆けつけ、すばやく治療を開始しようというシステムです。今までは自治体の負担金額が大きいことがネックになって導入が進みませんでしたが、2009年3月に国が実質的に4分の3を負担することが決まり、導入しやすくなったといわれます。現在16道府県に18機が配備され、導入予定や検討中の自治体も10カ所以上あります(朝中の09年4月26日号「NEWSなびっち」でも紹介しました)。
 高度な治療ができる医療機関が身近にない場合でも、ヘリコプターなら遠い場所まで運ぶことができるため、専門的な治療が必要とされる小さな子どもの医療にも役立っています。ドクターヘリを推進するNPO「救急ヘリ病院ネットワーク」が主催して6月末に開かれたシンポジウムでも、小児医療への積極的な活用が話題になりました。
 日本では重症の子どもを受け入れる小児集中治療室(PICU)を持つ病院は全国で15カ所程度。小児救急医療の体制は十分とはいえません。シンポジストの一人、長野県立こども病院長(前・国立成育医療センター手術集中治療部長)の宮坂勝之さんは、他の一般病院などから子ども病院や成育医療センターにヘリで搬送されることで、小児重症患者の回復具合が良くなっていることを紹介しました。宮坂さんは「協力して搬送できるよう、地域の救急医療関係者でチームを組むことが必要」と話しました。
 日本では新生児や乳児の死亡率の低さは世界でトップクラスなのに、1〜4歳児の死亡率は先進国の中で高いほう(世界で20位ほど)だということが世界保健機関(WHO)の調べなどでわかっています。この年齢で亡くなる一番の原因は、不慮の事故。小児救急医療が進んでいないことが、死亡率を押し上げている原因のひとつとみられます。現在、事故などで脳死になった子どもからの臓器移植を可能にしようと法律の改正が議論されていますが、救急医療を充実させることも必要といわれています。

(2009年7月12日)

必要な臓器は自国で確保する方向へ
 「脳死は人の死」とする臓器移植法の改正案が6月18日に衆議院で可決したのを受け、参議院でも話し合いが始まりました。
 そもそも、今の国会でこの議論が動きだした背景には、「イスタンブール宣言」が大きく影響しています。この宣言は、移植用臓器が世界的に不足していることから、「自分の国で必要な臓器は自分の国で確保する努力をすべき」と明記、海外での臓器移植を制限しています。臓器提供が少なく、海外に渡らないと助からない人も多い日本は、法律の見直しを迫られた形です。海外の臓器移植に関する現状はどうなっているのでしょう。
●海外での臓器提供のしくみと移植件数
 世界各国の臓器提供のしくみは、大きく2つに分けられます。
 @「OPTING IN」 本人が生前に臓器提供の意思表示をしていた場合。もしくは、家族が同意した場合に臓器提供する。
 A「OPTING OUT」 本人が生前に臓器提供を拒む意思を書面に残さなければ、臓器提供する。家族が反対すれば、提供しない場合が多い。
 日本の臓器移植法は@。脳死で臓器提供する時には、本人の意思表示に加え、家族の同意も必要。15歳以上でないとできません。世界でも厳しい内容です。
●進んでいる米国の現状は?
 臓器移植が盛んな米国の法律は、州によって違いがありますが、基本は@です。脳死は人の死。日本のような臓器提供の年齢制限はありません。
 フロリダ大学で肝臓などの臓器移植にたずさわる外科医・藤田士朗さんは「米国では『移植の必要な人をみんなで支え合おう』という意識が高い。この環境は、移植コーディネート組織の力によるところも大きいのです」と指摘します。

米国・組織の連携で普及進む
日本・高い技術の前に法の壁

 米国では、政府と契約するUNOSという移植コーディネート組織が別の複数の組織と協力し、移植希望者と提供者(ドナー)をつないでいます。この仕事をする移植コーディネーターは、ドナーとなる可能性のある患者さんの家族と話し合ったり、学校に出向いて討論させたりと、普及活動にも力を入れています。
 日本には移植コーディネート組織が1つしかありません。藤田さんは「日本の移植技術は米国より優れているのに、法律のために、海外で移植しなければならない状況を生んでいます。米国でも必要な臓器が足りているとはいえません」と話します。海外で移植を受けた日本人は、これまでに500人以上に上ります。
 米国では、臓器を提供したくない人の意思も尊重しています。「死生観は個人の問題です。だから、提供した人の家族、提供された人、提供しない人を干渉する雰囲気はありません」と藤田さん。
 臓器移植法改正の審議の場が参院に移った日本では、脳死を「人の死」とすることに国民の理解が広く得られるのかなどが、議論になっています。

(2009年7月5日)

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