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2018年6月15日付
子どもだけでも行けて無料や数百円で食事ができる「子ども食堂」について、朝日小学生新聞と「こども食堂安心・安全向上委員会」は読者を対象にアンケートを行いました。約半数が子ども食堂のことを知っており、6割が行ってみたいと思っているという結果を受け、子ども食堂を地域の子どもたちに広めようとしている活動を取材しました。(畑山敦子)
同委員会によると、子ども食堂について小学生に聞いた調査は初めてです。4月25日の朝小紙面などで回答を呼びかけたところ、32都道府県の約320人から回答を得ました。
子ども食堂を知っているかという問いには、49%が「知っていた」と答え、「記事を読むまで知らなかった」は50%でした。特に5、6年で知る割合が高くなりました。
子ども食堂に行ったことがあるかどうかでは、「いいえ」が93%でもっとも多く、「ある」と答えた人は6%で、そのうち「1回」は3%、「2回」が0.6%、「3回」が1.5%でした。行ったことはなくともある程度は知っていることがわかりました。
子ども食堂を知っている人のうち、知ったきっかけは「お母さん、お父さんなど親、保護者から」が19%でしたが、「その他」が43%と最も多く、自由回答で「テレビ・新聞」など報道で知ったという人が目立ちました。「学校の先生」や「友だち」が4%でした。子ども食堂に行ったことがあると答えた人の中で、学校がきっかけで知った人は0%でした。
近くに子ども食堂があったら行ってみたいかについては「行ってみたい」が65%、「いいえ」が13%、「どちらでもない」が21%と行きたい人が多数でした。
子ども食堂に行ってみたい人が食堂であったらいいなと思うもの(複数回答)は「クリスマス会などのイベント」が63%で最も多く、小1~4年生では「いっしょにあそんでくれる人」も58%いました。
ふだん、誰とごはんを食べているか聞いたところ、「お母さんまたはお父さんと、きょうだいと食べている」(週7日の人が51%)と家族で食べる人が多い結果でした。週に1日以上「一人で食べている」を選んだ人は約5%いました。子ども食堂に行きたい割合でみると、一人でごはんを食べることがない人(66%)の方が一人でごはんを食べることがある人(56%)より高くなりました。
こども食堂安心・安全向上委員会代表の湯浅誠さんの話
6割の人が行ってみたいと思っていることはとてもうれしいです。一方、行ったことがあるのはその約10分の1。行きたい人はぜひ一度行ってほしいです。学校や家族以外の大人と話すことで、将来なりたいと思う人に出会えるかもしれません。
先生も子ども食堂に行ってみてはどうでしょうか。経済的にきびしいだけでなく、居場所がほしいなどさまざまな理由で行く子がいます。協力しあってほしいです。
神奈川県横浜市のコミュニティー施設を借りて毎月1回、開かれる子ども食堂「たまプラごはん」。3年前、当時近くの市立新石川小学校の先生だった宮田貴子さん(56歳)が、地域の民生委員の青木利江さん(63歳)たちと始めました。「保護者が仕事でいそがしいなど、家で一人で食べている子のことが気になっていました。教師としてできることは限られるけれど、個人としてなら、と思い立ちました」
子ども食堂は学校関係者などを通じて地域の小中学校に伝わり、毎回、約30人の子どもや親が訪れます。学校の先生も顔を出し、交流の場になっているそうです。友だちとよく来る6年生の母、和美さん(53歳)は「ふだん家でごはんを食べているので行っていいのかと最初は思いましたが、学校とはちがう居場所ができてよかったです」。
東京都荒川区には、区社会福祉協議会や子ども食堂の運営団体などでつくる「あらかわ子ども応援ネットワーク」があります。区内の子ども食堂を紹介するパンフレットをつくって学校の先生などに配り、子どもたちにも広めようとしています。食材やお金の寄付なども分け合っています。同区で「東日暮里子ども食堂」を開く石井教夫さん(68歳)は「子どもから大人まで来られる地域の居場所にしたいです」と話します。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。