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2017年12月30日付
ジャン 2018年の政治はどんなことに注目しているの?
岡村記者 国政選挙が予定されておらず、憲法改正議論の行方に注目が集まる年になりそうだ。
ケン 安倍晋三首相も総理になって長いけど。
岡村記者 来年9月に予定されている自民党総裁選挙では安倍さんが優位とみられている。「超長期政権」を手にし、憲法改正に向けた日程を注意深く考えていくことになる。
ジャン 総裁選はどんな仕組みで、だれが立候補しそうなの?
――自民党総裁選は、国会議員票と自民党員がもつ地方票の合計得票数で競う。3選をねらう安倍さんのほかに石破茂元幹事長、野田聖子総務大臣が出馬の意欲を示しているが、安倍さんの優位はゆるぎそうにない。党内では二階俊博幹事長や麻生太郎副総理、安倍さんを出している派閥(同じ考えの人たちでつくる集団)の細田派が首相を支援するとみられ、国会議員票で圧倒的に優位に立つためだ。
ポン 安倍さんが首相でいる期間はどれくらい長いの?
――3選すれば、2019年11月には首相の通算在職日数歴代1位だった桂太郎元首相の2886日をぬく。21年9月までの総裁任期をまっとうすれば、憲政史上例のない3500日超という超長期政権も視野に入る。
ケン すごいね。やりたいことができそうだけど。
――いよいよ本格化するのが憲法改正に向けた議論だ。
今年5月3日の憲法記念日に安倍さんは「2020年の新憲法施行」を打ち出した。改憲する項目について戦争放棄をうたった9条の1項、2項を残したまま自衛隊を明記する案などを提示。その後、「スケジュールありきではない」と軌道修正したが、憲法改正は悲願であり、ゆずる気はない。
ジャン 自民党の憲法改正案ってどんな内容?
――自民党は、再来年の1月から始まる通常国会で自民党案の提出を目指している。9条への自衛隊明記▽緊急事態条項(テロや大規模災害などの非常事態に対処するため、一時的に政府に強い権限をあたえる法的な規定)の新設▽教育の無償化(無料にすること)・充実強化▽参議院選の合区(となり合う都道府県を一つの選挙区にすること)解消――の4項目が挙がる。そのうち、最も合意が得られた項目で衆参両院の3分の2の賛同を得て、議長に議案を発議したい考えだ。
ただ発議しても、国民投票で過半数が得られなければ、内閣退陣はさけられそうにない。安倍さんは「退陣リスク」と向き合いながら、注意深く改憲日程を考えていくことになりそうだ。
ジャン 安倍さんの経済政策であるアベノミクスはどうなるのかな?
――アベノミクスを支えてきたのが、市場に大量のお金を流しこむなど異次元の金融緩和政策を担ってきた日本銀行の黒田東彦総裁。来年4月に任期が切れ、後任の人事が焦点になる。
安倍さんは「アベノミクスは道半ば」とくり返しているため、市場では黒田さんの再任が有力視されている。ただここ50年あまりで再任の例はない。今後の経済政策をうらなう指針ともなりかねないため、市場関係者は特に注目している。
ケン 北朝鮮のことも心配だね。
――核実験やミサイル発射をくり返す北朝鮮に対しては、国連安全保障理事会は今年9月、「これまでにない厳しい制裁」(菅義偉官房長官)を決議した。制裁が効いてきた時、北朝鮮がどういった行動に出るかが最大のポイントになりそうだ。
アメリカのトランプ大統領は「あらゆる選択肢がテーブルにある」と軍事的行動も辞さない構えを示している。北朝鮮が対話路線に転換せずに、さらなる挑発行動に出れば、いっそう緊迫した事態になりかねない。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。