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2020年2月21日付
2月の最後の水曜日に、ピンク色のシャツや小物を身に着けて「いじめ反対!」の思いを表そう――。カナダの高校生の行動からスタートした「ピンクシャツデー」の取り組みが、日本でも広がり始めています。最終水曜日の26日を前に、今年初めて学校でやってみようと準備する高校生や、いじめの問題について考えてみる小学生もいます。(中山仁)
神奈川県横浜市内の商業施設で9日、ピンクシャツデーを前にしたイベントがありました。NPO法人「神奈川子ども未来ファンド」の呼びかけに神奈川県や横浜市、鉄道会社やデパートなどが賛同し、2年前から2月を「ピンクシャツデー月間」としています。
市立東高校サスティナブル研究部の生徒11人もステージに立ち、26日に初めて同校でピンクシャツデーを行う計画を発表しました。学校には制服があり、派手な色のカーディガンなどを着ることは校則で禁止されています。先生と話し合い、26日はピンク色の服や小物を身に着けてよいことになったといいます。
12日の夕方、小学生が放課後の時間を過ごす横浜中央YMCAのアフタースクールでは、1~4年生35人ほどが、リーダーの亀井麻里子さん(32歳)が読み聞かせる紙芝居を見つめました。ピンクシャツデーの始まりとなった2007年のカナダの高校での出来事をまとめたお話です。
ピンク色のポロシャツを着て登校した男の子がいじめられたのを知った上級生の男の子2人が、「あす、ピンク色のシャツを着て登校しよう」と友だちに呼びかけます。すると次の日、数百人の生徒がピンク色のシャツやリボン、リストバンドなどを身に着けて登校。いじめはやみました。
紙芝居の後、子どもたちは、言われたらうれしい「フワフワことば」と、言われるといやな「チクチクことば」を考えました。「自分が傷つくことばは、ほかの子も傷つけるという想像力を持ってくれたら」と亀井さん。26日まで3回、友だちとやさしく接することの大切さを学びます。
いじめを止めたカナダの高校生の話は、テレビや新聞で取り上げられて世界に広がり、いまでは75をこえる国や地域でピンクシャツデーの活動が行われています。
日本では、カナダで暮らした経験のある高梨京子さんが11年、仲間とともに「日本ピンクシャツデー」という団体を立ち上げ、ウェブサイトで活動方法などを紹介してきました。この1、2年、「地域や学校でやってみたい」という相談が増え、実際に活動を始めたグループや学校が、北海道、宮城、滋賀、広島など全国にあります。
高梨さんは「一人ではいじめ反対の声をあげられず傍観してしまう人も参加しやすい運動。いじめられ、だれにも相談できずに苦しむ子が、ピンク色のシャツを着た人たちを見て、『一人じゃない』と思えるように、活動の輪が広がり、根づいていけば」と話しています。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。