おしゃれに、かっこよく
ないマイナスをプラスに
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筋電義手「ハンディー」を着けて来場者と握手する森川章さん(左)。「寒くてかじかむこともない。すごいでしょう」=東京都文京区の東京大学工学部。さまざまなデザインのハンディーは、イクシー提供 |
プリンターとアプリで安く
黒と白でデザインされた、SF映画のロボットのような義手。握手した人たちはみな、目を輝かせます。
10日、東京大学工学部(東京都文京区)で行われたトークイベントで実演展示された義手「handiii」。作ったのは、近藤玄大さん(28)、山浦博志さん(30)、小西哲哉さん(29)の3人です。
ハンディーは筋肉が出す、ごく弱い電気信号を読み取って手指を動かす「筋電義手」です。今、一般に使われている筋電義手は、ほとんどがドイツの一社が製造しているもので約150万円と高価。人の手に似せた姿で、ほかのデザインを選ぶこともできません。「もっと安くてかっこよくて、腕時計やスニーカーみたいに気軽に身に着けられるものにしたい」と近藤さん。
本体は型のいらない3Dプリンターで作ります。三つある指の関節を動かすためにそれぞれ必要だったモーターは、根元の一つで動かせるしくみに。筋電を読み取る「頭脳」部分には、スマートフォンのアプリを開発しました。その結果、材料費だけなら3万円まで下げることができました。
本物似より好み示せる
実演で身に着けていたのは、事故で右腕を失った森川章さん(46)。3人の研究に協力しています。「本物に似せた義手は、ぼくにとっては隠している気がして違和感があったんです。ハンディーは隠さないし、好きな色や形にできる。これなら欲しい」
山浦さんは「実用化は今年中にできそう。さらにあと2年くらいで、継続的に欲しい人に届けられる『商品化』を実現したい。欲しいと思った人が買える状況に早くしたいです」と話します。
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