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2020年4月30日付
新型コロナウイルスの感染が広がったことから、学校がいっせいに休校して2か月近くになります。休校が続き、学校給食が食べられないことで、影響を受けている子どももいます。子どもたちの健康を守ろうと、各地で食の支援が広がっています。(中塚慧、近藤理恵)
大阪市中央区の子ども食堂「しま☆ルーム」は、新型コロナウイルスの広がりを防ぐため、2月末から食堂を休み、かわりに週3回、弁当を各家庭に届けています。地域には繁華街で働き、感染の広がりを防ぐため休業を求められている親が多いです。学校が休校になり、給食がなくて食べ物にこまる家庭があります。
22日は区内にある海宝寺が弁当作りを担当。住職の妻らがハンバーグや野菜たっぷりのチンジャオロースが入った弁当を55食分、作りました。受け取った5年生の女の子は「お弁当が届くのは楽しみ。大好きなハンバーグが入っていてうれしい」、お母さんは「栄養満点で助かります」と話していました。
しま☆ルーム代表の福井潤一郎さんは、「経済的に苦しくなり、食べ物の支援の必要性はこれまで以上に高まっている」といいます。配達の際は子どもの様子を見ることを心がけます。「学校に行けず、子どもも親もストレスがたまるでしょう。虐待にもつながりかねません。定期的に確認することで、『見守り』にもなれば」と話しています。
東京都豊島区では、子育て支援団体などでつくる「TOSHIMA TABLE」が、食の支援が必要な子育て世帯に、無料でお米や野菜、レトルト食品などを配っています。「としまフードサポートプロジェクト」といい、3月から現在まで800袋近くを宅配または配布しました。主催団体の一つ、NPO「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」代表の栗林知絵子さんは「給食がなくなって困っているという声を聞きます。少しでも栄養のあるものを食べてほしいと思います」。
東京の老舗の弁当屋も、食の支援に取り組んでいます。東京都中央区にある「人形町志乃多寿司總本店」は3月上旬から、「テイクアウト子ども食堂」を始めました。本来一つ500円の弁当を、中学生以下には100円で売っています。
企画した5代目おかみの吉益知世さんは「家族の食事を1日3食用意するのは大変なことです。お子さんのいる家庭に、少しでも力になれればうれしいです」と話します。
各地で子どもの食の支援が行われていますが、子どもの貧困対策センター「あすのば」の代表理事・小河光治さんは「民間にたよるのではなく、国がもっと積極的に取り組んでほしい」と言います。「給食が命綱である家庭も少なくない。国や行政は子どもの食の保障の重要さをもっと考えてほしい」と指摘します。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。