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2017年1月28日付
ポン アメリカ(米国)の新大統領、ドナルド・トランプさん(70歳)は、僕たちの間でも有名人だよ。
杉崎記者 「米国をもう一度偉大にする」というスローガンを掲げ、20日に正式に大統領に就任した。
ジャン 過激な発言を連発する「トランプ節」は大統領になっても続いているみたいね。
杉崎記者 ツイッターでの批判もやむことがない。早くも、貿易などの分野で、米国の利益を最優先する政策を開始した。
ケン 就任演説で「米国第一」を宣言したね。
――宣言した通り、トランプさんは環太平洋経済連携協定(TPP)からぬけるといった政策を着々と進めている。自己中心的とも批判されているほか、米国の影響力は大きいため、世界を混乱させる可能性もある。
それでも、トランプさんがこれまでの政府の方針を大きく変えるのは、外国との取り決めや、関税をなくしたりする自由貿易のせいで、工場が米国からメキシコなどに移転したり、米国民の仕事がうばわれたりしたと考えるから。また、自動車など製造業の勢いがなくなった米国中西部から北東部にかけての「ラストベルト」(さびついた地帯)の白人労働者の不満を解消するねらいもある。
ジャン こうした不満は、トランプさんの大統領選挙勝利の原動力でもあったよね。
――一対一の貿易交渉に持ちこむことで、米国に有利な条件を引き出して、国民からの支持を広げたいとの考えもありそうだ。米調査会社によると、就任後の支持率は45%にとどまり、不支持率も45%と過去最高の水準だ。米国内は真っ二つに分かれている。
就任式当日を中心に全米各地でトランプさんを「人種差別者だ」などと抗議するデモがあり、一部のデモ隊が車に火をつけたり店のガラスを割ったりして200人以上が逮捕された。また民主党議員ら約60人が就任式出席を拒否。国民の代表である連邦議会でも対立のみぞが深まっている。
ポン 心配だね。
――政治家経験者だけでなく、ハンバーガーチェーン経営者や元軍人など多彩なメンバーをかかえるトランプ政権。その多彩さと裏腹に、気に入らない企業やメディアを認めずに、名指しで非難する。
ちょうどいい標的となったのが、自動車メーカーやマスメディア。トランプさんは、メキシコに工場建設計画があった米フォード・モーターをツイッターで「高い国境税をかける」などとおどし、計画見直しを実現した。また、批判的な報道をしてきた米CNNには、記者会見で「うそのニュースだ」として、質問の機会すら与えなかった。何を言い出すかわからないトランプさんの行動は予測できず、世界中がトランプさんのツイートや発言を気にしている。
ケン 日本も影響がありそう?
――メキシコに工場を建てる計画があるトヨタは、「とんでもない」と名指しで圧力をかけられた。トランプさんは、日本の自動車輸出にも不満をもらすほか、在日米軍の駐留費用のさらなる負担を求めるなど、日米関係をゆるがしかねない。日本政府も「様子をみてつきあうしかない」と考えているという。
就任演説
「米国第一」を強調し、「貿易、税金、移民、外交の全決定は米国民の利益に」と宣言
大統領令
医療保険制度改革(オバマケア)の見直しを指示
米国をTPP交渉から永久に離脱させる
将来の貿易協定は一対一で交渉する
米国の労働者の利益になる、公平な貿易協定をつくる
主要政策
TPPから離脱。北米自由貿易協定(NAFTA)も再交渉
気候行動計画のような有害な政策撤廃
年4%の経済成長と10年間で2500万人の雇用創出をめざす
過激派組織「イスラム国」(IS)打倒を最優先し、積極的に軍事行動も
最新鋭のミサイル防衛システムを開発
国境に不法移民の流入を防ぐ壁を築く。暴力犯罪歴のある不法移民を国外退去
記事の一部は朝日新聞社の提供です。