中高生紙面サンプル2018
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02000400060008000100001200014000051015202530「いざなぎ」と今回、違いは「人口」 1950年5560657075808590950005101520いざなぎ65年11月70年7月(4年9カ月)〜バブル86年12月91年2月(4年3カ月)〜今回12年12月〜厚生労働省まとめ。2015年までは実績値。20年は推計値65歳以上0〜14歳15〜64歳高齢化率人口(%)(万人)いざなぎ景気は1965年11月70年7月の間の景気拡大だカラテレビクラ︵エアコン︶車という﹁3C﹂が個人消費を引張り平均成長率は10%を超えていた今の景気拡大は2017年9月に4年10カ月に達しいざなぎ景気を超えた有効求人倍率が初めて全都道府県で1倍を超えるなど雇用環境が良好なほか輸出企業を中心に過去最高益の企業が相次ぐなど企業業績は良いしかし賃金が十分には増えず個人消費が勢いを欠くのが特徴だ平均成長率も1%台半ばと低く好況を実感できない人も多いようだ背景にあると指摘されるのが少子高齢化といた人口構造の変化を伴う人口減少だいざなぎ景気の期間は人口が増えていたが今回の景気拡大期は約400万人減る見込みだ雇用情勢の改善は生産年齢人口︵1564歳︶の減少から生じた労働力不足の一つの側面とも言える企業側も国内市場の縮小を見込み設備投資や賃上げになかなか踏み込めないでいあべしんぞうる安倍晋三政権は企業業績の改善を所得の上昇につなげる﹁経済の好循環﹂を目指しているが十分には実現していないのが現状だ今年の日本経済は、好調な海外経済を受けて、緩やかな景気回復を続けた。2012年12月から始まった景気拡大は、高度経済成長期の「いざなぎ景気」(4年9カ月)を超え、戦後2番目の長さとなるのが確実だ。好況の中、18年の経済・財政の課題は何か。日本にとて最大の課題といえる少子高齢化に対応するため政権は目玉政策として﹁人づくり革命﹂を打ち出し今月2兆円の政策パケジをまとめた2019年10月に予定されている10%への消費税増税で得られる税収の増加分の一部を使て35歳児の幼児教育・保育を無料にすること︵無償化︶や低所得世帯を対象に大学などの高等教育の無償化を進めることが主な柱だ保育所に入れない待機児童をなくすため20年度末までに32万人分の保育所をつくることなども盛り込まれたこれらの政策の目的の一つはこれまでは高齢者向けが多かた国のお金の使い道を次の時代を担う働く世代や子どもたちにも広げることにある若い世代の負担を減らすことで消費拡大を後押しするとともに希望するだけの子どもを産めるような環境を整えて少子化に歯止めをかけたいという思惑もあるただ日本は1千兆円を超える多額の借金を抱える国だ国民の将来への不安を解消するためには今の好況を好機ととらえ財政健全化や老後も安心できる医療・介護制度の見直しを進める必要がありそうだプロ野球人気は好調で、今季の観客動員数は300万人を超えた阪神をはじめ、12球団合計で史上初めて2500万人を突破。広島、DeNA、楽天の3球団は球団史上最多を塗り替えた。そんな中、前年比2%増の167万3219人を動員した西武は、8月に本拠地で行った楽天との3連戦で、次のような記事を載せた印刷物を来場者に配布した。「日本の野球は、かつてない『危機=野球離れ』に直面しています」根拠としたのは次のようなデータだ。中学の軟式野球部員の数は2010年と比べて3割減(日本中学校体育連盟調べ)、10代に過去1年間によく行った種目を尋ねた15年ささかわの調査(笹川スポーツ財団調べ)では、サッカーだけでなくバスケットボールにも抜かれた。「このままでは野球は30年後にマイナースポーツになる」と訴える元選手も出始めているという。もっとも球場へ足を運ぶ人が増えたことで、球界全体の経営面は順調。そのため、危機感はなかなか横に広がらない。そこで西武はホームタウンの埼玉県での振興活動に力を入れ始めた。一つは公園でキャッチボールをできるようにする環境作り。野球をしたくても都市部では、ボール遊びを禁止する公園が多い現状がある。そこで、埼玉県内にある12の公園でボール遊びができる環境を整備し、貸し出し用として、柔らかくてけがをしにくいボールを寄贈した。さらに主催試合の会場で「野球振興カード」の販売も行った。西武の選手がデザインされ、通常1枚300円。収益は親子野球体験教室あなどの活動費に充てるという。元投手で昨シーズン現役を引退みやたしたライオンズアカデミーの宮田かずき和希コーチ(29)は「野球に興味を持ってもらえるよう、良いところをどんどんほめながら教えようとこころがけている」と話す。2018年経済・財政の課題は?■解説者■賃金が十分に増えず実感できない﹁いざなぎ超え﹂の好況(第三種郵便物認可)政府が目指す﹁好循環﹂を実現できるか西武の菊池雄星投手︵左︶秋山翔吾選手︵右︶がデザインされた野球振興カド■消費拡大や少子化歯止めを狙い﹁人づくり革命﹂打ち出すボール遊びできる公園整備カード収益で親子体験教室子どもの野球離れに危機感、プロ野球・西武が振興活動医療・介護制度などの見直しも必要キャッチボールが楽しめる環境を整備した埼玉県の狭山稲荷山公園どれも!SEIBULions教育無償化と待機児童解消に、母親たちの関心は強い=10月、静岡県島田市の子育て支援サロンどちらも朝日新聞社2017年(平成29年)12月24日■解説者3朝日新聞東京本社経済部記者まつうらゆうこ松浦祐子ニュース朝日中高生新聞記者まつむらともゆき松村大行02000400060008000100001200014000051015202530「いざなぎ」と今回、違いは「人口」 1950年5560657075808590950005101520いざなぎ65年11月70年7月(4年9カ月)〜バブル86年12月91年2月(4年3カ月)〜今回12年12月〜厚生労働省まとめ。