朝日小学生新聞
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■安浪京子先生が、中学受験への親の関わり方をQ&A形式で答える連載です■

Q.我が子の能力をどう判断すれば良いかわかりません①

A.私はいつも、お子様の能力を「数値」と「ポテンシャル(学力・気質)」ではかります。
今回は具体的に、私がご家庭に中学受験カウンセリングでお伺いする時にお子様の能力をどのように見ているかお話したいと思います。

ご家庭に中学受験カウンセリングでお伺いする際、必ず以下のものを準備して頂きます。

①公開テスト直近3回分(問題用紙、解答用紙共に)
②復習テスト直近3回分(問題用紙、解答用紙共に)
③授業ノート、宿題ノート
④計算ノート

ご家庭に伺って最初に見る部分は、①の公開テスト直近3回分の4科目平均偏差値(点数ではない)、各科目の偏差値です(私は算数の先生ですが、入試は合計点数で決まるため、科目間のパワーバランスは非常に重要になります)。
しかし、偏差値は子どもの実力の半分程度しか示しておらず、「さて、実力はいかほどか」と、問題用紙に手を伸ばします。
実は偏差値よりも重要なのは「問題用紙」です。筆跡、丁寧さ、立式力、問題への食い込み力をざっと見て、子どもの特性を判断します。このプロセスを踏まえることで
「偏差値は60だけど、これは砂上の楼閣で、この後崩れてくるな」
「偏差値が50だけど、勉強の取り組み方を変えれば爆発的に伸びるな」
等が見えてきます。

例えば、前者で多いのが、立式はスマートだが肝要なプロセスが書かれておらず、「解法を何となく暗記してなぞって解いている」ケースです。
5年生まではそれで何とかなりますが、6年生になるとこの勉強法は通用しなくなります。
こういったケースでは、偏差値がそこそこ取れていることで子どもにも親にもプライドがあるため、子どもは親の前で本音をストレートには言えません。
そこで、親のいない所でこっそりと「算数、本当は辛いでしょう…?」「塾の授業、あんまりわからないでしょう?」と共感して心をほぐし、「基礎問題こそ丁寧に取り組む」「簡単な問題でも勇気をもって先生に質問に行く」事をアドバイスしています。

一方、伸びしろを感じさせる後者で多いのが、解法に至る試行錯誤が見て取れ、思考力と忍耐力がある事がわかるケースです。
正しい解き方、要領の良い解き方を知らないために時間がかかったり、間違ったりしているだけで、素養は非常に高いといえます。
この場合は「しっかりと頭を使えているよ」と太鼓判を押した上で、塾の先生の解き方、王道の解き方にも目を向けるようアドバイスしています。
親も塾の先生も問題用紙まで見る方はあまりおらず、偏差値のみでお子様を判断している方が多く、これは非常に危険な事だと思っています。(次回へ続く)

【プロフィール】
安浪京子先生
安浪京子(やすなみ・きょうこ)
1976年、岐阜県生まれ。中学受験算数専門プロ家庭教師「(株)アートオブエデュケーション」代表として、受験算数の指導および中学受験メンタルサポートに力を入れ、毎年多数の合格者を出している。著書に『きょうこ先生のはじめまして受験算数』(朝日学生新聞社)他、連載、講演、セミナーなど多数。毎月第2,4木曜10~12時に、中学受験の悩みをざっくばらんに話し合う「中受カフェ」を開催中。
きょうこ先生のブログ http://ameblo.jp/prestige-partner/

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