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2020年2月13日付
新型コロナウイルスの感染の広がりが心配されています。一方で、新型コロナウイルスに関連したいじめが起きています。差別が起こらないよう、文部科学省なども注意を呼びかけています。(近藤理恵)
新型肺炎に関連したいじめが報告されています。
千葉県鴨川市には、感染が確認された日本人が入院した病院があり、そこで働く人もいます。こうしたことから、鴨川市の教育委員会は3日、七つの小学校と三つの中学校の子どもたちに「コロナウイルスに関連して最近いやな思いをしたことはありますか」と質問しました。その結果、小学生4人、中学生1人が「コロナウイルスにかかっているとからかわれた」などと答えました。
千葉県教育委員会は「中国から帰国した児童生徒への適切な対応」とする通知を学校などに配りました。「みなさんの仲間を傷つけるような言葉や行動」への注意を呼びかけています。文部科学省も小中学校などに対して、感染症に関連した差別がないように、と呼びかけました。
ほかにも、感染をこわがるあまり、新型肺炎に対する行きすぎた反応が出ています。1月には、神奈川県箱根町の駄菓子店が「感染をさけるため」として、中国人がお店に入ることを禁止する中国語のはり紙を出し、これを批判する声があがりました。
いじめになやむ子どもたちのために情報を発信するNPO法人「ストップいじめ!ナビ」副代表理事の須永祐慈さんの話
どんなことでも、人が傷つく言葉は言ってはいけません。友だちと「ウイルスにかかっているだろう?」などと、おもしろ半分で話すこともあると思います。しかし、それが、差別的な言動に発展してしまうことが心配です。軽々しく言ったことが次第にうわさとなって広がり、それを信じてしまう人もいるからです。
もし新型肺炎のことが気になるのならば、正しい情報を自分で調べてみましょう。よく知り、冷静に判断してください。
保護者が気楽に話したことを子どもは真に受けることもあります。親が差別的な発言をすると、それをまねてしまうのです。大人たちは、自分の発言の影響力を改めて考えてほしいと思います。
ヨーロッパでは、新型肺炎のことで、アジア人に対する差別も起きているようです。人種など、ある一定の人たちを大きくくくりはじめると、それは差別に発展します。
厚生労働省によると、新型肺炎は2通りの感染が考えられます。「飛沫感染」は、感染者の飛沫(くしゃみやつば)といっしょにウイルスが出て、他の人がそれを口や鼻から吸いこんで感染すること。「接触感染」は、ウイルスがついたドアノブなどをさわり、その手で口や鼻をさわって、粘膜から感染することです。
感染の予防には、せっけんやアルコール消毒液などによる手洗いが有効です。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。