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2009年1月
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第44代 アメリカ大統領
バラク・オバマ氏就任
国民とともに新たな責任の時代へ出発
 米国の大統領就任式が20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂前で行われ、バラク・オバマさん(47)が第44代大統領に就任しました。就任式には全米各地から200万人もの観衆が集まりました。
 オバマ大統領は約20分の就任演説の中で、米国はイラク、アフガニスタンとの戦争や経済で困難な状況にあることを述べ、「今求められているのは、新たな責任の時代(a new era of responsibility)である」と、米国民ひとりひとりが国や世界に対して関心を持ち協力しようと訴えました。就任式後に行われたパレードでは、オバマ大統領夫妻は大統領専用車から降りて歩き、沿道の国民に笑顔で手を振りました。
 オバマ大統領は米国史上初のアフリカ系の大統領です。人種や性別などの違いを超えて米国がまとまることを理想にかかげ、政権をになう閣僚にアフリカ系、ヒスパニック系、日系、中国系、アラブ系の人や女性をバランスよく登用しました。経験豊富で有能な人材も多く、「賢い(smart)政府」をめざすといいます。

理想を抱き、現実を見すえる政治家

 新しい米国大統領に就任したオバマさんは、理想主義と現実主義をあわせ持つ政治家と言われていますが、20日に行った就任演説に両方の特色がよく出ています。オバマ大統領は、200年以上前につくられた米国の独立宣言に盛られた「自由」「平等」「幸福の追求」といった価値を強調し、米国が掲げてきたこうした理念こそが米国の強さであり、原点に立ち返るように呼びかけました。
 同時に、アメリカが抱えている課題もごまかさずに直視しました。たとえばテロ勢力との戦いや経済の立て直しについて、「これらの難問は現実のものだ。深刻で数も多い、短期間で簡単に処理できない」と国民に率直に告げました。そのうえで、しかし「アメリカよ、それは解決できる」と励ましているのです。
 また、国民に自分たちの責任を自覚するように訴えました。困難な任務に献身することほど米国人の心を満たすものはない、とまで言い切っているのです。
 理想を抱くことは、現実から目をそらすことではない。現実の大変さがわかるほど、現実に立ち向かう心の支えとして理想が大切なのだ。そんなメッセージが読み取れました。

(2009年1月25日)


国連安全保障理事会
理事国の賛成で決議採択 米の「棄権」 拒否権行使とは違う
 中東のパレスチナ自治区ガザで激しい戦闘が続いていることから、国連安全保障理事会(安保理)が停戦を求める決議案を採択しました。安保理とは、どんな組織でどんな仕事をしているのか、おさらいしておきましょう。
 安保理は、国連の6つの主要機関のひとつです(あとの5つは総会、事務局、信託統治理事会、経済社会理事会、国際司法裁判所)。国連憲章によると、安保理の第1の責任は世界の平和と安全を守ること。国連主要機関の中で法的に加盟国を拘束する権限を持つ機関で、全加盟国は安保理の決定に従う義務があります(ちなみに総会の決議に法的な拘束力はありません)。
 また、総会のような定期会合を開きませんが、紛争が起きたり、平和が脅かされたりした場合、国連の加盟国であるかどうかに関係なく、いかなる国も、いつでも召集を呼びかけることができます。こうした緊急事態にすばやく対応するため、理事国の代表はニューヨークにある国連本部に常駐することが義務づけられています。
 15の理事国から安保理は構成されています。そのうち英国、中国、フランス、米国、ロシアの5か国は常任理事国。残りの10か国は非常任理事国と呼ばれ、総会が加盟国の中から地理的な配分を考慮しながら2年の任期で選出します。現在、日本も非常任理事国になっています(他はウガンダ、オーストリア、クロアチア、コスタリカ、トルコ、ブルキナファソ、ベトナム、メキシコ、リビア)。
 安保理で決議を採択するには、9か国の理事国が賛成しなければなりません。しかし、5つの常任理事国のうち1か国でも反対した場合は決議は採択されません。これを「拒否権」といいます。ただし、今回のガザ停戦決議で米国が行った「棄権」は、拒否権の行使とはみなされません。

(2009年1月18日)


中東ガザで大規模戦
イスラエル対パレスチナ 互いに武力で報復
60年前のイスラエル建国に始まる 
 今回だけで一般市民含む死者600人超
 中東のパレスチナ自治区ガザで、2008年12月27日、イスラエル軍による空爆が始まりました。同地区を支配するイスラム過激派ハマスの拠点を空爆し、この日だけで200人以上が死亡したと報道されました。ハマスはイスラエルにロケット弾を撃ち込むなどして報復し、戦いは泥沼に。09年1月3日にはイスラエル軍の地上侵攻が始まり、さらに戦闘が拡大しました。
 6日にはイスラエル軍は、国連パレスチナ難民救済事業機関が運営する学校3か所を砲撃し、避難していた住民が40人以上死亡しました。6日までにガザでの死者は600人を超え、一般の市民や子どもも多数亡くなったと伝えられています。ガザの人口は約150万人です。
 国連安全保障理事会は、即時停戦を求める決議をしようとしましたが、イスラエル寄りの米国が反対。フランスのサルコジ大統領がイスラエルなどを訪問するなど、国際社会は停戦の説得に乗り出しました。

なぜ戦っているの?
 パレスチナでは1948年、英国の委任統治が終わったのを機に、それまで国を持たなかったユダヤ人が世界各地から集まって、イスラエルの建国を宣言しました。アラブの国々はこれに反対し、イスラエルと戦争になりました。パレスチナを追われた人々は難民となりました。この戦いが現在も続いているのです。
 93年、イスラエルとパレスチナは話し合いで解決することに合意しました。しかし武力をもって対決しようとする勢力も双方に根強く、和平交渉はうまくいきませんでした。2006年、パレスチナでは武力対決の姿勢をとる過激派のハマスが選挙で圧勝し、イスラエルとの平和共存を目指す穏健派ファタハと対立します。07年には、ハマスはガザを武力制圧しました。「イスラエル対パレスチナ」というだけでなく、パレスチナの内部でも対立があることから、和平はいっそう難しい状況になりました。

なぜ今の時期に?
 イスラエルはハマスの動きを封じようと、ガザとの境界を封鎖し、ガザでは住民らの食料や燃料などが不足していました。そこでハマスはイスラエルと半年間停戦していましたが、12月18日に停戦を終了したと宣言してイスラエルにロケット弾を打ち込む攻撃を再開しました。
 イスラエルは2月の総選挙を前に強い姿勢を自国民に見せつける必要があり、大規模な攻撃に踏み切ったとみられます。イスラエルに強い影響力を持つ米国の大統領が対話路線をとるオバマ氏に代わる前に攻撃しておきたかった、という事情もあるようです。

(2009年1月11日)

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