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鳥の保護について考えよう

清水 弟 記者(朝日新聞科学医療部)
ジャン

 野原でヒバリが鳴いてたわ。

ケン

 空に浮いているみたいだった。

清水記者

 ヘリコプターのようにホバリング(空中停止)して、「なわばり宣言」してたんだね。ひなを産み育てる繁殖期をむかえていそがしくなったのさ。10日から愛鳥週間が始まるね。

ポン

 愛鳥週間って?

清水記者

 鳥たちの目で地球環境を見直そうという期間だよ。きょうの鳥たちの生活は、明日の人間の問題になるかもしれない。

 野生へ復帰させたいね トキやコウノトリ

最後の日本産トキとなった「キン」

  ジャン 鳥といえば、佐渡島(新潟県)のトキは絶滅したの?

 ――いや。最後までのこった日本産のトキ「キン」は去年10月に死んだけれど、中国から贈られたトキのペアはふえて39羽いるし、ことしもひなが5羽生まれているよ。

 ケン 中国のトキと日本のトキは、同じ種類なの?

 ――学者が遺伝子(DNA)を調べたら、99.9パーセント同じだった。中国でもトキはふえて、野生と飼育されているのと合わせて560羽をこしている。

 ケン じゃあ、いつかまたトキが佐渡の空をとぶのかな。

 ――環境省も佐渡の人たちも、2015年に野生のトキ60羽を復活させようと準備しているよ。

 ポン あと11年だよ、実現できる?

兵庫県豊岡市で飼育されているコウノトリのおりの上に巣をつくった野生のコウノトリ

 ――きびしいかもね。エサのドジョウや小魚がすむ小川や、農薬を使わない田んぼが必要だし、巣をつくる森もいる。トキが23羽のこっていた50年前の環境を復活できるかどうか。

 ケン 無理じゃないの。

 ――でも、夢は大事さ。コウノトリだって野生は絶滅したけれど、兵庫県豊岡市で飼っているコウノトリは106羽をこえ、去年8月には野生のコウノトリが1羽すみついた。来年は大空を自由にとばす試験も始まる。野生への復帰はぐんと近づくよ。

 ポン 実現すればすばらしいね。

 ――そう、トキやコウノトリがくらす豊かな自然環境、鳥や魚、昆虫など「生き物たちのにぎわい」がたもたれたらすばらしい。きれいな水や空気はぼくたち人間にとっても大事だからね。

 ジャン ほかの鳥たちにも絶滅の心配があるのかな。

 ――それが問題だ。環境省が、絶滅のおそれがあるとみている野生生物の「レッドリスト」にはシマフクロウやノグチゲラなど95種類の鳥がのっている。

 ジャン それは多いの、少ないの。

野生化したネコやマングースに追われ、生息数がへっている沖縄のヤンバルクイナ

 ――日本にいる鳥は全部で542種類といわれているから、その2割近くに絶滅の心配があるわけだね。トキやコウノトリは中国などにもいるけど、世界で日本にしかいない鳥、たとえば沖縄のヤンバルクイナなどの保護はいますぐにやらなくてはいけない課題だね。

 ケン そんなに数がへっているの。

 ――ヤンバルクイナはとべない鳥で、沖縄本島北部の山原地区で1981年に発見され、天然記念物に指定された。毒ヘビのハブ退治のために外国から持ちこまれた外来種のマングースや野生化したすてネコにおそわれ1000羽以下にへったという報告もある。

 ポン 1000羽ならけっこういるんじゃないの。

 ――いや、最悪の場合は数年で絶滅するかもしれない。沖縄では、石垣や金あみで森をかこってヤンバルクイナを守る「聖域(サンクチュアリ)」をつくり、保護してふやす計画も動き出した。

 ジャン それが間に合うといいね。

 ――トキでわかったけど、一度うしなわれた自然を取りもどすのはものすごく大変で、時間もお金もかかるのさ。豊岡のコウノトリは一羽あたり1億円使った計算になるそうだよ。

 愛鳥週間 毎年5月10日から16日まで。1894年にアメリカ・ペンシルベニア州の小学校の校長先生が野鳥愛護を進めるため、4月10日を「バード・デー(愛鳥の日)」にしたのが始まりといいます。日本では、日本鳥類保護連盟が1947年4月10日に「バードデーの集い」を開いたのが始まりで、50年からいまの「バードウイーク」にあらためられました。4月上旬はまだ野鳥が見られない寒い地域もあることや、1日だけでなくしっかり野鳥について考えてもらおうと考えたことが理由です。

 ケン すごい。鳥を守るのにぼくたち小学生にできることって何かな?

 ――日本野鳥の会はツバメの調査をよびかけているし、海岸や川にすてられた釣り糸(テグス)をひろって、鳥がからまって死ぬのをふせごうと運動している団体もある。電気や水をムダにしないで地球環境を守るのも大事だよ。

 ポン はーい。あ、いま、デデポッポーと鳴き声がした。キジバトだね。

(04年5月8日)


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