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2009年10月
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海面水温がこの夏過去最高
気候を大きく左右する海水の働き
 「この夏(6〜8月)の世界の海面水温は16.9度で、記録のある1880年以来、最高だった」と、米海洋大気局(NOAA)がこのほど発表しました。公式サイトによると、同期間の海面水温は20世紀の平均である16.4度よりも0.5度高くなっていました。また9月の海面水温は16.7度で、2004年と並び5番目の高さでした。
 「長い目で見れば海水は着実に温かくなっていますが、8月の水温は深さ100(メートル)になるとむしろ冷えている。だから今回の発表について、大げさにとらえるほどのものではない」。こう話すのは独立行政法人・海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球環境変動領域・領域長の深沢理郎さんです。
 海水温と大気温は密接な関係があります。暖かい大気に接したり太陽からの放射熱を受けたりすることで海水は温まる一方で、海面からの水蒸気は大気に熱を与えます。冷えた海水は下に沈みこみ、対流が起こります。「海水が沈みこむグリーンランドや南極沖で、大気が暖まっている。大きな海の対流が気候の骨組みをつくっている」と深沢さん。地球温暖化だけでなく、もともとの自然による変動も海水温に大きな影響を与えます。
 海水温が上昇すると、どんな変化が生まれるのでしょう。海面からの水蒸気量が増えると、熱帯低気圧や台風の発達がうながされて台風は大型化します。水温が上がれば水自体の体積が増えるので、潮位も高くなります。また、温かい海水が「浮かしぶた」のようにとどまって海水が混ざりにくくなると、プランクトンの生育もかわり、それを食べる魚も影響を受けます。
 「浮かしぶた」状態が続くと、全く逆の変化も生まれかねません。海水の大きな対流が起こらないと大気は暖まらず、地球は冷えていきます。
 「対流が止まれば氷河期になる。ただ対流が止まるまでの間に何が起こるのか、温暖化以降の予測はまだ進んでいません」
 現在、世界の海洋研究者が力を注ぐのは、大気と海がどのように熱を交換しているのかを全海洋上で明らかにすること。また、対流の分布と変化をくわしく解明することです。そうすれば海が地球全体の気候に与える影響とメカニズムが精密にわかります。
 「温暖化ひとつとっても原因や影響は、海や大気、生物、人の生活など、私たちの想像以上に森羅万象にかかわっています。対応を決める時も、それらについてよく考えることが大切」と話しています。

(2009年10月25日)

15日から新聞週間
考える力を育む 大人の新聞にも挑戦だ
 10月15日から21日まで「新聞週間」です。それにちなんで、日本新聞協会が募集していた新聞週間の標語に、9695点の応募の中から朝日中学生ウイークリー元読者の本田さん(東京・高3年)の「新聞は地球の今が見える窓」が選ばれました。
 朝日小学生新聞と朝中で新聞を読む習慣が身についたという本田さん。「朝起きて部屋の窓を開けて外が見えるように、新聞を開くと世界が見えてきます。最近は地球規模のニュースが多いですから、新聞は地球が見える窓だなと自然に標語が浮かびました。テレビと違って、新聞は自分で開かなければ世界は見えてきません。でも、自発的に読むからこそ、自分で考える力がつくと思います」
 『小学生から「新聞」を読む子は大きく伸びる!』(すばる舎)という本を出したジャーナリストの池上彰さんも、新聞を読むことで考える力が養われると言います。「新聞を読むと、分からないことが多くて頭の中に『?マーク』がいっぱい出てくると思います。そして、『なんで、こうなるの?』『それって、おかしいよ』などと思うだけで、実は気づかないうちに自分の頭で考えているのです」。大人になって世の中に出ると、正解のない、あるいは答えがたくさんある問題に数多く出合います。そんな時、自分なりの答えを作っていく力が、考える力とも言います。
 でも、大人の新聞は分量が多く、難しそうで読む気がしない人も多いかもしれませんね。池上さんは「難しいと思う記事を読む必要はありません。パラパラめくって、見出しや写真で面白そうと思った記事だけ、ちょっと読んでみたらいい。新聞を読めば、読解力はもちろん、語彙力や文章力を高め、テストに役立つ学力も身につきます。世の中に関心を持つことで、将来の生き方を決める時の参考にもなるはずですよ」と話します。

(2009年10月10日)

JAL再建は視界不良
政府頼みの甘い経営体質直る?
 日本航空(JAL)が深刻な経営難に直面しています。前原誠司国交相はこのほど、JALを再建するための専門家チーム「JAL再生タスクフォース」(5人構成)を発足させる一方、9月30日の緊急会見で「万が一の場合は政府としてしっかり支援する」と述べ、資金繰りなどに行き詰まった場合でも国の資金を活用するなどして経営破たんに陥らないよう政府が支援する方針を強調しました。日本の航空業界を長年リードしてきたJAL。その再建への航路は“視界不良”です。
 JALは人員削減(グループ全体で6800人)、路線見直し(国内29、国際21路線を廃止。国内7空港、海外9空港から撤退)、米航空会社との提携交渉などの独自の再建策を検討してきました。しかし、鳩山新政権は再建には根本的な見直しが必要だとして、過去に民間企業の経営立て直しにかかわったことがある専門家らによるチームを発足させ、10月末ごろまでに再建計画案の骨子をまとめる予定です。
 JALは1951年に政府主導で「半官半民」として設立された国際線中心の航空会社で、シンボルは機体に描かれた「鶴丸」。国内線中心の全日本空輸(ANA)、日本エアシステム(JAS)をリードする形で、日本を代表する航空会社=ナショナル・フラッグ・キャリアとして成長してきました。87年に民営化され、2002年にJASと統合し、現在に至っています。
 航空各社は過去に何度も経営不振に陥ったことがあります。各社が自力で経営を立て直してきた中、JALは公的資金の投入などに助けられてきました。JALが前例のない深刻な経営難に陥っている大きな原因の一つに、こうした政府頼みの甘い経営体質があると指摘されています。

(2009年10月3日)

強力連載隊
英検3級合格への道
漢検卒業までに3級を 数検3級合格の定理

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