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WFPにノーベル平和賞
2020年10月11日付
ノルウェーのノーベル委員会は9日、今年のノーベル平和賞を、飢えに苦しむ人へ食料を届ける国連の「世界食糧計画」(WFP、本部・イタリアのローマ)におくると発表しました。世界では紛争や自然災害などで6億9千万人が十分に食べられていないといいます。新型コロナウイルスの感染拡大で食べられない人が増えている中での授賞です。
ノーベル委員会は、WFPの飢餓とたたかう努力や、紛争の影響を受けた地域の平和への貢献などをたたえました。
飢餓と食料不安は対立を生み、紛争につながることがあります。また、紛争も飢餓を引き起こす原因になります。こうした悪循環を断ち切るため、「戦争や武力紛争にも終止符を打たない限り、飢餓ゼロという目標を達成することはできない」と委員会は指摘します。食料を提供することは、地域の安定や平和に貢献し「WFPはその主導権をにぎっている」とします。
WFPは、世界各地で命がけの努力をしてきたことが認められたとし、「飢えがある間、私たちは決して平和な世界を達成することはありません」と声明を出しました。
WFP日本事務所代表の焼家直絵さんは、「世界で最も厳しい場所で支援をしてきたスタッフの努力が認められたのだと思う」と喜びました。一方、新型コロナウイルスの広がりで、世界では食料不安におちいった人が急激に増えているといいます。「特に、子どもは大きな影響を受けています。日本の子どもたちに、飢餓の問題に関心を持ってほしいです」と話します。
プロスキーヤーで、国連WFP協会の親善大使をつとめる三浦雄一郎さん(87歳)は、朝小にコメントを寄せました。「以前、ラオスの小学校へ行き、WFPが支援している給食の活動で元気に勉強している子どもたちに出会い、たくさんの勇気をもらいました。食事は生きるためだけではなく、夢と希望と平和を育む大切な力です」
世界食糧計画(WFP)
飢餓のない世界をめざして、食料の支援活動をする国連機関です。1961年に設立されました。2019年には88の国・地域で約9710万人を支援。職員は1万7千人以上で、多くは途上国の現場で直接、支援に当たります。
