朝日小学生新聞
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■安浪京子先生が、中学受験への親の関わり方をQ&A形式で答える連載です■

Q.自分の解き方にこだわり、時間がかかり、点数も取れません

A.自分の解き方にこだわる子は、うんうんうなりながら長時間一つの問題に取り組み続けます。これは暗記型の勉強法と真逆の素晴らしい姿勢であり、これこそが思考力への第一歩です。棋士の藤井聡太さんは、このスタイルの代表格ですね。

ただし、そのために宿題に時間がかかり、思うように点数も伸びず、さらには先生のアドバイスに耳を傾けていない状況ならば、やり方を変える必要があります。その理由は二つあります。

一つ目は、中学受験は浪人ができないという点です。限られた時間の中で一定量の知識を入れ、成果を出す必要があります。そのためには、一人で2日も3日もかけてニュートン算の解法を考え続ける時間的余裕はありません。また、他の受験生が1分で解ける問題を、独自解法によって10分かけて解いていては、入試本番で戦えません。

二つ目は、成長する機会をつぶすという点です。他の人の意見に素直に耳を傾け、その上で自分なりの結論を出す子がやはり伸びていきます。

ではどのように変えていけば良いでしょうか。

まずは、子どもの我流解法を思いきりほめてあげましょう。ここは間違っていても、ほめるのがポイントです。「天才!」「そんな風に考えたんだ!」「よくぞそこまで考え抜いたね!」。 私はいつも、心からほめています。

子どもの気分を良くした上で、「ちょっとこっちの方法でも解いてみようよ」と、塾で教えてもらった解き方(中学受験テクニック)を一緒に使います。当然、そちらの方が早く正確に解けるわけです。その上で「テストの時はどちらの方が得しそう?」と子どもに判断をあおぎます。

子どもこそ、点数を取りたいと親以上に強く思っています。楽に正解できる解法を便利と思えばそちらを選択しますが、それでも自分の解法にこだわる子がいます。その場合は「君の解法に○○の法則(○○には子どもの名前が入る)って名前をつけよう!ただ、入試までは一般的な解法で点数を取りに行こうか」と話します。時々「あー、この問題は○○の法則で解けるけど、こっちの問題は○○の法則では解けないかもね。両方知ってて良かったね!」と言い、自尊心をくすぐるように。

思考力がある事は非常に素晴らしい事です。その芽をつぶさず、入試に間に合うように、うまくお子さんを誘導してください。とはいえ、親子ではやはり難しいもの。塾の先生など、子どもが信頼している第三者にもこの手を使ってもらいましょう。

 

【プロフィール】
安浪京子先生
安浪京子(やすなみ・きょうこ)
1976年、岐阜県生まれ。中学受験算数専門プロ家庭教師「(株)アートオブエデュケーション」代表として、受験算数の指導および中学受験メンタルサポートに力を入れ、毎年多数の合格者を出している。著書に『きょうこ先生のはじめまして受験算数』(朝日学生新聞社)他。連載、講演、セミナーなど多数。毎月第2,4木曜10~12時に、中学受験の悩みをざっくばらんに話し合う「中受カフェ」を開催中。
きょうこ先生のブログ http://ameblo.jp/prestige-partner/

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