朝日小学生新聞
  • 毎日発行/8ページ
  • 月ぎめ2,100(税込み)

■朝小を授業でフル活用しています!■

学校はこの4月から新年度だが、学習塾業界は1、2か月前倒しの2月、3月からが多いようだ。私が指導している塾もそうである。
春期講習も終え、ここにきてやっと100名ほどの新入塾生の顔と名前が重なるようになり、一人一人の良いところや、伸ばすべき箇所、修正点も見えてきた。

授業の方では、講習を挟んでのこの期間で、各クラスでペースもでき、新入塾生の「天声こども語」の書写もスタートすることが出来た。
各科目とも、単元は一つ二つと進み、理解度を確認するテストも終わり、結果も出揃った。
さて、その結果の話になるが、前述での「顔と名前が重なるようになった」の他に、重なるモノが実はもう一つある。

それは「テストの結果」と「音読の上手さ」なのである。
ご父兄の皆様は、国語ならば当然と考えるだろうが、それが文系科目ばかりでなく算数や理科も同様で、ややもすると国語以上に高い相関関係が出ることがあるから驚く。

私は30年ほど算数、数学を中心に理系科目を指導してきたが、当時は「問題文をしっかり読み、条件を見落とさないように」「問題文の中に解法が隠れているぞ」と口を酸っぱくして言ってきた。
読み方が上手いか否かは強いて気にもしていなかったのだ。
しかし、この10年ほど前から新聞を教材とした授業を担当するようになり、私の中で学力形成の見方や考え方はすっかりと変わった。

新聞の授業は「読む」ことを中心に行っているのだが、その力の差は驚くほどに大きいのである。読めるならば簡単なことでも、読めなければ難解な問題になってしまうのだ。
不得意な生徒は言葉を知らないから読めない。読めなければ理解は出来ない。本人はイライラする。
音読が上手い生徒は、こちらが新聞やテキストから目を離しても、内容が理解できる。もちろん物語ならば情景が鮮やかに浮かんでくる。文章をきちんと理解出来ているからだ。

「覚える力」や「考える力」「理解する力」は「読む力」からうまれ、その「読む力」は全ての学びの始まりであり、その最初の一歩は小学生時代の「音読の練習」によって培われる、と今は確信している。
「算数・国語・理科・社会」どの教科も読む力があれば面白い。新しく知ることは刺激的であり、さらに知りたくなるのだ。それが“学び”である。
さぁ!読もう! 読む習慣をつけよう! 音読で読む力をつけよう! 私はその習慣をつける為に「朝小」を子どもたちにぜひ読んでもらいたい。

私の担当は本日にて終了します。一年間私の拙文にお付き合いいただきありがとうございました。
本や新聞は、考えるきっかけをつくってくれます。一人でも多くの子どもたちが、考える大人になることを、皆さんと一緒にこれからも願い続けます。

東京都練馬区の塾『受験 松井塾』 松井光裕(まつい みつひろ)
松井塾 http://www.matuijuku.com

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