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2018年2月17日付
ケン この前、賞味期限が近づいた災害用の保存食を学校からもらって帰ったよ。
矢吹記者 災害に備えて保管している「備蓄食料」のことだね。都道府県や政令指定都市が保管している備蓄食料が急増して、東日本大震災から本年度までの6年間でほぼ2倍になった。
ポン どうして?
矢吹記者 東日本大震災などの影響で、被害の想定を幅広く見直したためだよ。賞味期限が近づいた食料が捨てられる問題も起きている。
ケン 備蓄食料にはどんなものがあるの?
――「長持ちですぐに食べられる」のが特徴だ。水を入れるだけで食べられる「アルファ化米」や缶詰のパン、乾パンなどがある。
ジャン 備蓄の量はどれくらい増えたの?
――47都道府県と、市の中でも人口が多い20政令指定都市に何食分を保管しているか、去年12月から今年1月にかけて取材し、東日本大震災後の2011年度から17年度までの変化を調べた。
都道府県の合計は、11年度は678万6千食で、17年度には1.8倍の1249万7千食に増えていた。指定市では、766万4千食から1221万食と1.6倍に増えた。
ポン ずいぶん増えたね。
――大災害の反省から食料の量を見直したところが多いからだ。
11年度に186万食を持っていた東京都は東日本大震災をふまえて、2日分だった食料の量を3日分に増やすなどして、18年度には3.6倍の666万食まで増やす予定だ。
福岡市は16年の熊本地震で方針を見直し、15年度の4万5千食から17年度は7.4倍の33万5千食に増やした。
ケン 増えると安心な気がするけど。
――問題になるのが、賞味期限が近づいた食料をどうするかだ。
備蓄に多いアルファ化米の賞味期限は約5年間。防災訓練で配ったり寄付したりする場合が多いけれど、16年度には計44万9千食が捨てられた。捨てた量は、東京都(20万食)、大阪市(7万7千食)、滋賀県(7万1千食)の順に多い。
ジャン なにかいい方法はないの?
――捨てずに活用する方法で増えているのが、生活が苦しい人に食料を渡す「フードバンク」への寄付だ。15都府県と11指定市がフードバンクと提携している。
大阪府は去年12月、訓練で使い切れない約1万食を初めてフードバンクに寄付した。「子ども食堂」などの施設に贈るほか、電気や水道が止まった人に渡せるように生活相談の窓口にも配るそうだ。
ケン いい方法だね。
――ただ、数十人分入りの米や2リットルの水は大きすぎて配りにくいなどの課題もある。静岡市の「フードバンクふじのくに」の担当者は「処分に困ったものを押しつけられるのでは困る」という。フードバンクで国内最大の「セカンドハーベスト・ジャパン」(東京都)の田中入馬マネージャーは「食料を配る仕組みを国ぐるみで考えてほしい」と話している。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。