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2018年8月24日付
夏休みが明けるこの時期、いじめなどに悩んで「学校に行きたくない」と思う人はいませんか。もし、つらいと感じているのだったら、ひとりでかかえこまないでください。小学校の元校長で、いじめ問題に取り組む組織「ヒューマン ラブ エイド」(HLA)の仲野繁さんは「力になってくれる人が必ずいるから相談して」と話しています。(前田奈津子)
HLAは、いじめの相談に乗ったり、イベントを企画したりしています。仲野さんが今年春、いじめられた経験がある歌手の刀根麻理子さんと立ち上げました。
仲野さんは東京の公立小学校で、いじめ問題に取り組んできました。子どもたちに「いじめはなぜいけないか」について考えてもらいました。ふだんから子どもたち自身が見回りをして、気になることがあったら先生に知らせてもらいました。子どもが中心になって行動することで、「いじめはだめ!」という意識が広まったそうです。
今いじめで苦しんでいる子どもたちには「あなたの味方になってくれる人が必ずいるから、だれかに気持ちを伝えてほしい」と話します。
「だれもが大切にされる権利がある。いじめはその権利をおかしている」と仲野さん。HLAでは、相談の内容によって、弁護士や臨床心理士と協力して解決の道を探るそうです。
刀根さんは小学生時代、学校でいじめを受けて傷ついたといいます。友だちと約束した場所に行ってもだれもいない、無視される、なぐられるなどの暴力をふるわれたこともありました。中学生になっても悪口をいわれました。「死にたい」と思ったこともあったそうです。親には心配をかけたくなくて、いじめのことをいうことができませんでした。
刀根さんは、つらいときは空想で気持ちをまぎらわせたといいます。「バレリーナにあこがれていたのでおどる姿をイメージしました。すてきな自分にいつか会える。そのときのために準備をしようと考えていました」。その後、気の合う友だちができて前向きな気持ちになったそうです。
芸能活動を始めてからも「いじめをなくしたい」と考え、体験を話す活動などを続けてきました。仲野さんと出会い、いっしょに活動することになりました。「子どもたちにも未来があることを伝えたい」
HLAは31日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで、いじめなどの相談に乗る「出張かけ込み寺合同仮面相談会」を開く予定です。くわしくはウェブサイト(http://www.humanloveaid.com)を見てください。
ほかにも、相談に乗ってくれる場所があります。
子どもの人権110番 0120・007・110
(平日午前8時30分~午後5時15分)
インターネット人権相談窓口 http://www.jinken.go.jp/
キッズひまわりホットライン 03・3581・1885(毎週火、木、金〈祝日をのぞく〉の午後3~7時)
0120・99・7777(9月4日までは毎日午後2~11時)ウェブサイトhttp://www.childline.or.jp(インターネットでの相談方法が書いてあります)
記事の一部は朝日新聞社の提供です。