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2017年10月12日付
2017年のノーベル平和賞に決まった、核兵器廃絶をめざす国際NGO(非政府組織)の「ICAN」。その国際運営委員の川崎哲さん(48歳)に、朝小リポーターがインタビューし、核兵器廃絶への思いを聞きました。(近藤理恵、八木みどり)
川崎さんは、世界各国で広島・長崎の被爆者の証言を伝える活動をしている日本のNGO「ピースボート」の共同代表も務めています。ICANには2010年から加わっています。受賞決定を受け、訪問先のアイスランドから緊急帰国しました。
ICANはこれまで、被爆者の証言を伝えるとともに、初めて核兵器を法的に禁止する核兵器禁止条約の必要性を、国連や各国政府にうったえてきました。その活動が今年7月の条約成立につながりました。川崎さんは「核兵器禁止条約の成立は、これまでの活動で最も喜ばしいことだった」とふり返ります。
自由研究で毎年、平和について調べている朝小リポーターは、あらためて核兵器に対する考えをたずねました。川崎さんは「無差別に人を殺す兵器です。そして、使われればその影響はずっと続く。核兵器を持ったり使ったりする正当な理由などないのです」。
一方で、世界には今も約1万5千発もの核兵器があります。核兵器がなくならない現状に対して川崎さんは「持っている国が考えを変えないから」と指摘します。
「核兵器が世の中のためになるという考えにしばられてしまっている。日本も、アメリカの『核の傘』に入っています。例えば『アメリカの核によって守られているから、核兵器禁止条約に賛成できない』という報道があれば、『そうなんだ』と思ってしまう。しかし、本当に核に守られているのか、核が必要なのか真剣に考えていないように思います」
川崎さんは「核兵器の問題をみんなで話し合う機会が増えてほしい」と言います。「まずは広島、長崎のこと学んでください。そのうえでどうすれば核兵器をなくせるのか、一人一人が考え、周りの人と話してほしいです」
被爆者の高齢化も進み、直接証言を聞くこともだんだん難しくなってきています。「きみたちは、被爆者の証言を聞ける『最後の世代』でもある。限られた時間の中で、積極的に被爆者との出会いを見つけてください」
朝小リポーターは、自身の被爆した体験をピースボートなどで語ってきた服部道子さん(88歳)からも話を聞きました。服部さんは、16歳の時に広島で被爆しました。
「あの日、『苦しい苦しい』と言って死んでいった人たちに『世界は核兵器廃絶に向かっています』と報告ができました。でも、いまだ核を持っている国もあります。これからがまだ大変。世界から核が消えるまで私もがんばりたい」
核兵器を持つ国が、その戦力で友好国の安全をはかること。日本は1960年に、核兵器を持つアメリカと新安全保障条約を結び、核の傘に入りました。
川崎さんと服部さんの話を聞いて、あらためて核兵器は悲しみを生むだけで、絶対にあってはいけないものだと思いました。核兵器をなくし、争いもなくすことが、ICANや被爆者の方々、そして世界中の人の望みだと思います。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。