2015年までは実績値。20年は推計値65歳以上0〜14歳15〜64歳高齢化率人口(%)(万人)いざなぎ景気は1965年11月70年7月の間の景気拡大だカラテレビクラ︵エアコン︶車という﹁3C﹂が個人消費を引張り平均成長率は10%を超えていた今の景気拡大は2017年9月に4年10カ月に達しいざなぎ景気を超えた有効求人倍率が初めて全都道府県で1倍を超えるなど雇用環境が良好なほか輸出企業を中心に過去最高益の企業が相次ぐなど企業業績は良いしかし賃金が十分には増えず個人消費が勢いを欠くのが特徴だ平均成長率も1%台半ばと低く好況を実感できない人も多いようだ背景にあると指摘されるのが少子高齢化といた人口構造の変化を伴う人口減少だいざなぎ景気の期間は人口が増えていたが今回の景気拡大期は約400万人減る見込みだ雇用情勢の改善は生産年齢人口︵1564歳︶の減少から生じた労働力不足の一つの側面とも言える企業側も国内市場の縮小を見込み設備投資や賃上げになかなか踏み込めないでいる安倍晋三政権は企業業績の改善を所得の上昇につなげる﹁経済の好循環﹂を目指しているが十分には実現していないのが現状だ今年の日本経済は、好調な海外経済を受けて、緩やかな景気回復を続けた。2012年12月から始まった景気拡大は、高度経済成長期の「いざなぎ景気」(4年9カ月)を超え、戦後2番目の長さとなるのが確実だ。好況の中、18年の経済・財政の課題は何か。日本にとて最大の課題といえる少子高齢化に対応するため政権は目玉政策として﹁人づくり革命﹂を打ち出し今月2兆円の政策パケジをまとめた2019年10月に予定されている10%への消費税増税で得られる税収の増加分の一部を使て35歳児の幼児教育・保育を無料にすること︵無償化︶や低所得世帯を対象に大学などの高等教育の無償化を進めることが主な柱だ保育所に入れない待機児童をなくすため20年度末までに32万人分の保育所をつくることなども盛り込まれたこれらの政策の目的の一つはこれまでは高齢者向けが多かた国のお金の使い道を次の時代を担う働く世代や子どもたちにも広げることにある若い世代の負担を減らすことで消費拡大を後押しするとともに希望するだけの子どもを産めるような環境を整えて少子化に歯止めをかけたいという思惑もあるただ日本は1千兆円を超える多額の借金を抱える国だ国民の将来への不安を解消するためには今の好況を好機ととらえ財政健全化や老後も安心できる医療・介護制度の見直しを進める必要がありそうだプロ野球人気は好調で、今季の観客動員数は300万人を超えた阪神をはじめ、12球団合計で史上初めて2500万人を突破。広島、DeNA、楽天の3球団は球団史上最多を塗り替えた。そんな中、前年比2%増の167万3219人を動員した西武は、8月に本拠地で行った楽天との3連戦で、次のような記事を載せた印刷物を来場者に配布した。「日本の野球は、かつてない『危機=野球離れ』に直面しています」根拠としたのは次のようなデータだ。中学の軟式野球部員の数は2010年と比べて3割減(日本中学校体育連盟調べ)、10代に過去1年間によく行った種目を尋ねた15年の調査(笹川スポーツ財団調べ)では、サッカーだけでなくバスケットボールにも抜かれた。「このままでは野球は30年後にマイナースポーツになる」と訴える元選手も出始めているという。もっとも球場へ足を運ぶ人が増えたことで、球界全体の経営面は順調。そのため、危機感はなかなか横に広がらない。そこで西武はホームタウンの埼玉県での振興活動に力を入れ始めた。一つは公園でキャッチボールをできるようにする環境作り。野球をしたくても都市部では、ボール遊びを禁止する公園が多い現状がある。そこで、埼玉県内にある12の公園でボール遊びができる環境を整備し、貸し出し用として、柔らかくてけがをしにくいボールを寄贈した。さらに主催試合の会場で「野球振興カード」の販売も行った。西武の選手がデザインされ、通常1枚300円。収益は親子野球体験教室などの活動費に充てるという。元投手で昨シーズン現役を引退したライオンズアカデミーの宮田和希コーチ(29)は「野球に興味を持ってもらえるよう、良いところをどんどんほめながら教えようとこころがけている」と話す。2018年経済・財政の課題は?■解説者■賃金が十分に増えず実感できない﹁いざなぎ超え﹂の好況(第三種郵便物認可)政府が目指す﹁好循環﹂を実現できるか西武の菊池雄星投手︵左︶秋山翔吾選手︵右︶がデザインされた野球振興カド■消費拡大や少子化歯止めを狙い﹁人づくり革命﹂打ち出すボール遊びできる公園整備カード収益で親子体験教室子どもの野球離れに危機感、プロ野球・西武が振興活動医療・介護制度などの見直しも必要キャッチボールが楽しめる環境を整備した埼玉県の狭山稲荷山公園どれも!SEIBULions教育無償化と待機児童解消に、母親たちの関心は強い=10月、静岡県島田市の子育て支援サロンどちらも朝日新聞社2017年(平成29年)12月24日■解説者3朝日新聞東京本社経済部記者松浦祐子ニュース朝日中高生新聞記者松村大行

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