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2020年2月24日付
学校で起きた問題を先生たちが解決できるように助ける、「スクールロイヤー」と呼ばれる弁護士たちが活躍しています。いじめなどの問題が起きたとき、「学校の解決の仕方が悪い」と言われることがあり、法律の専門家である弁護士のアドバイスできちんと解決することがねらいです。
ポン スクールロイヤーってどんな人。
米田優人記者 とても難しい「司法試験」に合格した弁護士の中でも、いじめや事故などが学校で起きたときに、問題を解決できるよう助ける弁護士のことをそう呼んでいるんだ。法律で決まった言い方ではないけれど、弁護士や学校の先生たちの間で使われているよ。
ケン どんな仕事をするの。
――学校がかかえる問題について、校長先生たちからたのまれた場合に、法律事務所などで相談に乗っているよ。そのほかにも、子どもたちにいじめについて授業をしたり、先生たちに問題を解決する方法を教えたりしているんだ。
ジャン 学校にはどんないいことがあるの。
――「ちゃんと解決できるか不安なときに、弁護士のアドバイスを受けて、自信を持って対応できるようになった」と言われている。実際に先生たちが「いじめかどうか判断できない」と迷っていたときに、スクールロイヤーの提案でクラス全員にアンケートをしたら、いじめだとわかって解決できたケースもあるそうだよ。
ポン 各地で活動しているの。
――全国で最初に始めたのは大阪府だ。2013年度から、大阪弁護士会の中から選ばれたスクールロイヤーに助言などを任せる仕組みを始めたんだ。日本弁護士連合会によると、去年6月時点で大阪府や三重県、滋賀県大津市など少なくとも10府県17市がこうした仕組みをとり入れているよ。文部科学省は新年度から、スクールロイヤーをすべての都道府県の教育委員会などに置くことにしているんだ。
ジャン なぜ、スクールロイヤーが教育現場で求められているの。
――いじめや児童虐待などの問題に対して、教育委員会や学校が「対応が悪かった」と言われるケースが後を絶たないからだよ。たとえば、千葉県野田市で去年1月に小学4年(当時)の女の子が虐待で死亡したとされる事件では、女の子がアンケートで「父親から暴力を受けている」と学校にうったえていた。しかし、そのことが書かれたコピーの文書を、市の教育委員会が父親にわたしていて、強い批判を受けた。
ケン スクールロイヤーが気を付けるべきことは。
――先生たちの相談に乗って、法律の知識などを伝えることは、とても大事だ。でも、そのときに学校や先生の立場だけを優先的に考えてはいけないね。子どもと保護者、学校の間に立って問題解決を手助けするんだという意識を、スクールロイヤーがきちんと持つことが大切だと思うよ。
2011年に滋賀県大津市で、市立中学校2年の男子生徒がいじめで自殺した問題を受けて、いじめ防止対策推進法が13年9月に施行されました。いじめで子どもの命や心身が大きな被害を受けたり、子どもが長い間不登校になったりした疑いがあるケースを「重大事態」と定めています。重大事態に認定されたら、教育委員会や学校がすみやかに調査する組織をつくるよう義務づけています。
このほかに、被害者の子どもや保護者にきちんと情報提供することなども定めています。
■解説
米田優人記者
朝日新聞大阪社会部
ピンクは大事な言葉だよ
記事の一部は朝日新聞社の提供です。