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2019年11月30日付
アメリカ(米国)のリーダーを決める大統領選挙まで1年を切りました。トランプ大統領(73歳)が再び勝って、さらに4年間、大統領を続けるのかを決める一大決戦です。「打倒トランプ」をめざす民主党から、誰が候補者になって戦うのか。その候補者選びが本格化しています。
ジャン 米国の大統領選は、日本の首相を決める選挙とは違うしくみなの?
土佐茂生記者 日本は、首相を国民が直接選ぶのではなく、国会議員の選挙で選ぶしくみになっているよ。議院内閣制と言うんだ。一方で米国は、政府のトップである大統領を選挙で選ぶ大統領制だよ。
大統領でいられるのは1期4年で、最大2期8年まで。トランプさんはいま1期目なので、2期目をめざして大統領選にいどんでいるよ。
ポン その大統領選がもうすぐあるの?
――いや、あるのは来年の11月3日なんだ。大統領選は4年に1回、夏のオリンピックと同じ年にあり、投票日は法律で「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と決まっているんだ。
ケン まだまだ先だ。
――でも、もう選挙運動は本格化しているんだ。米国には共和党と民主党という二つの政党があり、それぞれが長い時間をかけて候補者を決める。日本の都道府県のような州が50もあり、それぞれが話し合いや選挙を行い、どの候補者がよいのかを決めていくんだ。
その作業が来年2月に始まり、約4か月間もかかる見こみだよ。
二つの政党は夏に大きな大会を開き、正式に党の大統領候補を決める。各党の候補者が決まれば、いよいよ11月の大統領選に向けた一騎打ちが始まるよ。
ジャン 誰が候補者になりそうなの?
――共和党は、現職のトランプ大統領で間違いないはず。景気も良いので、党の中で高い評価を得ているよ。
対する民主党はこれまで、25人以上もの人が立候補しているよ。すでに何人かはあきらめて脱落したけれど、今なお18人が争い、混戦が続いているんだ。
ポン 誰が勝ちそう?
――オバマ前大統領のときに副大統領だったジョー・バイデンさん(77歳)は、米国では誰もが知っているので人気があるよ。
これに続き、大金持ちや大企業に税金をもっと払わせて、みんなが病院や大学に行けるしくみを作ると訴えるエリザベス・ウォーレン上院議員(70歳)と、バーニー・サンダース上院議員(78歳)が追いかけているんだ。
でも、3人とも70歳以上。民主党支持者の中には、もっと若い候補者がよいという声が根強くあるよ。
ケン 米国の人は何をもとに投票するの?
――トランプさんは「米国第一」主義をかかげている。メキシコなどから法律を破って入った不法移民や中国が仕事をうばっているとして、「国境の壁」を造るなどの政策を打ち出しているよ。自分を支持してくれる白人労働者を助けることを重視しているんだ。
これに対し、民主党は「差別だ」と反対している。トランプさんのやり方をよいと思うかどうかが問われているよ。
共和党は米国の中西部や南部など、地方に住む保守的な白人に人気があります。税金を安くし、政府の役割は小さい方がよいという伝統的な考え方を持っています。党の色は赤で、ゾウがシンボルです。
民主党は米国の両海岸の都市部で人気があります。政府は弱者を助ける役割があると考えています。若者や女性、黒人やヒスパニック系など多様な人々が支持しています。党の色は青で、ロバがシンボルです。
来年の大統領選の行方は、民主党が強い都市部と、共和党が強い地方の間にある「郊外」がカギだといわれています。
■解説
土佐茂生記者
朝日新聞
アメリカ総局
ピンクは大事な言葉だよ
記事の一部は朝日新聞社の提供です。