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ニュースでジャンケンポン

  

税金の仕組みをどう変えるの?

 

 

消費増税時の負担公平化目指す


大日向寛文記者 朝日新聞経済部

 

ジャン 税制改正大綱」ってニュースで聞いたけど、難しい名前だわ。いったい何なの?


大日向記者 国や地方の税金の仕組みをどう変えるかを、与党である自民党と公明党が政府に指示するものなんだ。政府は大綱にそって国会に改正法案を提出する。大綱は一年に一回つくられ、今回の税制改正は、去年八月に決めた消費税の増税について先送りした宿題がテーマだった。

 

ケン 宿題って何?

 

 

 

 

 

 ――消費税は2014年4月に今の5%が8%に、15年10月にさらに10%に上がる。食べ物など、暮らしていくのに欠かせない必需品にもかかる。収入が少ない人ほど必需品へ使うお金の割合が高いから、消費税はお金がない人ほど負担が重いという特徴がある。それをどうするかが、宿題になっている。


ポン 食べ物とかは、消費税の税率を低くすることはできないの?


――軽減税率のことだね。食料品などの必需品の税率を低くすることだよ。与党は今回の大綱で、軽減税率を15年10月に導入することを「目指す」ことにした。


ケン 目指す?


――これを本当にやるのはとても大変なんだ。まず、どの商品を低い税率にするかを決めないといけない。例えば、食べ物に軽減税率を入れるなら、収入が少ない人はなかなか買えない高級な牛肉を軽減税率にするのか、しないのかを決めないといけない。
お店も混乱する。税率が2つになると消費税を計算する手間が大変になるから、規模が小さいお店は大反対している。
それに軽減税率を入れると、5%の消費増税で政府が見こんでいた1年で13兆5000億円の税収が、大きく減ってしまう。与党は「目指す」と言っているけど、実際にはなかなかできそうにない。


ケン 食料品以外のものは? 高いものほど払う税金が増えて買いにくくなるよね。


――そのとおり。だから、住宅と車は特別に、買うときに払うお金が増えるのをおさえる対策をとることにした。
家を買うために借金をすると、借金の1%を10年間、所得税(給料などにかかる税金)などから差し引く「住宅ローン減税」という仕組みがある。年末に終わる予定だったが4年間延長する。
車は、買うときに払う自動車取得税を14年4月に安くして、消費税率が10%に上がる15年10月には廃止する。買うときや車の点検のときに払う自動車重量税も14年4月に安くするよ。
これらの対策は、増税でお金が使われなくするのを防ぐことが目的だ。


ジャン これだけだと、食べ物とかが消費増税で高くなって困る人を助けられないわ。


――そうだね。このままでは不公平になるから、15年1月から、豊かな人に払ってもらう税金も増やすんだ。
豊かな人の暮らしに大きな影響を与えそうなのは、お父さんやお母さんが亡くなって、持っていた資産をもらうときに払う「相続税」がかかる人を増やすということ。今は、相続税がかかる人は約4%しかいない。政府は、今回改正すると、約6%に上がると見こんでいる。
相続税と所得税を計算するときに使う一番高い税率(最高税率)も、ともに5%引き上げる。ただ、この新しい税率は、相続税は税金がかかる遺産額が6億円を超える人に、所得税は税金がかかる所得が4000万円を超える人にしかかからない。よほどのお金持ちにしかかからないから、普通の人の暮らしには関係ないね。


過去の記事↓

◆スポーツ界の体罰問題って?(2013年2月16日)

◆税視聴率で番組人気をはかれるの?(2013年2月9日)

◆税金の仕組みをどう変えるの?(2013年2月1日)

2013年2月1日付

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